「ホテル」の仕事を始めて16年くらいが経ちました。
あんなに知らない人としゃべるのが苦手だった青年も、いつの間にやら「支配人」を任せてもらえるまでに。
白髪も増えるわけです。
常にお客様に観られている、
常にお客様の求めていることを考える、
常にお客様がストレスに感じるものはないか気を配る…
そんな生活が日常になり、様々な経験が血となり肉となり、
「暗黙知」として支配人の中に蓄積されてきました。
そして支配人が経験から学んだこと、時には大きな痛みも伴いながら身に染みて思い知らされたホテルで働くうえでのこの「暗黙知」を、これからは後世に伝えてゆかなければいけない立場に立っています。
いろいろ経験させて、いっぱい失敗させて、それで覚えさせてゆけばいいんだよ。
確かにその通りだと思います。
それが一番なんだと思います。
でも、せっかく支配人が積み上げてきた失敗を後輩たちに経験させること、そしてそれに巻き込まれるお客様にご迷惑をおかけすることが本当に必須なことなのだろうか・・・。
最近はそんなことをよく考えてしまいます。
だったら支配人の失敗はしっかり「暗黙知」→「形式知」としてみんなで共有できる知識としてオペレーションの中に組み込み、
みんなには支配の経験を踏み台にしてもっともっとレベルの高い次元で失敗をしてほしい。
そしてその一人ひとりの失敗によって得られた新たな「経験知」を、今度はお互いに共有して、チームとして同じ失敗を繰り返さない、「集合知」へと昇華させてゆく…
結局はチームの「知」なんですよ。
各々の理由でメンバーの入れ替わりがあったとしても、新入生が入ったらリセットされるのではなく、ふたり木もれ陽がチームとして成長し続けられるような、
そんな仕組みづくりをこれまでもやってきたつもりです。
そして毎日のようにルールチェンジが起こり、情報が更新されてゆくこれからの時代、
しっかりと地に足つけたうえで「集合知」のもとに柔軟に動けるチーム作りを本格的に考えてゆかなければいけないよね。
ぼんやりとそんなことを考えている秋の夜でした。
いまだにしゃべるのが苦手な支配人