子宮鏡検査 vs 病理検査:慢性子宮内膜炎の診断におけるメリットと限界·
子宮鏡検査と病理検査、どちらが慢性子宮内膜炎の診断に適しているのか?慢性子宮内膜炎(Chronic Endometritis, CE)の診断において、子宮鏡検査と病理検査はどちらも重要な役割を果たしています。しかし、その診断的有効性には限界があり、多くの議論がなされてきました2024年の研究によると、子宮鏡検査と病理検査診断一致率は53%と低い結果となっており、両者の役割を再評価する必要があります。本記事では、最新の研究(PLoS One, 2024)を基に、両者の診断的意義について、また検査の利点と限界をわかりやすく解説、診断の精度向上に向けた今後の展望も紹介します。子宮鏡検査の診断精度子宮鏡検査は子宮腔内を直接観察できるため、慢性子宮内膜炎のスクリーニングに用いられます。子宮内うっ血(発赤)、マイクロポリープ、浮腫、ポリープなどの異常が確認されることがありますが、これらが病理検査とどの程度一致するかには限界があります。研究によると、子宮内うっ血は病理的慢性子宮内膜炎と有意な関連がありましたが、他の所見は一致しませんでした。病理検査の重要性慢性子宮内膜炎の確定診断には、病理検査が不可欠です。病理学的には、CD138陽性形質細胞が20HPFあたり5個以上検出されることで、確定診断が行われています。今回の研究では、子宮鏡所見と病理検査の一致率は53.0%にとどまり、特に子宮内うっ血では60%の一致率が得られましたが、他の所見では低い結果に終わりました。結論子宮鏡検査はスクリーニングには有用ですが、慢性子宮内膜炎の確定診断には病理検査を併用する必要があります。視覚的所見が必ずしも病理学的に確認されるわけではないため、診断と治療方針には慎重なアプローチが求められます。両者を組み合わせた診断が推奨されます。出典: Mayuko Furui, et al. PLoS One. 2024 Jun 27;19(6)