江戸民具街道では 江戸の男たちの道具も展示されています。
竜吐水(りゅうどすい)
雲竜水とも呼ばれた 火事を消すための ポンプ式放水具で 放水の様子が 竜が水を吐くように見えたことからつけられた名前です。
享保年間(1716年~1736年)にオランダから渡来し 東京では 明治時代中期ごろまで使われていたそうです。
こちらは 小竜吐
小型の手動式火消道具で 水鉄砲と同じ仕組みです。
1回に出てくる水の量は少量なので 直接燃えてる火を消すための物ではなく 飛んできた火の粉や火消の人たちに水をかける道具です。
余談になりますが この他にも 火消しが消火に使った道具は こんなものがありますよ
纏(まとい)・・・木の棒の先に 房飾りをつけ 火消しの組の名前を書いたもの
以前 江戸火消しの纏に書かれたいろは文字のタペストリーを作りました。
裏布には 江戸火消しの道具が書かれたモスリンを使っています。
大団扇・・・火の粉を払う道具
鳶口(とびぐち)・・・長い棒の先に トンビのくちばしの様な三角形の金具が付き、
家屋を破壊する道具
刺又(さすまた)・・・今でこそ 警察官が凶悪犯人を捕まえるための道具として
知られていますが 鳶口同様、家屋を壊す道具です
玄蕃桶(原版桶)・・・天秤棒が付いた2人で担ぐ桶。竜吐水に水を継ぎ足す道具。
梯子(はしご)
こちらは 火消しの刺子半纏と刺し子頭巾(江戸後期)。
厚手木綿で作った半纏や頭巾に刺し子をし 強くした丈夫にしています。
水をかけると燃えにくく 火消しの体を守りました。
木綿の半纏は 現在でも花火職人さんたちの仕事着になっていますね。
江戸の火消しの半纏は 内側に美しい図柄が染められ 無事に消火が済み 帰る時に内側の絵を表にして着て 木遣り歌を唄いながら引き上げたそうです。
リバーシブルに仕立てられ あえて裏にカッコいい図柄を描いた 江戸の男たちの心意気 粋ですね~~
残念ながら 展示されている半纏の表側は 見ることはできませんでしたが 半纏の表側には 纏と同様 町火消しの組の名前が染め抜かれているものが多いようです。
例えば 江戸の火消しは 享保3年(1713年)に作られた組織 いろは四十八組の名前が染められています。
ちなみに いろは組の四十八文字には 「へ」「ら」「ひ」「ん」の文字がありません。
「へ」は「屁」、「ひ」は「火」に通じ、「ら」は隠語、「ん」は語呂が悪い またはの事として 代わりに「百」「千」「万」「本」に変えられたそうです。
火消の道具と言えば 先日もちらっとご紹介しましたが 博物館 江戸民具街道がある 中井町の畑の中には 最近ほとんど見ることのなくなった 火の見櫓と半鐘が残っています。
半鐘は 鳴らし方で 火の元までの距離を知らせたそうです。
たとえば 一打 ジャン・・ジャン・・ジャン 火元は遠い
二打 ジャンジャン・・ジャンジャン 火消し出動
連打 ジャンジャンジャンジャン 火元は近い~~
そして もう一つ 博物館内に展示されていた男たちの道具は鎧。
館長さんの奥様が 石川県七尾のお医者様の娘さんという事から 加賀から引き取ってきた古道具も多く展示されているそうですが この鎧も 加賀藩 中村家(七尾市)から 譲られたものだそうです。
手甲には 桜柄の模様もついています。
桜の花のように 潔くパッと散るという意味が隠されているのでしょうかね・・・
次回は どんな道具をご紹介しようかな~~。