この旅に出る前から、いろんな人からアンコールワット、カンボジアの素晴らしさについて聞かされていた。
しかし、国境からの移動を経て、ホテルに着いた時点では、「カンボジア、とんでもねぇところだな」、という気持ちだった。
この時、東南アジアはタイしか知らなかったが、タイとは比べものにならないくらいハードコアだった。
前日の18時間の移動が堪えたのか、翌日目を覚ましたのは昼前だった。
寝ぼけ眼でゲストハウスの外に出てみると、だいたいどこのゲストハウスも持っているのだが、お抱えの食堂があり、そこでランチをとる事にした。
すると、さっそくカンボジア人の若者(18,9歳くらいか)が話しかけて来た。
うるさいなぁ~と思っていると、アンコールワットの夕焼けを見ないか、と誘ってきたのだ。
なんて魅力的な提案なんだ。
そして、彼の原チャに乗って、往復5ドルで行ってくれるという。耳を疑った。
後で分かったことだが、原チャに乗っていく移動は、バイタク(バイクタクシー)と言ってこの国、特にシェムリアップでは一般的なこと、(むしろタクシーをほとんどみかけない)、5ドルで往復は当時の相場であったこと、が分かった。
いずれにしれも、この提案は至極魅力的だったため、2つ返事でOKをした。
昼飯を終え、街をちょっとフラフラしたり、昼寝したらあっという間に約束の5時になった。
初めてのアンコールワットへの道は本当に興奮した。
バイクの後ろにまたがって(これも初めてだったのだが)、ジャングルの中を開通させたとおぼしき道を風を切って走る。
「なんじゃこりゃ~!」と心の中で叫んでいた。
ジャングルを抜けるとパッと視界が開け、アンコールワット周りのお堀の池が、そしてその先にかの有名なアンコールワットの3つの塔が遠くに見えた。
この時の感動は多分生涯忘れないだろう。
そして、この遺跡を19世紀後半フランス人が見つけた時の感動を想像した。
バイタクの彼が連れて行ってくれたのは、プノン・バケンという岡の上からアンコールワットを望む場所だった。
幾人かの旅人と一緒にジャングルに浮かぶアンコールワットを眺めた。
プノンバケンの丘からパシャリ
ジャングルの向こうにアンコールワットの塔が見えるだろうか
ここに小一時間ほどいただろうか。帰ってアンコールビールを頂く。
至福のひと時。
これだから旅はやめられない。