「人工授精から次にステップアップするのは、何回が目安ですか？」
と診察室でよく質問をお受けします。
一般的には人工授精回数の目安は3～6回が目安になると考えられていますが、
これは全ての年齢で言える事でしょうか？
当院の年齢別の人工授精の妊娠率・生産率を示します
妊娠率：人工授精実施周期に対して超音波検査で胎嚢が確認された割合
生産率：人工授精実施周期に対して出産された割合
年齢が上がるほど、妊娠率・生産率が低下しています
38歳以上での人工授精の妊娠率•生産率について検討した米国からの論文内容をご紹介します。（Fertil Steril 2010; 94: 144）
不妊外来を訪れた130組のカップルに対して、卵巣刺激を用いた人工授精を行い、38～39歳と40歳以上の2群で比較し、合計242周期の人工授精を行い、17回の妊娠で10人の生児が得られました。
年齢
妊娠率／周期
生産率／周期
38～39歳
9.0%
5.2%
40歳以上
7.8%
2.0%
38～39歳では2回まで、40歳以上では1回の人工授精で生産率が頭打ちになることを示しています。不妊原因別にみると、原因不明と卵管因子の場合に生産率が高く約16%でしたが、子宮内膜症、男性因子、卵巣予備能低下では3～5%、排卵障害では0%でした。
以上のことから、人工授精の目安回数として下記が考えられます
- 35歳以下：５～６回
- 36～37歳：３～４回
- 38～39歳： ２回
- 40～42歳： １回
下記もご確認ください
