私は体の内側に存在していて、外側に他人や世界が存在している、という分離の感覚があるので、それをなくしたいというのが、彼女の要望だった。
分離を信じているのは思考なので、その思考の思い込みを逆利用して、自分だと思っていた体も思考も自分ではないことに気づけるようにガイドした後、最終的に、真の自己とは何かを明らかにしていった。
セッションが進むにつれ、彼女は、自分が滅びゆくような肉体でも、不安を感じている思考でもないことに気がつき、涙しながら、「般若心経で語られていたのは、こういうことだったんですね」と語ってくれた。
また、彼女は、非二元性に目覚めて、個人の自分が完全にいなくなると、日常生活をこれまでのようにおくれなくなるのではないかと心配していた。
そこで、鎌倉の禅師の例をあげ、見性(自己の仏性に気づくこと)に至りながら、今なお会社の経営を立派に続けておられる老師がいることをお伝えした。
海外のノンデュアリティ(非二元)のサイトを見れば、このような日本の禅師も紹介されていて、見性したからといって人里離れて暮らす必要がなければ、仏道と仕事とを別物ととらえる必要もないことがよくわかる。
しかし、日本では、まだまだ非二元が浮世離れしたもののように受け取られているので(伝える側の問題もあるのだろうが)、鎌倉の老師を見習い、非二元が現実的で実質的なものであることを、私もしっかり伝えていきたいと思っている。
ちなみに禅では、「坐禅」もしくは「考案」を通して見性に導こうとしているが、私は、禅のアプローチではなく、ダイレクト・エクスペリエンスの手法を使っている。
アプローチの方法は違えど、「照見五蘊皆空」「空即是色」とお経を唱えているだけでは真の自己を知ることは難しい、と考えている点では、禅と共通している。
お知らせ
非二元とは、仏教でいうなら、「空」と「色」とが分かれて存在していないことを指しています。
その非二元性を知的理解ではなく、体験的に確認してみたい方は、ノンデュアリティのプライベートセッションをお受けください。