特定の人物の振る舞いや一言に反応して湧き上がってくる怒りの感情に振り回されないようになりたいというのが、彼女の望みだった。
私自身も、40代の頃まで、浮き沈みする「感情の動き」と「自分」とを同一化してしまっていて、怒りを抑え込もうとするものの、抑え込まれていた怒りが、ある日、大爆発してして、余計に騒ぎが大きくなることを何度も経験してきたので、彼女の気持ちはよくわかった。
そこで、感情の変化が、常にひとりでに起こり続けている事実と、その動きをコントロールできる誰かが本当に存在しているなら、とっくの昔に怒りが出てこないようにできていたハズだという当たり前の事実を確認しながら、感情を動かしているのは自分ではないことを明らかにしていった。
セッションが終わる頃には、怒りの感情と戦おうとしていた自分など存在していなかったことが明らかになり、本当の自分が、どのような感情の変化をも拒否せず、あらゆる感情を起こるがままに許容してきたキャパシティそのものであることが明らかになり、彼女の怒りとの格闘劇は終わった。
お知らせ
怒りをコントロールしようとすれば、怒りとの戦いはいつまでも続きます。
怒りをコントロールしようとしているその心(マインド)の動きこそが、イラつきを増長させる働きそのものだからです。
怒りを感じることには何の問題もありません。
問題があるとするなら、怒りの感情が現れた後に連続的に出てくる怒りに関する連続的な思考であり、その物語に巻き込まれると、一瞬で収まる怒りもなかなか治らなくなります。