「無印良品」山科店オープンは、山科になにをもたらすのか? | ふるさと会のブログ

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山科の魅力を山科の歴史を通じて記録しようと思います。

ねこまねき

111日、駅前のラクト山科ショッピングセンターから撤退した大丸のあとに、「無印良品」がオープンした。

地下1Fは、産地とこだわり食材がテーマの生鮮食品、無印良品のカレーや出汁にこだわるうどんなどのフードコート。1Fは、子どもと遊べる「木育広場」、無印良品が選んだくらし関連の書籍を紹介する「MUJI BOOKS」、バックや洋服、タオルなど無印良品の布製品をオリジナル刺繍でカスタマイズできる「刺繍工房」、ギフトにもなる無印良品の菓子コーナー、食事ができる「CaféMeal MUJI」がある。そして2Fはくらしに役に立つ衣料品、生活雑貨などが展開され、地下1階から地上2階までの3フロア展開の売り場面積は実に関西最大級なのだそうだ。

大丸、ブライトンホテル、ドンキホーテの相次ぐ撤退で、山科がどんどん寂れていくようでさみしい思いをしていた山科区民としては、最近の新十条通りに新しくできた生協ストアと、そしてこの駅前の売り場面積関西最大級をウリにしている無印良品のオープンは、なんと言っても明るい話題だ。

 

MUJIはもともと好きなブランドだったから、駅へ出かけるついでにオープン翌日から34回、立ち寄ってみた。なんとJR山科駅前からの地下道が、MUJI色とMUJIを想像させるナチュラルウッドで改装されて、誘導路のようになっていた(JR桂川駅と桂川イオンを思い起こさせる)。114週目の日曜日でもまだまだ大盛況は続き、レジは長蛇の行列、並んでいる人の人数が多すぎていまだにMUJIカフェには入れず、フードコートも座るところがなくて一度も食べられずにいる。わざわざここを目当てに来たわけではないしいつでも来ることができる、と地元民としては一歩ひいてしまった。というのも客層を見ていると、特に土・日は、山科区民ではなく狙い通り、どうも京都市内・関西一円からの集客で賑わっているように見えるからだ。

しかし山科の駅前全体に人が多いようには見られない。駅から直結で、MUJIの中だけが混雑しているのだ。MUJIのなかで食事ができず、あふれた客が流れているのは隣接するマクドナルドぐらい。駅前周辺の店舗の売り上げはどうなのだろうか。そしてこの賑わいはいつまで続くのだろうか……。

靴を脱いでくつろげる子連れには嬉しい「木育広場」や、居心地のよさそうなテーブルがありコーヒーを飲みながら本が読める、いわゆるブック&カフェ形式の「MUJI BOOKS」などを見ていると、店頭、売り場というよりも、消費者がそこで時間を過ごしに行くスペースづくりをめざしているように思える。健康志向や生活の質にこだわるコンセプトも明確にしている。

いまAmazonなどネットショッピング、通販の全盛で、店頭での物品販売は苦戦していると聞く。消費者は何か必要な商品があってショッピングセンターに買いに行く、というより、「〇〇に行く」ことそのものが目的、イベントの一種となり、それだけの話題性がなければ店舗に人が来なくなっている時代が来た、と痛感させられた。ショッピングセンターはレジャーの一種なのだ。子どもひろばやブック&カフェのようなアイデアはこれからも次々と出てくるだろう。

いっぽうこうした話題性のあるブースに敷地面積をさいているせいなのか、関西最大級の売り場面積を謳っているわりには、力を入れている主力商品とそうでないものとにはっきりと分別されているようで、全てにわたってアイテム数が多い、という印象は受けなかった。トラベルグッズやステーショナリーなどの売り場は相対的に狭い。リピートなど商品名が明らかにわかっている場合は「ネットで買え」ということだろうか? 

 

人口13万が暮らし、JR京都駅から一駅、市内中心部から地下鉄で10分で来ることができ、駅前に広い売り場面積を確保できる山科駅前。MUJIにとって、これは壮大な実験場なのではないだろうか?

その実験が成功を納めても失敗に終わっても、「あとは野となれ山となれ」式で、数年で山科からサッサと出て行くのだけはやめてほしいな……と区民としては切実に願いたいものだ。