今回、「人工呼吸器におけるアラーム発生時の実際の対応」を主なテーマに3日間に渡り講義を行いました。
看護師たちは人工呼吸器については特別なトレーニングを受けたわけではなく、実際に医療現場で学んできた、と言います。しかしながら、知識や技術は不足しており、アラームの原因が分からないことは多いといいます。
しかし、呼吸器は生命に直結するものであり、時に正確な判断と行動が瞬時に求められます。
今回の講師は、バングラデシュの病院で指導経験のある日本人臨床工学技士。
<講義前日には現地講師との入念な打ち合わせを行い、講義に備える>
この講義を受ける前にも、生徒たちは現地講師による予習講義を受けていました。
しかしながら、座学、文字だけの講義ではどうしてもイメージが難しく、概念の理解が進みません。
そこで、まずわかりやすくイメージをつかんでもらうため、ペットボトル・風船・注射器を使用し、人工呼吸器を理解するために必要な知識と概念が生徒たちへと伝えられました。
このような講義方法は、生徒たち、現地講師にとっても初めての講義方法であり、現地講師までもが真剣に講義に聞き入っています。
「座学だけより、触ることができたら、そこから、座学の意味を理解できる」
生徒が呼吸器の内容をどこまで把握できているのかを一人ずつ丁寧に確認し、いよいよ実際に人工呼吸器を使用したシュミレーションへと移ります。
<呼吸器アラームが鳴っているのを発見したスタッフは、その状況を他のメンバーへと説明していく>
何のアラームが鳴り、呼吸器と患者側どちらに問題があってアラームが鳴っているのか?どのような対処をしたらいいのか?を実際に、呼吸器、人体模型に触れ、現場をイメージし、ここでは看護師、ICA(集中治療アシスタント:バングラデシュの集中治療を専門にサポートする男性看護師のような存在)が一体となったチームを作り、それぞれが役割分担を行い、1人の患者に対応をしていきます。
普段ICUでは一人の患者につき、一人の看護師が受け持つのですが、患者に何か問題が生じた時、たった1人では対応をすることはできません。
BLS講義に引き続き、実習を通し、看護師もICAもみんなが協力をし、1つのチームとして役割分担を行い、1人の患者へ治療やケアにあたることの大切さが繰り返し伝えられました。
現地人の他の講師たちも今回の講義の方法をとても気に入ってくれたようで、さっそく午後の彼らの講義では、このいろいろな道具使用した方法で、このコースの受講生徒以外の生徒たちへと講義が行われました。
現地講師がプロジェクト講義で学んだ内容は、ICAトレーニングを受講している生徒たちへも広がっていきます。
いよいよ4月から開始しているこのプロジェクトの講義・実習パートも終盤を迎えます。
より自分たちにあった学習方法を彼らが見つけ、自分たちのやり方に取り入れ、よりよい医療が実現できるよう、私たちもサポートを継続していきたいと思います。