NGO Future Codeの藤山恭子です。今回、看護師としてバングラデシュでの看護師育成プロジェクトに参加して現地で活動しました。
実は私は2010年6月からの2年間、JICAの青年海外協力隊員としてバングラデシュで活動した経験があり、その活動中に多くの人と出会い、バングラデシュが好きになりました。そして当時予防接種のプログラムに携わり、現地の医療職者と共に仕事をし、彼らが直面している問題の大きさや、その中で生きるという事の大変さも学びました。
その当時、2年という時間はあっという間に過ぎ去り、日本への帰国が近づいた頃の心残りは、「もっと長く現地の看護師と関わりたかった」ということでした。
その後、青年海外協力隊の任期を終了し、日本に帰国したわけですが、日本で看護師として働く中でもその気持ちは続いていました。
そんな中で私はFuture Codeと出会い、またこうしてバングラデシュに来ることになりました。
今回は一人の看護師として。
滞在期間中に看護師育成プロジェクトの一環として看護師たちに試験が行われました。
看護技術の実技試験での私の担当は手洗い。
採点をするために全員の手洗いを見させてもらいました。
試験中、すでに手洗い方法についての試験を受け終わったはずの一人の若い看護師が、「もう一回試験をさせてほしい」と言ってきました。
恐らく、彼も頭で知識としてわかっていても、いざやってみると自分がうまくできなかった事を気にしたのだと思います。
「再試験はできないけれど、正しい手洗いの練習は一緒にするよ」と伝えると、彼はみんなの試験が終わるまでずっと待っていました。ちゃんと学ぼう、と思う気持ちがあっての事だったと思います。
そして実技試験の次に口頭試験も少しではありますが担当したのですが、質問に一生懸命答える彼らを見て、経験の浅い看護師や先輩格である看護師等、それぞれの置かれている立場によって、仕事に対する気持ちも様々であることが少し分かりました。
これを自分の状況に置き換えてみると、私自身、いろんな立場の中で、看護師の同僚から今までたくさん学んできました。特に、私が看護師として新人の頃に、先輩が教えてくれたことは今でも心に強く残っています。
バングラデシュで働く彼らにとっても、私たちがここで話したこと、ここで共に学んだことが彼らの心の中に残り、後輩の指導に役立ててもらえたなら。
もしそうなったなら、それは私の幸せでもあります。
今回、約一年半をかけて予定されていたプログラムがすべて終わったことを受け、ささやかなセレモニーが行われたのですが、その際にみんなの前で、ベンガル語でスピーチする機会も頂きました。
私のベンガル語は完璧なベンガル語ではないけれど、私が彼らに伝えたかったことは、バングラデシュと日本、働く場所は違うけれど気持ちは一緒だということ。
どこの国にも患者さんはそこにいて、私たちはお互いに学び合いながら頑張り続けなければいけないということ。
私の言葉を頷きながら聞いてくれた彼らから、私もまた勇気をもらいました。そして、またここに来よう。そう思いました。
“教える”のではなく“一緒に頑張る”ために。