東電の電気料の値上げに、賛成の人?反対の人?
一昨日のマイケル・サンデル教授の特別講義でこう問われ、私は最初、反対派でした。
ところが、賛成派の一人からこんな発言が出て考えさせられました。
「原発の再稼働には反対。
となると、日本の電力消費量をまかなえるだけの代替エネルギーがいまだ具体化されていないため、当面は火力発電が主体になる。
そのエネルギー源の供給先は、中近東に大幅に頼らざるおえなくなる。
そうなると原料コストは上がる。
ならば、原発よりも割高になる火力発電に我々が頼ることになる以上、代替手段が見つかるまでの間は、高い電気料を負担すべきではないか?」
議論の是非はともかくとして、賛成派のこの主張は、私にとってこれまでに一度も考えたことのない視点から発せられたものでした。
この話を聞くまで、「エネルギー自給率」という観点から、東電の問題を考えたことはありませんでした。
「民間企業の損失とその再建にあたって、なぜ、私たち国民一人一人がそれを負担しなければいけないのか?」
そういう視点でしか、問題を捉えていませんでした。
議論というものは、「どちらが正しい、間違っている」という対立を生むためのものではなく、それぞれが考えてもみなかった視点をお互いに提示し合い、一緒になって考えを深めあうためになされるもの。
それを、今回の特別講義で実感することができました。
ソクラテスのような問いかけをして、「集合の知」を活性化させていく。
それがファシリテーションであり、それこそが学ぶもの一人ひとりの考えを深めあえる最高の講義となることを教わりました。
サンデル先生、そしてあの場に居合わせた皆さん、ありがとうございました。