ふたば大樹の知財夜話

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知財に関するトピックスの紹介、知財本の読書感想、日々の知財業務の雑感、ごく私的な思想整理などなど、知財のちょっとした話をつづります

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まだまだ暑い日が続いていますね。「ふたば大樹」の飯村です。
 
私はまだ観ていないのですが、最近、大ヒット映画「カメラを止めるな!」が著作権侵害か否かで話題になっていますね。
 
そこで今回は、映画の著作権がだれに帰属するのかについて、簡単に触れておこうと思います。
 
映画は一般的に、監督、演出、音楽、美術等を担当する人など、多数の人が関与して製作されるので、権利関係が錯綜します。
 
そこで著作権法は、原則として、監督・演出・撮影など、その映画の全体的形成に創作的に寄与した者が著作者になると規定しています(第16条)。映画の全体的形成に創作的に寄与した者とは、例えば映画監督などが挙げられ、この規定によれば、映画の全体的形成に創作的に寄与した映画監督が著作者となり、この映画監督に著作権が帰属することになります。
 
一方、この映画監督が映画会社の社員として、映画会社の意図を受けて映画を製作した場合は、この映画会社が著作者になると規定しており(第15条1項)、この映画会社に著作権が帰属することとなります。つまり、映画会社の雇われ監督の場合は、著作権は映画会社が持つことになるのです。
 
さらに、雇われ監督でない映画監督が映画を製作し、第16条の規定に基づいてこの映画監督に著作権が帰属すべき場合であっても、この映画監督が映画会社に対して映画の製作に参加することを約束しているときは、この映画会社に著作権が帰属すると規定されています(第29条1項)。つまり、映画監督は著作者ではあっても、著作権者ではなくなるのです。
 
なんだかややこしいですね。。。私自身の整理のためにもアップすることにします。
 
「カメラを止めるな!」の著作権論争がどうなることか、その行く末を今後、注目していきたいと思います。

 ふたば大樹知的財産事務所は、2018年8月から毎月2日間のオープンオフィスデイを設定し、無料の相談会を開催することとしました。

 相談内容は、知的財産に関することはもちろん、身の上相談(!)でも何でもお受けします。代表弁理士の飯村重樹が、全能力・全人格をもって相談にお応えします。

 8月のオープンオフィスデイは、8日(水)と22日(水)になります。相談をご希望される方は、以下のお問い合わせフォームをコピーして必要事項をご記入いただき、

info@ftip.jp

にメールをお送りください。

 なお、相談に基づいた別途の作業が相談日以降に発生する場合は、別途の費用を請求させていただく場合があります。

 

[お問い合わせフォーム]

・お名前:

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・電話:

・メールアドレス:

・相談内容(簡単でけっこうです):

・希望日:8月8日(水) または 8月22日(水)

・希望時間帯:

①    10:00〜11:00

②    11:00〜12:00

③    13:00〜14:00

④    14:00〜15:00

⑤    15:00〜16:00

⑥    16:00〜17:00

⑦    17:00〜18:00

⑧    18:00〜19:00

⑨    19:00〜20:00

本日の東京は、小雨模様です。「ふたば大樹」の飯村です。

 

ブームが落ち着いてきているようで、最近は以前ほど見かけなくなったような気がしますが、ちょっと前まではよく見かけたり聞いたりしたこともあるであろう第4次産業革命について、特許との関係で整理したいと思います。

 

第4次産業革命とは、大ざっぱにいえば「インターネットにつながったあらゆるモノからデータが収集され、収集されたデータがビッグデータとなり、このビッグデータが人工知能によって処理されて新しい価値(モノ・サービス)が提供される流れ」のことであると、個人的には考えています。

 

このような流れを把握するためのキーワードが、IoT、ビッグーデータ、そしてAIです。

 

IoT、ビッグーデータ及びAIといった技術を用いて新しい価値を生み出せるのであれば、その技術は特許として守ることができる可能性(あるいは特許で守る必要性)がありそうです。

 

このような技術を特許で守ることを考える場合は、これらの技術がどのようなデバイスと結びついてどのような処理を行い、それによってどのような新しい価値を提供することができるか、ということに着目するのがよいと考えています。

 

IoTとデバイスとが結びつくような場合、例えば、動物の生育状況をセンサがデータとして取得し、取得したデータがインターネットを介してサーバに送信され、サーバに格納されたプログラムによってサーバに送信されたデータに基づいて動物の今後の飼育手順データが生成されるといったような場合は、センサで取得したデータを取り扱うIoTが、プログラムが格納されたサーバというデバイスと結びついて、飼育手順データを生成するという処理を行っています。

したがって、このような観点で特許出願をすることが可能です。

 

ビッグデータとデバイスとが結びつくような場合、例えば先の動物の例でいえば、センサが取得した生育状況のデータが集積されてビッグデータとなり、これらのデータを1つのデータとして処理するためにデータを構造化して、ストレージ(デバイス)に格納します。データ構造を格納したストレージにアクセスすることによって、動物の今後の飼育手順データが生成されるのであれば、この観点でも特許出願をすることが可能です。

 

さらに、AIとデバイスとが結びつくような場合も、同様に先の動物の例を用いるならば、今後の飼育手順データを生成するプログラムがAIである場合は、AIがプログラムとしてサーバに格納されることによってAIとデバイスとが結びついて、飼育手順データを生成するという処理を行っていることから、この観点でも特許出願をすることが可能です。

 

このように、動物の今後の飼育手順データを提供するというサービスが新しい価値を提供するものであれば、そのサービスは他者に模倣される可能性があるので、特許で守る必要があるといえるでしょう。

 

ビッグデータやAIは、特許との関係のみならず、著作権との関係で気になる点がありますので、別の機会で触れたいと思います。

 

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