ちなみにウチは女子プロレスブログではございません(笑)。

そっち系のエントリをすでに44も立て続けにアップしてるけど、ウチは基本的に映画の話が多い。

アメブロの「ブログランキングに参加」とかいうのあるだろ? 俺は参加してない。

というのは、なんかジャンルを1つに決めなきゃならなくて、そのジャンルと関係ないエントリが5回だか続くと設定が解除されるとかなんとか。だから映画ブログとして参加することは出来んのよ。別に映画の話だけしてるわけじゃないしね。

…というわけでずっと読んでる人からすると“最近どうしちゃったの?”って感じかもしらんけど、別にどうもしてない。大丈夫よ。路線変更とかないから。(にしても女子プロレスの話続き過ぎじゃねーか!?ってのはもっとも・苦笑)

…というワケで今回はメル・ギブソンの映画『ブルータル・ジャスティス』いってみっか。

メルギブともう1人の男の刑事コンビがやり過ぎで停職になり、金に困って、金を奪った強盗からさらに強奪するというダーティプラン発動!

といっても派手なアクション映画ではない。ここ注意!

本作の素晴らしいとこは今時珍しくじっくり落ち着いたテイストの映画であること。腰が据わってるとこなんだよ。

ガチャガチャしてない、軽くない。

21世紀以降の早い展開・切り刻みまくった編集・CGアクションetc.なガキっぽい映画に辟易してる年齢層の高い男にはかなりいい感じの映画。

さらにランニングタイム159分。しかし退屈じゃない。

でも今の奴らは堪え性がねェからな。だから短文のSNS、本も読まねェし、ネットの記事の文章は短いし、長いと「長ぇよ」と文句タレるし、物事すべてにおいて結論をとっとと知りたがるし、落ち着いた映画にはプロットに無駄が多いなどと知ったカオしてホザく。

ガキは長いの耐えられないからね。だから昔のアニメ演出は脈絡なんかなくてもいいから5分に1回クマでも出しとけ、なんてのがあったわけだよ。でないと子供は飽きて他のことやり出すから。それが今や世間では大人といわれる年齢の奴らまでそうだからな。本作を映画館でなく家で観てたらスマホ見始めるわけよ。

本作は長回しワンカットとかでもないのに1つのシーンが長く描かれるんで、長回しワンカットとは違ったリアル感が感じられる。

「もうちょっとサクサクいってほしかった」と感想言ってる奴がいるが、サクサクいったらこの感じは絶対出ないんだよ。

(それにサクサクいってほしいなら映画でなくテレビドラマを見ていろ。テレビドラマは台本と出演者で推進する。映画というものはそうではない。)

「もうちょいムダを省いてスッキリさせて欲しかった」っつってる奴もいたが、いやいやムダじゃねェから! テレビゲームばっかやってるとこうなんのかな?

クライマックスで主人公たちと強盗団の攻防になるが、これも撃った外した撃ち返した仕留めた爆発したなんてチャカチャカ進まないからね。そんなんだったら単なる“段取りアクション”で終わってた。そうじゃなく、先述した「リアル感」で臨場感がかなりあり、緊張感が、…この緊張感ってのも次から次に危機をこしらえるような浅はかな緊張感じゃなくて、観ててその場に置かれてるかのようなどんよりした緊張感を味わわされることになるのよ。その攻防は通常のアクション映画のように派手ではないが、派手でないがゆえ硬質であり手に汗握る。

バイオレンスも結構強烈なのだが、ことさら見せつけるでもない。でも強烈なんである。

それはただ単に派手にダイレクトに見せつければ強烈なのではなく、例の「リアル感」の中で起こるから強烈に感じられると思われる。

総じてスーパーコップなんかじゃない普通の警官たちのダーティプランの展開を、体感…というより至近距離で観察してるようなリアル感。

会社からもっと短くするように言われても監督は頑なに切らなかったそうなんだけど、この監督が描き出したかったのはコレなんだろう。もっと短くテンポよくしてたらよくある単なる“段取りアクション”映画で終わってた。

メルギブのスカッとするアクション映画だと思い込んで観た人は期待外れだったろうが、メルギブを起用したのも正解だったと思うよ。前に言ったけどメルギブは映画の映像に耐える役者だから。メルギブのシブさは本作のテイストに合致してる。

相棒役の俳優は俺は知らないんだけど、あまりパッとしない役者で、でも逆にそれゆえメルギブとは違った意味で本作に合致してるといえる。華のある役者だったら本作のリアル感を殺いでたかもしれない。

 

ダイアローグに関して。

検挙シーンで女が「私は見逃してくれるって」と言うのに対して黙ってるメルギブが相棒に向かって「理解できた?」は間(ま)が素晴らしくて笑える^^

本作のメルギブは推測でものを言う時にパーセンテージで言うのだが、相棒のある質問に対してメルギブ「50%」 相棒「2択で50%じゃ意味ないだろ」

本作は2人の張り込みシーンが多く、観客は2人の会話をかなり見せられる。

メルギブが相棒をプランに誘うやり取りなどストーリーに直結する会話もあるが、卵サンドのくだりなどストーリーと関係ない会話もある。

感想でよく見かけるのがタランティーノを引き合いに出したり、ダイアローグでキャラクターを深く描いてるだとか、でも俺それ違うと思うけどね。

俺に言わせりゃタランティーノの映画は全然映画足り得てない。登場人物がダラダラ話してて、アイツの映画ってテレビドラマでやりゃいいじゃんっていうさ。アイツの作品は映画じゃなくてテレビドラマレベル。

しかし本作はダイアローグも先述のリアル感って感覚に繋がってく要素の1つなんで(「至近距離で観察してるようなリアル感」ってやつね)、ムダじゃないし映画足り得てるといえるんじゃない?

本作の長々としたダイアローグは、キャラクター「も」描いてるかもしれないがキャラクター「を」描く為のものではないと思うよ。

俺らは普段の日常生活でドラマティックなセリフなんか交わしちゃいない。

人の生き死にも通常「生きて帰ったら結婚…ブフォッ!」とかやったりしてない。

結構ある張り込みのシーンも、実際彼らのようなプランをやろうとしたら、よくあるアクション映画のようにはとっとと展開しない。劇中描かれてるが、ターゲットの動きを追わないとならない。これを端折ったら例の「リアル感」は出ない。

あと本作、ずーっと固定で撮られてる。

本作の長々としたダイアローグも急に訪れるあっさりした人の死も延々続く張り込みも動きのないカメラワークも、クライマックスの強盗団との攻防同様「至近距離で観察してるようなリアル感」に繋がるんだよ。端折ってテンポよくいったり派手にしたりやたら動きがありまくったら絶対ダメなんだ。それじゃその辺のアクション映画と変わらなくなる。本作でこの監督がやりたかったこととは全然別物になってしまう。

 

ちなみにクライマックスの攻防はまた別の意味で観応えがある。

冷酷な敵たち。装備もそれなりにある。

しかしメルギブたちも拳銃だけでなく、相棒のライフルがある(相棒は元陸軍)。さらに催涙弾や防弾マスク&ベスト、ガソリンまで用意している。

探り探りの攻防。やがて敵の人質まで使った攻撃。対してメルギブも敵の防弾車をガソリンぶっかけて燃やそうとする。

観てる時は低温な演出なんで地味に感じるかもしれないが、こうして文字に起こすと決して地味じゃない(笑)。

 

…重ねて言うがまったく派手な映画じゃない。「至近距離で観察してるようなリアル感」、それが本作の醍醐味。