急に何らかの理由で倒れ心肺停止状態になった人に対して、その場に居合わせた人が救急隊や医師に引き継ぐまでの間に行われるBLS(一次救命処置)。その対応の一分一秒は大切なものであり、日本では医療従事者でない市民向けにもその基礎技術の習得のための勉強が行われています。
今回の講義では、現地で先に行われた予習内容を踏まえた上で、この救命処置法を実際に人形を使い実践する、というもの。
「学習効果のピラミッド」によれば、講義が頭に残るのは内容の5%ほどと言われています。しかし体験することで学んだ内容が頭に残るのは内容の75%に上るといいます。
今回の講義の目的を「まず生徒全員に2分間の胸骨圧迫を体験してもらうこと」に絞り、実際に有効な胸骨圧迫を行うことができているのか?できていなければどのようなポイントに気をつける必要があるのか?を日本人講師にその都度、直接実技指導をしてもらいながら実習は進められました。
<まずは日本人講師によるデモンストレーションから>
<写真左側:バングラデシュJICAボランティアの看護師隊員の方々もプロジェクト開始以来サポートをして下さっています。バッグバルブマスクの固定方法EC法が伝えられている様子>
1人で2分間という時間、胸骨圧迫を続けることがいかに体力を必要とするものであるか。
有効な胸骨圧迫が行われなければ、患者にどのような影響があるのか。
有効な胸骨圧迫を行うためのポイントは何なのか、どうやって行う必要があるのか。
病院においては急変を発見し、医師や到着までの間に患者の命を繋ぐのはいつも身近で患者ケアを行っている医療スタッフである生徒自身であること。
1人の患者に対しチームとして治療やケアにあたることの大切さ。それらは実習を通して生徒へ伝えられました。
<声かけをし合い、交替をしながら、生徒が1人ずつ2分間の胸骨圧迫を行う。1分間に100回以上のテンポをリズムマシーンで確認>
<質疑応答の時間には、ホワイトボードも使用し、言葉の壁を埋めながら。 >
4月末から開始となったこのプロジェクト。
講義回数を重ねるたびに、より生徒の状況への理解が深まり、講義における工夫が生まれ、今後の課題へと繋がっています。ありがたいことに、勉強熱心な生徒のことを心から想って下さり、様々な方面からこのプロジェクトへご協力下さる方が現地から、日本から1人、2人と集まってきてくださっています。
「学びには終わりがない」というある生徒の言葉と共に、私たちも終わりのないプロジェクトにこれからも全力で取り組み続けたいと思います。