『ひなまつり』でタンしお | ほぼテンダネスのブログ

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時々更新する気まぐれブログです。
よろしくお願いします☺❤

明日から3月ですね。

大好きな甘楽さん❤から「『ひなまつり』でタンしおを書かれては?」と楽しい宿題をいただきました︎‪💕

すみません「短編小説」のはずなのにいつもの如く短くないです💦

読んでもらえたら嬉しいです🥰



『パリピ三人官女』


「あぁ〜痺れた!」ずっと座っていたさっちゃんが足をさすっている。

私は酒器を膝に置きアヒル座りした。

さっちゃんの右手のしずちゃんも座り込む。

それを皮切りに皆がザワザワと話し出す。

しずちゃん「久しぶりに並んだけど、お母さん以外の家族は、ゆっくり見てくれないね」

さっちゃん「仕方ないわよ〜毎年だから飽きたんじゃない?」

私「え〜年に1回しか出ないんだからそこは『お雛様は綺麗だな〜』って言われたいわ」軽くため息をつく。

そう、私達はお雛様の三人官女だ。

今は3月2日の夜。

「昨日もお嬢さんは、目の前で硯をいじってただけだしぃ」としずちゃん。

「あ、あれケイタイって言うんだよ」と私。

ふと、さっちゃんが、上に座ってらっしゃるおふたりを見上げて「相変わらず仲睦ましいお姿は羨ましいです〜」と言うと、お殿様とお姫様は顔を見合わせてクスクス笑っている。

「ま、ちょっと飲もうよ」しずちゃんが提子(ひさげ)から私の持つ長柄銚子にお酒を移した。

私はそれをさっちゃんの持つ盃に注ぐ。

「殿様、姫様、どうぞ」おふたりにお酒を勧めてから、私達も飲む。

下の方から「おーい、こっちに来て一緒に飲もう」と聞こえたけど、ガン無視。

五人囃子が演奏を始めた。

ほろ酔いでいい気分。

「ねぇねぇ、遊びに行かない?」としずちゃんが言い出した。

「え、どこに?」「楽しそ〜」さっちゃんと私は乗り気で、私達はスルスルと雛壇を降り「あ、いかんだろ!」と止める右大臣を振り切って部屋の外へ出た。

「さ、人間に化けよ」


私達は、初めて人間に化けた。

今日お嬢さんが着ていた紺色の服を作り出し、身に纏う。

「人間界ってなんだか眩しいね〜」

夜の街をワクワクキョロキョロしながら歩いていると、男性3人に声をかけられた。

「あれ?君たち、そのジャージは⋯N高の生徒?」

「俺達もN高出身だよ」

「えっ?」エヌコウって何?

「3人とも可愛いね。そこのカラオケ行かない?」あら、可愛いですって、嬉しい。

しずちゃんが「カラオケ?」と聞くと

「そう。皆で歌おうぜ」

これって、歌合(うたあわせ)に誘われているのかしら。

こうしてカラオケに行くことになった。

キラキラ光る部屋に入ってから、文箱を探すがそれらしい物はない。

急に大きな音が鳴りびっくりする。

さっちゃんが「あ、この曲お母さんが歌ってた」と聞き入っている。

「それにしても、君たちの髪型って変わってるね」

「そうですか?」どこか変だったかな?

さっちゃん「おすべらかしって言うんですよ」

しずちゃん「あっ・・・。は、流行ってるんですっ」

「流行って⋯あ〜見た事あると思ったらこれに似てね?」

そう言って男性はケイタイを私達に見せた。

そこには、間違いなく私達の殿様と姫様がいた。別人形ではない。そして、私達の姿も。

「!?」

「明日ひな祭りだもんな。この人の雛人形も綺麗じゃん。えっと〜『もうすぐ一人暮らしします。お雛様は家に置いて行きます。#一人暮らし楽しみ#おひなさま#お父さんお母さん元気でね』だって。この女の子、新生活始めるんだな」

三人で目を合わせる「つまりは、お嬢さんがお家を出るって⋯」

直ぐに皆に知らせなきゃ。

「ごめんなさい!用事を思い出しました」

「私も!」さっちゃんとしずちゃんが部屋を出る。

「えっ、もっと遊ぼうよ」出て行こうとする私の腕が掴まれたけれど、引っ張られたタイミングが悪かったのか腕が抜けてしまう。

「う、うわ!!」私の腕を持って腰を抜かす男性。他のふたりも驚いている。

「ごめんなさいっ」腕を取り返し、私はさっちゃん達を追いかけた。


元の体に戻ったけれど、慌てたせいか着物が幾分乱れている。

「皆さん!聞いて。お嬢さんがお家を出られるそうよ!」

「なんと、そうなのか?」と殿。

「お嫁に行かれるの?」と姫。

「いえ、違うみたいです。お嫁入りではなくて、一人暮らしと」

お囃子の笛君が「えーひとりなんて寂しい暮らし、お嬢さんに耐えられるの?」と眉をひそめた。鼓君は「きっと、屋敷は荒れ放題で食べる物も作れず、儚くなるよ」勝手に殺している。

私「そこは逞しく生きていくと思うわ」

さっちゃん「勿論、お嬢さんの事は心配だけどお母さんが食べ物を送るだろうから大丈夫でしょう。問題は私達が家に置いていかれるって事。お嬢さんの居ない家で、私達が飾られると思う?」

左大臣「そうだな。お母さんはお嬢さんの為に私達を出してるみたいだから、居ないとなると⋯」

しずちゃん「ひぃ!この先、暗い箱の中にずーっと入りっぱなしって事?」

シーンとなり、皆白い顔を益々白くさせた。(赤いお顔の右大臣も白く⋯)


朝になり、ひなまつり当日。

静かに部屋に入って来たのは、お父さんだった。

「はぁ⋯」ため息をついている。

ふと、私を見つめ手を伸ばして来た。

「あれ?肩の所が変だな」お父さんは、私のズレた腕を上からクイッと動かし、着物を整えてくれた。

「娘が家を出るんだ。寂しくなるなぁ。お雛様を飾るのも今年で最後かな」

そこへお母さんが入って来た。

微笑んで雛壇の前に座る。

「覚えてる?あの子が3歳の時、着物を着てお雛様と写真を撮ったわよね。あの後、あの子菱餅を取ろうとして雛壇によじ登ったのよね、びっくりしたわ」

「あの時は慌てたな、大した被害が無くてよかったけど」お父さんは苦笑いしている。

「あの子が家を出ても、ひな祭りにはお雛様を飾りましょ」

「まぁ、男雛と女雛位はな」

えっ、殿様と姫様だけ?

「あら、私が毎年全部飾るわ。で、あの子を呼んでひな祭りをするのよ」

「フーン。来るかな」

「あの子の好きなちらし寿司とフライドチキンを用意すれば来るわよ。そのうちお酒も一緒に飲めるかも」

「・・・。来年は飾るの手伝うよ」

良かった!来年も再来年も飾ってもらえる!


その夜、皆で楽しく喜びの舞を踊った。


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お粗末さまでした😅

最後まで読んで下さって、ありがとうございます❤


ひな祭りのご馳走と言えば、お寿司とか蛤のお吸い物しか思い浮かばないほぼテンです。

ただ、ひなあられ(ご馳走じゃないけど)だけは外せないと思っていますw