第一回 ハイチ シグノ病院 初の結核検診終了 | 国際支援団体•認定NPO法人 Future Code

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国際医療支援団体であり、医療の届かない場所に医療を届ける活動を基本として教育、貧困、公衆衛生など様々な途上国の問題に対し、日本人として何ができるのかを考え、行動を続けています。支援事業は農業/食糧支援、ソーシャルビジネスによる雇用創出等、多岐にわたります。

Future Codeの設立以来、シスター須藤昭子先生と共に、無料結核検診の実現を目標に企画を進めてきました。

2010年のハイチ大地震後、シグノ病院は全壊し、医療機器もない中でテントでの診療が行われていました。

暑い中、泥や汚れで茶色くなったベッドの上で、多くの患者はただ横になっており、もうかなり危ないと感じた重症患者にはものすごい数のハエがたかっていました。
シスター須藤先生が 「ハエはよく知っているのよ」 とおっしゃっていたことを覚えています。

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それは医師として、これほどまでにない衝撃と無力感に悩むことになりました。


このときに、シスター須藤先生と共になんとかこの結核患者たちや、この地域の結核の事情を改善できないかと相談し、この場所で結核検診ができれば、と計画を始めました。これが私たちFuture Codeの創設の理由でもありました。

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「実は30年前に私がハイチへ来た理由は、この国で結核検診をするためでした。」
シスター須藤先生は、当時ハイチに来られた後に、結核患者を減らすべく検診を実現させようとしたものの、35年前の時の情勢でそれが叶わなかったことを語られました。

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その後、地震から1年半以上が過ぎた頃、日本を含む各国の援助で、結核診療のテントはプレハブへと変わり、また日本の支援によってシグノ病院の結核病棟の再建が開始されました。といっても当時はようやく何もない空き地に塀が建てられ始めたところでした。

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       <2012年 8月 シグノ結核病院の再建中>




「ハイチのマザーテレサとの約束」

これからハイチの医療に共に貢献して行きたいという言葉。それはシスター須藤昭子先生が願った結核検診をいつか実現させるという約束。
もちろんこれは義務としてではなく、ハイチの結核患者のために、一度口に出したことは果たしたいものでした。

2011年の5月、私たちは計画を始めます。

結核検診の実現のため、Future Codeは2012年6月にまず、ハイチ人医師の日本での結核検診のトレーニングを企画しました。
検診の意義や方法を現地のハイチ人医師に知ってもらい、継続的な診療をするためのものでした。

2012年 12月 ハイチに派遣された自衛隊からレントゲンをシグノ病院への寄贈していただき、2013年2月にこれをシグノ病院で使えるように環境整備、調整を進め、初の撮影に成功しました。

そして2013年 6月10日から19日 今回初めてハイチ シグノ病院でシスター須藤昭子先生と共に、結核無料検診を実現。

日本で研修を受けた医師たちもこの検診に参加し、生き生きと共に活動してくれました。


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   <2012年 6月-7月 兵庫医科大学と神戸市保健所の協力を得て、ハイチ医師結核検診トレーニングを実現>



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     <2012年12月 自衛隊によるレントゲンのシグノ病院への寄贈>


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     <2013年2月 シグノ病院でレントゲンの撮影に成功 一枚目はシスター須藤先生を撮影>


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    <結核検診 検診には、ハイチ友の会 小澤幸子 医師も賛同、参加いただきました>


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       <結核検診には日本での研修を受けた医師たちも参加>



今回の結核検診では、延べ225人の有症状の患者や、結核患者の家族などを中心にレントゲン撮影を無料で行い、34人約15%に結核の疑いおよび異常所見を認めました。

痰の検査を追加し、現時点でもすでに数例では結核と診断しています。
また、診断できないまでも結核の疑いの残る患者に対しては、今後1ヶ月から6ヶ月の経過観察を行います。

継続して行っている喀痰検査の結果から、診断できた患者は今後シグノ病院にて治療されます。


それ以上に印象的で、私たちもとても嬉しかったことは、レントゲン所見が正常であったことを伝えると、多くの方が「ありがとう!」と言って喜んで帰って行ったことでした。

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検査はお金もかかるのでできないが、今自分は病気でひどいことになっているのではないか、そう言った不安を抱えている人が多かったということです。
少しではあっても、現地の安心をつくることに貢献できたようにも思います。


2013年になり、シグノ結核病院は日本の援助により再建され、7月に現在のプレハブの入院患者の受け入れを開始します。


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検診の実現はシスター須藤先生の長年の夢でもあり、その実現の一助となれたことも、大変嬉しく思います。
もちろんシスター須藤先生はご自身の夢の実現ではなく、ハイチの人々のためになったこと、そのことを喜んでおられるのでしょう。
そしてこれは、私たちFuture Codeの第一歩にすぎません。

このハイチという国に長年貢献されてきたシスター須藤先生の想いを受け、そしてこの国で日本人として志をもって現地への貢献に取り組み続けることこそ、私たちに望まれるものであり、この一歩はスタート地点です。


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今後の継続こそが重要な課題であり、これからも定期的に結核検診を行っていきたいと考えています。

これまで結核検診の実現のため私たちを応援くださった皆様に、心からの感謝を申し上げると共に、今後長きに渡り、結核検診を継続するためにも、これからもどうぞご声援・ご支援をよろしくお願い申し上げます。


2013年 6月 Future Code ハイチ結核検診チーム一同