罪悪感による過食と嘔吐 | 介護の最前線 〜どうなる?これからの未来〜

介護の最前線 〜どうなる?これからの未来〜

ケアマネジャー(介護支援専門員)としてのキャリアを持つ。
ミロスシステムを実践すると様々な人間関係、更にはありえない程の利用者様の劇的な変化、働くスタッフの能力開花を体験。
自分も職場も人間関係も全てを変えられる!と確信する。

6/6にブログで紹介しましたHさんの体験の続きです。

20年間苦しんだ摂食障害から脱出し、人生を再生させた女性(Hさん)の体
験をお伝えしています。

摂食障害は、一度発症すると完治するまでには長い時間がかかると言われています。
Hさんもいろんな努力を続けてきましたが、どうしても終わらせることができませんでし
た。

「どうすればこの苦しみから抜け出せるのか…」

出口の見えない闇の中にうずくまっていた彼女に一筋の光が差します。
後半は、ミロスシステムに出会った彼女が摂食障害から解放されていく様子をお伝えし
ます。


『摂食障害からの脱出』(シリーズ後半)

Hさんは、醜い自分を隠して理想の自分を演じる人生に心身ともに疲れ果てていました。
誰にもわかってもらえない孤独感や自分を偽ることへの罪悪感にさいなまれ、その虚し
さから逃れるために過食と嘔吐を繰り返す毎日…。

「もうこれで最後…」

そう決めたつもりでも、自分の中に鬱積した否定的な感情が簡単に消えることはなく、
再び過食に走ってしまいました。

「私は一生このままなんだろうか…」

あきらめかけたとき、彼女はミロスシステムに出会ったのです。

彼女が衝撃を受けたのは、「人間の内面が “目の前の外側の世界” に様々な現象として表
れている」ということでした。

そして、そのシステムを知らずにいることがすべての問題の根源であることを知ったと
き、自分が問題視していたものが問題ではなくなり、敵視していた人たちが敵ではなく
なりました。

彼女は幸せになれることを直観し、これこそ自分が探し求めてきた “答え” だと確信した
のです。

彼女はさっそく自分の “外側の現象” である摂食障害をつくり出した “自分の内面” を知
るために動き出しました。
ミロスシステムに基づいた、人間が悩んでいるさまざまなテーマに直結した講座に飛び
込んだのです。
彼女が選択したのは、心の病をテーマにした講座でした。

同じテーマを選択した人たちとおこなわれるグループセッションの場では、そのテーマ
をクリアした体現者のリードのもと、参加者一人ひとりが心の中にあるものを順番に打
ち明けていきました。

Hさんも子供の頃からの苦しみ、父のこと、母のこと、夫のこと…等々、初めて自分の苦
しみを出すことができました。
そして、感情が高まったとき、心の奥底から叫ぶような声が出てきたのです。

「私は本当に頑張ってきたんだ!
もの凄く努力もしたし、精一杯やってきた!」

そう言った瞬間、彼女はハッとしました。
今まで気づかずにいた “頑張ってきた自分” がそこにいたのです。

それまで彼女は、「こんな私ではダメだ」「もっと頑張らないと」というように、自分
に対して不足感しか感じていませんでした。
つまり “ダメな自分” しか見えていなかったのです。

子供の頃から家族のために “いい子” を演じ、無意識のうちに「自分には価値がない」
「いい子でなければ愛してもらえない」と思い込んでいました。
常に人の顔色をうかがい、空気を読んでは先回りする子供で、周囲の反応や評価ばかり
を気にしていました。
つまり、自分の中は “空っぽ” だったのです。

誰といても、何をしていても、孤独感や虚無感から解放されることはありませんでし
た。
彼女はその大きな欠乏感を家族のために頑張ることでなんとか埋めていましたが、19歳
の時に「自分は家族の役に立っていなかったのだ」と思い込んだことから摂食障害が始
まりました。

過食と嘔吐を繰り返すダメな自分を隠して理想の自分を演じても、演じた分、一人にな
ると虚しさに襲われます。
その結果、彼女は再び過食に走り、それが自己嫌悪という形でさらに欠乏感を増大させ
ていたのです。

無意識に取り込まれていた “抜け出せなかった仕組み” を知り、彼女は驚愕しました。
そして、こうして自分のことを紐解いていくうちに、彼女は摂食障害を引き起こすネガ
ティブな感情や自分を否定する思考、そして、今までの生き方のパターンから抜け出し
ていきました。

Hさんがさらに驚いたのは、子供時代に見ていた父も母も、自分の内面がつくりだしたも
のであるということでした。

母に暴力を振るう父、黙って耐えるだけのかわいそうな母 ─ このような両親の関係性
は、自分を否定する “攻撃的な自分” の姿と、自分に否定されて “閉ざす自分” の姿を同
時に表していたのです。

「私があんなにも家族のために頑張れたのは、心の奥底では『父に愛されたい』『母に
抱きしめてもらいたい』と思っていたからだ」

それを知ったとき、彼女が両親に感じていた抵抗感も消えてしまいました。
すべては自分の内面がつくり出した幻想だったのです。
気がつけば、孤独感も、虚無感も、不安も、自分の中から消えていたそうです。

あれほど他人の目、外側の評価を気にして生きていたHさんの姿は、今やどこにも見あた
りません。
20年間、摂食障害に苦しんできた人生は完全にリセットされ、彼女はまったく新しい人
生を歩みはじめたのです。

(終わり)