子宮筋腫は、50歳までに最大75%の女性に認められる良性疾患です。月経がある間は次第に大きくなりますが、閉経すれば大きくなることはなく、かえって小さくなると考えられます。
このため挙児希望がなければ、出血などの症状のある子宮筋腫に対して、6ヵ月程度、注射や内服薬で様子をみる治療があります。
不妊症女性では、5~10%に認められ、妊娠が妨げられていると考えられるケースは、2~3%程度とされています。
妊娠成立のためには、粘膜下筋腫(子宮内に飛び出す筋腫)は核出すべきであり、奨膜下筋腫(子宮外に飛び出す筋腫)は核出は不要であるというのが一致した見解です。
ただし漿膜下筋腫でも、体外受精予定で、筋腫のために採卵できない位置に卵巣がある場合には手術が考慮されます。
筋層内筋腫については、結論が出ていませんが、下記の報告があります。
無症状の子宮筋腫の取り扱いについて米国生殖医学会のガイドライン(Fertil Steril 2017; 108: 416)を示しています。
子宮内腔に影響する子宮筋腫は手術すべきとの結論ですが、その他の筋腫については不明のままです。解明されていない問題点が残されていて、確定的なことは言えないのが現状です。
なお、子宮筋腫の位置が重要であることが本文中に明記されてあり、子宮内腔に突出するもの、あるいは子宮内腔が偏移するものは妊娠に悪影響と記載されています。
タイプ3 の筋層内筋腫の取り扱いについて(Fertil Steril 2018; 109: 817)
筋腫の直径が2.0cm以上(複数筋腫の場合は合計で2.0cm以上)では、臨床妊娠率、着床率、出産率が有意に低下することを報告しています。
このようことから、タイプ1とタイプ2の粘膜下筋腫、およびタイプ3 の筋腫内筋腫2cm以上で良好形態の胚盤胞移植を行っても妊娠されていない方は、筋腫核出を選択肢に入れることが考えられます。
ただし手術は、手術後の避妊期間や筋腫再発も考慮して手術時期を決める必要があります。