バングラデシュの病院では、その都度廃棄すべきシリンジのパケットや、使用済みのシリンジや針が、ベッドサイドに置かれたままになっていることもあります。
現在、患者の緊急時に使用する、救急カートの整備にも取り組んでいるのですが、皆が使いやすく、機能的に整備していく行程には、現在の病棟の患者を取り巻く環境の整備にも活かせる学びがたくさん詰まっています。
<整備前>
<整備後>
今後を考え、彼ら自身が自らの手で改善していくために、小さなところからチェックと改善のための組織とシステムを作ります。
各勤務の看護師のリーダー、薬剤係、物品係が、それぞれに役割を持ってこの救急カートの点検と薬剤補充が効率よくできるよう、何人かの現地バングラデシュ人看護師をキーパーソンに任命し、整備に取り組みます。
昨年の5Sの講義と実習後、救急カート内の各薬剤の数を彼ら自身で見直し、薬剤の定数を決めたのですが、カート内を確認すると定数以上の薬剤で溢れていました。
「患者が増えれば、これらの薬剤がたくさん必要となる。」と、必要時に薬剤が足りなくなったらと不安な気持ちから、定数以上の薬剤が入れられてしまったそうです。
まるで薬剤保管庫のようになり、これでは機能的に緊急時に対応できません。
そこで、まずは「一日に使う分と予備に一日分か半日分」の各薬剤数に減らして行くという、確実に無理なくできる小さな行動から共に取り組みます。
薬剤係の看護師が、自らが進んで「薬剤のダブルチェックを徹底していこう」と、同僚に伝えている場面にも出会いました。
「夜勤明けであったり、悲しいことがあったりして、集中できないこともある。私も使用期限についてはチェックをしているが、薬剤使用時にも2人で、薬の名前、使用期限を確認し合っていこう!!」と声かけをしていました。
<左側:現場指導中の岩本理香看護師。薬剤係の看護師(右側)がICA(中央)にダブルチェックの声かけをしている様子>
ここで働く看護師たちは皆、考え、気づくことで、大きな現場の改善が出来るチカラを持っています。
そのチカラを現場でちゃんと発揮していけるよう、私たちはこれからもその「きっかけ」となれるようサポートをしていきたいと思います。