最近はあまり見かけることも少なくなった螺旋階段。
人や組織の成長を表す比喩として用いられることが多いですが、なるほど、最近では支配人もこの螺旋階段理論を実感する場面が多くなりました。
さて、この「螺旋階段理論」って、何なんでしょうか?
例えば支配人自身の経験を振り返ってみても、やっぱり螺旋階段を上ってきている感覚があります。
若かりし頃、ホテル業界に初めて足を踏み入れた時にやっていたのはビジネスホテルのナイトフロント。
夕方に出勤して、ひたすらマシーンのようにチェックインを“こなし”、夜の締め作業をして、仮眠して、朝早いご出発のゲストのチェックアウトして・・・
そんな日々を送っていました。
経験することすべてが新鮮で、めちゃくちゃ楽しかった!
で、もっといろんなホテルのこと知りたい!経験したい!と思って伊豆のリゾートホテルに転職して、
そこでもお掃除、レストランサービス、調理、ナイトマネージャー・・・
やっぱり色々と“こなす”日々。
そして配置転換でフロントスタッフとして配属されて、またチェックイン、チェックアウトに追われる日々。
1周か2周か回って同じような仕事に戻ってきました。
毎日毎日同じようなことの繰り返し・・・
でも、ふっと周りを見渡すと、何にも知らなかったあの頃よりもちょっと違った景色が見えるような気がする。
そうなんです、上から見るとぐるぐる回って同じ場所に戻ってきているように見えるんだけど、
横から見ると螺旋階段を確かに一段一段登って、同じ場所に戻ってきたと思ったら、そこは同じ場所じゃなくて、一周して確かに一階分高いところに立っているんです。
だから見渡す景色もちょっと開けているような、そんな感覚。自分自身の視野の広がりを感じます。
視座が上がった、というやつですね。
その後もぐるぐるぐるぐると走り回って、迷ったり、怒ったり、悩んだり、笑ったり、泣いたり・・・
「支配人」という重責を任せてもらえるようになってもやっぱり同じところをぐるぐる回っている感覚は消えません。
それでも日々お客様ひとりひとりの笑顔に元気をもらって、
次から次へと降りかかってくるトラブルに頭を抱えて、
スタッフ一人一人の成長に驚きながら・・・
支配人も螺旋階段を上っているんだと思うんです。
「壁じゃないよ、階段だよ」
壁に囲まれて身動き取れなくなっていた時に何かの本で知ったこの言葉に勇気をもらい、
意地になってよじ登ってきた壁のような階段・・・
登った先に見えてくるもっともっと大きな壁・・・
・・・望むところです。
どこまで続くかわからないけど、
みんなと一緒にもう少し高い場所まで駆け上がってやろうと思います。
あの壁の先に見える景色を木もれ陽の仲間たちと分かち合える日が来るまで・・・
いつか景色の良い場所でお会いしましょう。
今年は「八方塞がり」の年らしい支配人