これは昔々、もう20年以上前のお話です。
バルーンの仕事を始めたばかりの僕は、ある会社の下請けとして色々な現場のお手伝いをさせてもらっていました。
思い出深い中に横浜のとある大きなショッピングセンターの吹き抜けにバルーンオブジェを吊って設営する現場がありました。
これは季節ごとに内容を変え、2年近く続いたと思います。
こんな感じ。
この熱帯魚の高さは2m以上あります。
アルミ棒でフレームを作り、そこにバルーンを付けていくのですが、数か月展示しますのでゴム風船ではなくデコバルーンという長期装飾用のバルーンを使います。
当店のピンクうさぎに使っているバルーンですね。
長く持つのはいいんですけど、ゴム風船に比べると重いです。
フレームに使うアルミ棒もかなりの本数を使いますから、全体の重量はかなりになります。
あ、ちなみにフレームとはこんな感じです。
熱帯魚のフレーム写真は残っていませんので違うオブジェの写真ですが、こうやってアルミ棒を結束バンドでジョイントして形状を出していきます。
そうやって制作したオブジェをワイヤーで吊って吹き抜けの空間に浮かべていきます。
作業はいつも閉店後の22時頃から始まり、終了するのは朝の6時とか7時です。徹夜作業です。
あれはたしか春バージョンで「フルーツ」をテーマにした装飾でした。
これです。
いつものように設営を終えてから1週間ほど経った頃に連絡がありました。
「ブドウが割れた!!」
吊るしていたブドウがパックリと割れて来たなのです。
構造上、完全に割れて落下する可能性は無いのですが、やはり危険ですし、見栄えも悪いです。
そして大至急メンテナンスする事になりました。
一度全部を降ろして直します。
原因はフレームのジョイント方法でした。
アルミ棒をジョイントする際、直線的に抱き合わせてつないでいました。
これだと重さに引っ張られて抜けてしまいます。
このときはジョイントを補強したりロープで重量を支えるようにするなど、すべてのオブジェを処置してから再び吊り直しました。
この失敗は強烈な教訓となり、以降は力がかかる部分はかならずL字で繋ぐようになりました。
今思えばこんな当然な事すら気付かず、手探りでトライ&エラーの時代だったんですね。
バルーンアートという言葉もやっと生まれた頃でした。
すべてが手探りの状態でしたが、とても楽しい毎日でした。
指の皮が剥けるほどバルーンを結びながら作品が出来上がっていくのがたまらなく面白く、これでお金がもらえるのだから何といい仕事なんだ!と思っていました。
デジカメも無い時代、完成した作品をフィルムカメラで撮るときの充実感。
それがスマホになった今でも、気持ちいい達成感は変わりませんね。
あのショッピングセンターに飾った他の季節のオブジェも紹介します。
これは秋。たしかこの作品は日経新聞に取り上げられ、これを見てバルーンに世界に入ってきた女の子もいましたね。
こちらがクリスマスバージョン。
そうそう。
先に紹介したフレームの写真ですが、あれはこんな作品になりました。