10数個の成熟卵子の採取を目指し、月経3日目から毎日のFSH/hMG注射を開始します。

 

FSH量が多いほど刺激効果は強くなりますが、AMH値、胞状卵胞数、FSH基礎値、年齢などを参考にして注射量を決めます。

 

また、hMG注射剤に含まれるLHも重要な意味があります。FSHだけでは刺激効果が不足する場合には、LHが含有された製剤を用います。

 

注射開始の最初の4日間は、卵胞径の均一化や卵の質的考慮から、基本的にはLH含有量が少ないものを選択します。多嚢胞性卵巣症候群の方は、もともとLHが高いので長めにLH成分が含まれていないものを選択することがあります。

 

このように個々の状態に応じてFSH/hMG注射の種類(LH含有量)、FSH量などを決定して注射を開始し、途中のモニター所見に応じて、さらに注射の種類(LH含有量)やFSH量を調整していきます。 

 

採卵数は10数個が目標であり、多いほど良いということでもありません。

 

大きいほうから2つ目の卵胞径が18㎜に達することを目標にしますが、卵胞ホルモン(エストラジオール)の測定値も考慮して、採卵日を決定します。1時間もあれば採血結果が出ますので、その結果も踏まえて判断します。

 

排卵が近づいてきたころ、自然に排卵してしまう可能性が出てきます。このことを抑える方法として、GnRHアナログ点鼻剤(Long法・Short法)またはGnRHアンタゴニスト注射液を併用することが考えられます。これについては別途に排卵抑制として記載したいと思います。

 

採卵を決定した夜に、LHサージの代用として絨毛性・性腺刺激ホルモンhCGを注射します。あるいは、GnRHアンタゴニスト法やクロミッド法やアロマターゼ阻害剤(レトロゾール)法の場合には、GnRHアナログ点鼻薬(ナファレリール)を使用してLHサージを誘起させることもあります。採卵率や成熟率が不良な場合は、上記の2つ両方をダブルトリガーとして行うこともあります。

 

このトリガーを行った2日後の朝(トリガー36~37時間後)に採卵を行います。

 

多くの卵胞が発育してきて卵巣過剰刺激症候群のリスクが高まると考えられるときには、卵胞ホルモン値を抑制するアロマターゼ阻害剤(レトロゾール)服用、高プロラクチン血症を抑えるカベルゴリン服用、受精卵は移植せず全凍結などの対応が考えられます。

 

多胎妊娠には単一胚移植で対応します。これは胚盤胞を凍結保存後の、高い生存率(99%)と良好な融解移植妊娠率・生産率があることから可能になっています。