第4次産業革命と特許 | ふたば大樹の知財夜話

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本日の東京は、小雨模様です。「ふたば大樹」の飯村です。

 

ブームが落ち着いてきているようで、最近は以前ほど見かけなくなったような気がしますが、ちょっと前まではよく見かけたり聞いたりしたこともあるであろう第4次産業革命について、特許との関係で整理したいと思います。

 

第4次産業革命とは、大ざっぱにいえば「インターネットにつながったあらゆるモノからデータが収集され、収集されたデータがビッグデータとなり、このビッグデータが人工知能によって処理されて新しい価値(モノ・サービス)が提供される流れ」のことであると、個人的には考えています。

 

このような流れを把握するためのキーワードが、IoT、ビッグーデータ、そしてAIです。

 

IoT、ビッグーデータ及びAIといった技術を用いて新しい価値を生み出せるのであれば、その技術は特許として守ることができる可能性(あるいは特許で守る必要性)がありそうです。

 

このような技術を特許で守ることを考える場合は、これらの技術がどのようなデバイスと結びついてどのような処理を行い、それによってどのような新しい価値を提供することができるか、ということに着目するのがよいと考えています。

 

IoTとデバイスとが結びつくような場合、例えば、動物の生育状況をセンサがデータとして取得し、取得したデータがインターネットを介してサーバに送信され、サーバに格納されたプログラムによってサーバに送信されたデータに基づいて動物の今後の飼育手順データが生成されるといったような場合は、センサで取得したデータを取り扱うIoTが、プログラムが格納されたサーバというデバイスと結びついて、飼育手順データを生成するという処理を行っています。

したがって、このような観点で特許出願をすることが可能です。

 

ビッグデータとデバイスとが結びつくような場合、例えば先の動物の例でいえば、センサが取得した生育状況のデータが集積されてビッグデータとなり、これらのデータを1つのデータとして処理するためにデータを構造化して、ストレージ(デバイス)に格納します。データ構造を格納したストレージにアクセスすることによって、動物の今後の飼育手順データが生成されるのであれば、この観点でも特許出願をすることが可能です。

 

さらに、AIとデバイスとが結びつくような場合も、同様に先の動物の例を用いるならば、今後の飼育手順データを生成するプログラムがAIである場合は、AIがプログラムとしてサーバに格納されることによってAIとデバイスとが結びついて、飼育手順データを生成するという処理を行っていることから、この観点でも特許出願をすることが可能です。

 

このように、動物の今後の飼育手順データを提供するというサービスが新しい価値を提供するものであれば、そのサービスは他者に模倣される可能性があるので、特許で守る必要があるといえるでしょう。

 

ビッグデータやAIは、特許との関係のみならず、著作権との関係で気になる点がありますので、別の機会で触れたいと思います。

 

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