バングラデシュ国内の政治的な影響により、デモや交通封鎖等が生じたため、看護師育成プロジェクトは2015年1月から一時活動を中止しておりましたが、国内の交通封鎖等の緩和を受け、4月から現地病院側と再開協議を行い、無事再開することができました。
5月末より日本人看護師をバングラデシュの病棟に派遣し、現地ボランティアの協力の元、病棟での実技指導を中心としたプロジェクトを開始しています。
今回、再開にあたり、この一時中断していた期間にプログラムを再度見直し、実技指導をより中心とするように組まれています。また病院のスタッフ全員が現場を改善していくという目標意識を持つため、まず日本人看護師と共に1週間に数回、現場を見回り、その際、気付いた点、改善したほうがいい点をレポートしていきます。その中で、まず優先して改善に取り組む必要がある内容をピックアップしていきます。
それらの内容は、ICU医師と各病棟リーダー(メディカルICU・サージカルICU)に伝えられ、その後、病棟リーダーを中心とした申し送りにより各スタッフへと伝えられていきます。ICUにいるスタッフ全員が情報を共有し現場を改善するという目標に向かい、そして意識することによりさらなる改善につながるようにします。
医療スタッフの中には、自分が優位に立つために留学するなどで学んできた知識を他に伝えない、という事も途上国での医療現場では報告があることですが、それでは全体の改善につながりませんし、病院で働くスタッフ全ての人が協力的でなければ情報の共有は成り立ちません。
全員が同じ目標に向かい現場を改善していくという意識を持つためにもみんなが協力できる環境作りや流れを考えていくということも大切な要素になります。
この日は、以前5S(整理、整頓、清潔、で学んだ「ベッドサイドモニターコード整備」がテーマとなりました。5Sをしっかりと実践するには、ただ「きれいにする」という事ではなく、根本的には「考えて機能的にする」という意識の改善が求められます。
<5S講義で学んだことを生かそうと、見た目には美しく一つにまとめられていたモニターコード>
しかし、全てのモニターコードが1つにまとめられてしまっており、このままでは必要な時に、必要な物を取り出すのに、時間がかかってしまいます。
実際にモニターコード整備の必要性を実感してもらうために、このたくさんのコードが一つにしまわれている中から特定の一つのコードを取り出してもらうことにしました。
実際にやってみるとどれがどのコードなのかわからず、とても時間がかかり一刻を争う時にこのようなことでは困ったということがわかりました。
そこで、実際に緊急時にも対応できるように、看護師たちが考えて「5S」をやり直します。
<ベッドサイドモニターコード整備を生徒自らが再び考えて行った結果>
このように実際に体験し目で見て肌で感じ、そして考えることで現場の改善が生まれます。また医療現場という一刻を争うようなこの場所で実践的かつ整頓されているということが求められます。
これからは指導された内容やその情報を共有し、そしてそれらを実践していくという習慣を継続していけるようにチェックリストを使用し、また現場を改善していけるようにスタッフ全員が目標意識を持って協力して働けるような環境作りを行って行きたいと思います。