うちの
母はエスパーなんですが、最近、父は微生物だと判明しました。
ワイナリーをやっていくにあたって、どんな価値観でブドウを育てていくか色々考えます。そして、この日記での10年間の記述からもにじみ出ていると思いますが、究極的には、
【自然農法】
を追究していきたいと思っています。詳細は割愛しますが、要は慣行農法(ここ100年に開発された近代的農法)のように、除草剤や農薬や化学肥料を使わない農法です。”自然”の摂理に沿って育てていくやり方。超難関ですが、実に僕らしいと僕自身思います。
さて、自然のままの森林等では、時間が経つに連れて土壌の豊かさが増していきます。草が生え、大小の生物が生きては死に、
生産者→消費者→分解還元者→生産者・・・(以降、分解還元者=還元者)
というサイクルが行われていきます。
ザクっと、消費者=動物、生産者=植物、還元者=微生物等 です。
http://save-planet1.org/purification.htmlいわばプラスの循環です。
これを農業に適用する(自然農法)場合、この自然のサイクルを存分に取り入れることによって、収穫で取る分よりも、土壌が豊かになる速さの方が速くなり、人為的に肥料を入れたりして土壌を豊かにさせる必要がなくなります。
例えば、子供は、肉体的な若さ・健全さゆえに、動きながら回復していくので、「ああ~温泉癒されるわ~」とか言いながら疲れを癒やす必要がありません。もしくは一晩寝たら復活します。そんな感じ(笑)。
しかし慣行農法は、”コストを減らし且つたくさん収穫する”、という効率一点のために農薬などを使って虫や病気、雑草などの悪影響を排除します。そして野菜や果樹を育てるにあたって、畑に肥料を定期的に施用していきます。そうしないと、人間が定期的に実や葉っぱを収穫をしていくので、栄養が足りなくなってしまうからです。即ち、土壌中の還元者や生産者を滅してしまい・・・、プラスのサイクルを分断し土が自然に豊かにはならないので、その分を人工的に埋める必要があるわけです。
それが慣行農法であり、しかしその効率化・生産性の向上によって、食糧を大量に供給できるようになり、人類の数の増加という現在の結果を得ることができているので良し悪しですね。現代に生きるあなたも私も、この技術のおかげで生まれた存在なのでこれも大事な過程だと思います。
しかし、無限の調和能力を持つ自然の力を人間が全てコントロールすることはまだまだまだまだ不可能であり、食糧の大量生産のための効率化というメリットの裏で、様々なデメリットが噴出し続けています。
そこで今、農業の世界でも自然農法が見直されつつあるわけですが・・・。
人間という消費者が奪い取るエネルギーよりも大きなエネルギーを、土壌中の生産者は一生懸命生み出していきます。そしてその生産者が活動するための土台を作るのが、還元者。
動植物の死骸を分解したり、色んな”異物”をまろやかに変化させ土壌に調和を生み出す縁の下の力持ちです。
さて、全然話が飛ぶんですが、父は、定年退職をして15年。今はこんなあり方で日々を生きています。
黙々と、マイペースに日々の鉄のトライアングル(TV→畑→ビール)を繰り返しながら、淡々と、非常にゆっくりと・・・、
・私の鑑定事業や家族が出したゴミがちょっと適当にまとめられているものがあれば分別し、
・コンポストに逐次投入されていく家庭の生ごみは機を見て畑に還し、
・可燃ごみでうちで燃やせるものは山に行って燃やし(山間の田舎なので燃やせる場所があります)、
・出た灰はコンポストか畑や田んぼに還し、
・毎年家族のために野菜や米を安定的に作って供給し続け、
・山から木を切ってきて薪を作り(うちの風呂は電気と薪どちらでもOK)
・庭や畑がちょっと散らかっていたらあるべきものはあるべきところに戻し、
・昨年から私が始めたワイナリー事業のための活動で手が回らない準備作業や後始末や調整をいつの間にかやってくれ・・・
家族や地域の中では、性格はかなりわがままでマイペース、”我”を通す頑固者なんですが、地球レベルで考えると、日々の生き方そのものは、全てを受け入れて自然のままに生き・・・、”我”が消失しているイメージです。何の文句も言わず黙々と片付けてしまうところに、器の大きさを感じます。
なんか、隙間を埋めてくれるこの有りよう、何だろう、何かに似ているな・・・と思っていたんですが、それが、”土の中で隙間を蠢きながらあらゆる調整をして、元に戻したり調和を取り戻したり、他の存在が豊かに生きる環境を作ってくれる「還元者」”だ!と気付いたわけです。
常々、僕も、若さをベースとした力強い働きができなくなった暁には、自分のできる範囲で、薄く、広く、「他の人が生きやすくなるお手伝い」をする役割を黙々と担いながら、徐々に消えていく生き方ができたら良いなぁ、と思っていたんですが、まさに父の生き方はそんな感じでした。
元気のある者が世界を貪欲に進めていくその裏で、食い散らかされ、生き散らかされた色んなものを、黙々と調和と再生産の方向に熟成させていく役割。
一般的に人間は、
・幼少期:消費者
・青年期~壮年期:生産者
・老年期:還元者
という役割を経て、そして地球に還っていくんでしょうか。あるいはそれは、器の大きさの変遷なのかもしれないとも感じます。
先頭を突っ走る人だけが、世界を作っているのではない。
世界の奥深さと色んな役割の存在を、父を見て思うのでした。
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4月:90.0km/84km 4月26日昼
5月:43.0km/84km 5月16日昼
2016年:447.0/1000km
総計:4636.9/10000km(2012年~2021年末まで)