見なかったはずの映画覧 | ふせい白書

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あらあらまたこんなことを?よろしくないわねえー。ちょっと成敗してあげましょうよ。

見なかったはずの映画覧

今回切なさを提供してくれるのは


   「愛を読むひと」

2008年
主演:ケイト・ウィンスレット、レイフファインズ


たぶん誰にでもある体験。目的もなくつけていたテレビで、たまたま
やっていた映画についつい引き込まれしまい、終わってみると、ほん
の少しだけど、心がその映画の色に染まっていたことが。


映画を見たあとって、元気になったり、切なくなったり、悲しかった
りするのだけど、見るはずのなかった映画を見た後はなぜか切なさだ
けが残る。僕のことを見つけてくれてありがとう、また会おうね、と
映画からいわれているようで、ああ、またなって、カッコつけたくな
るような感覚。


その切なさは、ほどよく爽快で、ちょっとだけ前の自分より強くなっ
た気分だ。


今回紹介するのは、たまたまお風呂上りにひかりテレビをつけたらや
っていた映画です。
見たことある人だな、と思いながら見ていたら、あの「タイタニック」
のケイト・ウィンスレットでした。思い切りのいい脱ぎっぷりとストーリ

ー展開についつい見入ってしまい、また寝不足です。


「愛を読む人」


あらすじ(なるべくネタばれしないように書きました)


1958年のドイツ。15歳の少年ミヒャエル(レイフ・ファインズ)は突
然の病で気を失ったところを、偶然通りかけたハンナ・シュミッツ
(ケイト・ウィンスレット)の取り計らいで、大事に至らず、数ヶ月
の闘病後、完治する。

お礼を言いに行き再開する2人。ハンナは21歳年上の女性だが、そう時
間をかけずに二人は体の関係を持つことになる。

次第に心をひかれるミヒャエル。

いつの間にか、ベッドでミヒャエルが読み聞かせをするのが、二人の
愛の儀式になっていた。
毎日繰り返される読み聞かせと、情事。ミヒャエルの心に迷いはなか
った。

ところが、突然姿を消すハンナ。仕事の関係で、ミヒャエルに何も言
わずに消えてしまう。


8年後、二人は思わぬところで遭遇する。大学の法科で学ぶミヒャエル
は授業の一部で本物の法廷で裁判を見ることになる。
が、被告人としてたっていたのはなんとハンナであった。
法廷ですすめられるナチス裁判、そこであらたな事実を知るミヒャエ
ル。

そこで、ハンナを救えるのはミヒャエルであったのに、映画は思わぬ
方向へとすすんでいきます。


思わぬ展開に、終わりまで目が離せませんでした。


印象に残ったのは、ハンナがシャワーを浴びるミヒャエルの体をタオ

ルで洗ってあげるシーンがあるのですが、見方によっては、俳優は

全裸ですから、いやらしさを感じる場面でもあるのですが、あまりあ

あいうことは現実的にはするカップルは少ないと思います。

なんか、そこが、特殊な愛を二人で育てている気がして、とてもよか

ったですね。


この映画を見た後、色々な評価を見てみましたが、どの評価も”愛の
すばらしさ”といった、評価が多数を占めますが、どうも自分には違
和感が残る映画でした。


助けようと思えば助けられたのに、彼は助けません。躊躇から、決断
への気持ちの変化はとても早く感じられ、そこに気持ちの葛藤があま
りみられなかった気がします。

なのに、その後、数十年思い悩むんです。


そして、再び再開するのですが、再開して初めて口にした言葉が、なん
とも気の利かない言葉だと、自分は思いました。


これだけ人を感動させて、あまり人のしないようなことをして、一人
の女性の気持ちの糧になった男が考え抜いた言葉のようには、感じら
れず、どこまでも残念なミヒャエル、という印象が残るのは自分だけ
なのでしょうか。

そうはいっても楽しめた映画です。見てよかったと思います。


私の感想はともかく、見て後悔はしない展開のある映画ですので、ぜひ
ご覧になってください。