■質問内容

Q1.

来月初旬に凍結受精卵の移植が決定しています。胚移植後に、自宅での湯船ではなく、温泉などでの入浴は避けた方がよいですか?

 

Q2.

胚移植後、妊娠判定までに温泉に行こうかと考えています。大丈夫ですか?

 

Q3.

先日、凍結胚盤胞移植をしました。 移植した翌日、翌々日とこたつを「強」にして数時間「うたた寝」してしまいました。 ネットで調べると移植後高温になるのは「ゆで卵」になって良くないとか、着床率に影響が出るとか、書いてありましたが、問題ないでしょうか?

 

Q4.

体外受精の胚移植後に よもぎ蒸しパットを使用しても良いのでしょうか?

 

Q5.

説明会や診察時に精子は熱に弱いから気をつけるように…との注意は受けましたが、受精卵も熱に弱いですか? 移植後、電気アンカを腰の下に敷いたまま4時間ほど寝てしまい、熱くて目が覚めました。受精卵に影響はあるでしょうか? 


そのほか、こたつ、カイロ、岩盤浴、サウナなども影響ありますか? 一応、自分でも調べてみたのですが、「暑くなるほど温めるのは良くない」という説と「体内だから影響ない」という説と両方あり、わかりませんでした。 よろしくお願いいたします。

 


■当院からの回答

 採卵後や胚移植後でなければ、骨盤血流は良いにこしたことはありません。が、外的な刺激に頼るよりストレッチ・体操、スポーツ、夫婦関係など普段からの生活環境の改善が一番ですね。

 

★高温となることの血栓リスク

採卵数が多くOHSS(卵巣過剰刺激症候群)のリスクがある場合ホルモン補充周期の融解移植では、血栓症リスクを避けるため脱水に注意しなければなりません。このため、長風呂、岩盤浴、サウナなどはお勧めできません。

 

★高温となることの配偶子や受精卵への影響

胚盤胞移植では移植後2〜3日くらいに着床時期を迎えると考えられます。この時期に は、「激しい運動、性交などの子宮収縮を助長すること」、「腹部を圧迫するような動き」、「細かい振動が続くもの(マッサージチェアなど)」、「腹部を高温に長時間さらすこと(サウナ、温泉など)」は避けることをお勧めします。


身体の一部(下腹部や腰など)を温めたからといっても「血液は全身を巡っています」ので、子宮に直接影響することはないと思いますが、「高熱や身体全体が高温となる状況が長時間持続すること」は、精子はもとより、卵子・受精卵にとっても、妊娠初期においても避けることが望ましいといえます。

 

「よもぎ」には、抗消炎作用、抗腫瘍作用、免疫抑制作用、抗子宮内膜作用があることが報告されています(J Ethnopharmacol 2013; 145: 767)。


この作用からは、子宮内膜症などの改善効果が期待できるかもしれませんが、着床率が向上するという報告は見当たりません。

 

精巣機能は、高温下では働きが悪くなることが知られています。万一、精巣が腹腔内にあると機能が失われるだけでなく悪性腫瘍の発生も憂慮されます。

 

卵巣機能は、腹腔内の環境が必要であり、このため体外受精の培養環境は37℃(酸素5%・炭酸ガス6.5%。窒素88.5%)に保っています。

 

以下の記事も参照してください

体外受精と外的加温(温泉、サウナなど)?

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妊娠初期に温泉に行ってよいか?