続《six》17 | すーぱーじゅにあ ウネがかわいいっ 月子のブログ

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オオトモの事務所に行くと



「オトウチャン」


「オトんチャ?」


「オ、ト、ウ、チ、ャ、ン」


「オトチャ」



コウキとドンヘが日本語の練習をしていた。



「何してんの?」



声をかけると



「ドンヘさん…ドンヘ…ドンヘちゃんがアッパって日本語でなんで言うのか聞いてきたから教えてたんだ。親父のことアッパって呼びたいんだって」



きみも、ドンヘ「さん」呼び→呼び捨て(やぱムリ)→ドンヘ「ちゃん」付けで行く練習かい?


「オトチャンって言うの?」


「いや、オトチャンじゃないのよ。オトウチャン、もしくはトウチャン、もしくはトウサン、もしくはオトウサン、もしくはオヤジ、もしくはパパ、もしくは…チチウエ、もしくは…」


「どんだけあるんだよ!?日本語のそういうトコがムズイのよ」


「いや、簡単だろ?『オトウ』もしくは『トウ』に『ちゃん』か『さん』つけりゃいいだけなんだから。だからオトウチャンが一番イイかなって思って教えてるんだよ。けど、俺はドンヘさ…ドンヘちゃんのオヤビン呼びが一番可愛いくて好きなんだけどな」


「オレもそう思う」


「オトチャ…オトウチャ…オトウチャン?オトウチャン」



当のドンヘは聞いちゃいない
必死に練習中


練習中のドンヘを残し、オレはひとりでオヤブンサンの部屋へ



「オヤブンサン」


「おお、ヒョクチェか入れよ。どうした?」


「マスター、、、ワタルヒョンにアパートの件を聞いて」


「ああ…お前とドンヘに管理をしてもらおうと思ってな。」


「管理?」


「それは聞いてないの?」


「はい」


「航はノルテ、聖は組、お前とドンヘはあのアパートだ。」


「そんな…オレらなんかの為に…」


「馬鹿野郎。俺らなんかって言うんじゃねえよ。息子は平等に可愛いんだからよ。」



っ…どうしよう
泣きそうだ



「あ…ありがとうございます」


「なあ?ヒョクチェ」


「はい」


「この街に住む事に決めたのなら、もう少し力を抜いて生きろ。ドンヘも自由になった。これからはお前も自由に生きていいと思うよ」



マスターもオヤブンサンもオレが無理をしているように見えていたんだな。

頑張ってるつもりはなかった。

ドンヘが幸せならオレも幸せだって思ってたし
それは今でも変わらない。
ドンヘと一生一緒に生きていける、それがオレの自由に生きていくという意味だから



「まあ、アパートの管理はしてもらうから自由ではないか笑」


「オヤブンサン」


「ん?」


「オヤブンサンはずっとドンヘを息子にしたいって思ってたんですか?」


「どうだろうな…。あの子の施設の近くで見守っていた時、なんでこんな仕事を引き受けちまったんだろうって思ったよ。あの子が幸せに暮らしているのならよかった。けど、現実は…
あの子が殴られたり金を巻き上げられてたりするのを見て航や聖がやられているのと同じ感覚になったよ。だから…」


「ヒョクゥ〜?どこぉ〜?」



オオトモのオヤブンの声を遮るようにドンヘの声が聞こえて来た。



「ここだよ!?オヤブンさんの部屋!」


「なんだよぉ〜!?二人でプリン食べてるんじゃないでしょーね!?オレもまぜろーー!」



とか言いながらドタドタと二階に上がってくる足音



「プリンはないけど、いまオヤブンサンからアパートの話を聞いてたんだ」



ドンヘにオオトモのオヤブンサンから提案されたアパート管理の話をしてやると



「オト…ビン」



あんなに練習をしていた「オトウチャン」という言葉、本人を目の前にすると、やはり言えないらしい



「オトビン?オヤビンて言えてたのに、急に日本語がおかしくなったな笑」


「いろいろ…アリガトゴジャイマッシシシ…」


「なんだよ?んな大したことしてねえよ。」


「んんん…優しくしてくれた。ヒョクを連れて来てくれて、オレのわがままを全部聞いてくれた。ホントのジイチャにも合わせてくれた。そんでオレとヒョクを家族にしてくれた。オレたちのアッパになってくれて…オレたちをオオトモタケシの息子にしてくれて、オレたちを世界イチ幸せにしてくれた」


「っ…」


「オレもお礼が言いたいです。ドンヘを守ってくれてアリガトゴジャイマス。オレたちを助けてくれてアリガトゴジャイマス。これからも…ヨオロシクゥオネガイシマス」


「分かった!もういいから、、、もう…これ以上年寄りを泣かすんじゃねえよ。バカヤロウ」



ぷいと顔を背け涙を拭うオヤブン



「あ、あともう一つあった!」


「もういいってのに」


「イチュゥモ、オイシ、プリンカッテクレテ、アリガト!」


「あ、んははっ…はいはい分かったよ。じゃあ今から買いに行くか。ヒョクチェ、お前は行ったことねえだろ?あの店」


「あ、はい。ないです」


「じゃあ行こうか」


「うわ!やった!」


「うわーい!ヒョク!オヤビン!早く行こ!」



ドンヘが立ち上がりオヤブンサンの腕を掴んで急かすように立ち上がらせる。



「そんなに急かすなって、よっこらせ!」



3人連れ立って外に出た。






ドンヘがぴょんぴょんと跳ねるようにして走り出すのを笑いながら



「こら、走ると転ぶぞ⁈」



優しく注意するオヤブンサン
一旦立ち止まってドンヘが戻ってくる



「んもー…遅いぞ!オ…オトウチャ!」


「あ、、、ああ。うん、そうだな。急がないと売り切れちまうかもしれねえな」



言いながらオヤブンサンはドンヘと手を繋ぎ



「ヒョクチェもだ」



オレの手を握る
オヤブンサンの手の温かさがオレに勇気をくれる



「っ…うん!早く買いに行こう。オ…オトウチャン」



オヤブンサンに敬語を使わないことに少しドキドキしたけれど
オトウチャンと呼べる人がいる事にジンワリとした温かみを胸に感じる。



「ふふっ…ああ、好きなもん好きなだけ買ってやるよ。今日は特別だ」



こうしてオレたちは、新しい家族と
日本という国で生きていくと決めたんだ。





















おわり