■質問内容

Q1.

子宮筋腫があることが分かったのですが、赤ちゃんの部屋には、はみ出してないとの事でした。凍結した受精卵を戻す前にとった方がいいのでしょうか?子宮筋腫がない人に比べてある人は着床しにくいなどの問題がありますか?


Q2.

子宮筋腫があることが分かったのですが、赤ちゃんの部屋には、はみ出してないとの事でした。凍結した受精卵を戻す前にとった方がいいのでしょうか?子宮筋腫がない人に比べてある人は着床しにくいなどの問題がありますか?

 

■当院からの回答

女性年齢、卵巣予備機能、子宮筋腫の数・サイズ・場所、によりおすすめは異なります。


子宮筋腫、子宮腺筋症は、多くの方にも見られる良性疾患ですが、受精卵が着床することの妨げとなる可能性がある疾患です。


子宮筋腫は、50歳までに最大75%の女性に認められる良性疾患です。不妊症女性では、510に認められ、妊娠を妨げると考えられるケースは23%程度とされています。


妊娠成立のためには、粘膜下筋腫(子宮内に飛び出す筋腫)は摘出すべきであり、奨膜下筋腫(子宮外に飛び出す筋腫)は摘出不要であるというのは一致した見解です。


日本産科婦人科学会HPより

http://www.jsog.or.jp/modules/diseases/index.php?content_id=8

 子宮筋腫は、位置関係から08のタイプに分類され、子宮内腔に突出するタイプ0,1,2は間違いなく着床障害をきたすことが知られています。子宮内膜に接触しているタイプ3筋層内筋腫は、子宮鏡検査では子宮内腔への突出がみられない筋腫のことですが、筋腫から産生される様々な物質による化学的な要因により着床障害を引き起こす可能性が示唆されています。これらの妨害因子は筋腫からの距離が遠くなると減少しますので、子宮内膜から離れた位置にある筋腫の影響は現れず、内膜に近い筋腫の場合に影響が出現すると考えられています。


子宮筋腫の手術を考える場合

  • 1.     女性年齢・卵巣予備機能(卵巣年齢)のほか、卵管疎通性や抗精子抗体や男性因子などの情報も重要です(手術を行っても他に決定的な問題点があるなら、その解消を考えておく必要があります)
  • 2.     手術待ち期間(1-6ヶ月)、術後避妊期間(3-6ヶ月)、術後観察期間(1年)などの期間を考慮する必要があります
  • 3.     子宮筋腫が多い場合は、手術後に筋腫の再発がありうることも考慮しておく必要があります
  • 4.     35歳未満でAMH値も年齢相当で、他に決定的な問題がなければ、手術(筋腫核出)を行って妊娠を期待することも考えられます
  • 5.     36歳以上やAMH値が36歳相当より低値であれば、先に体外受精採卵を行って受精卵を凍結保存し、筋腫核出後に移植することも考えられます
  • 6.     多発筋腫や比較的大きなサイズの筋腫を認める場合、体外受精採卵の前に手術することで、卵巣血流が増加し、二次的に卵巣の反応性が改善し、採卵数が増加する効果が得られる場合があります
  • 7.     体外受精採卵が困難な位置にあるために筋腫核出を行う場合も考えられます
  • 8.     タイプ3 の筋層内筋腫の取り扱いについてFertil Steril 2018; 109: 817

筋腫の直径が2.0cm以上(複数筋腫の場合は合計で2.0cm以上)では、臨床妊娠率、着床率、出産率が有意に低下することを報告しています。

 

このようことから、タイプ1とタイプ2の粘膜下筋腫、およびタイプ3 の筋腫内筋腫2cm以上良好形態の胚盤胞移植を行っても妊娠されていない方は、筋腫核出を選択肢に入れることが考えられます。

 

以下の子宮筋腫についての記事もご参照ください。

 

妊娠待機中にできることは?

望妊治療ステップ・アップの目安

体外受精で着床が妨げられる要因?

胚移植で着床しなかったとき:母体要因の治療

望妊治療と子宮筋腫

体外受精採卵が先か?筋腫核出手術が先か?

子宮筋腫の治療法は?

子宮筋腫に対するハイブリッド手術とは?

どんな子宮筋腫が手術適応か?

出産後の望妊治療再開の目安は?