雨が踊るガスストップ | フラチナリズムオフィシャルブログ「アメーバさんが僕らをパワードしてくれるなんて夢に決まってる」Powered by Ameba

フラチナリズムオフィシャルブログ「アメーバさんが僕らをパワードしてくれるなんて夢に決まってる」Powered by Ameba

フラチナリズムオフィシャルブログ「アメーバさんが僕らをパワードしてくれるなんて夢に決まってる」Powered by Ameba

雨が踊る♪


ガスストップ♪




ガスストップ!



モリナオフミです。
皆さんお元気ですか?
僕は元気です。

長めの遠征を終え東京へ戻ってきた私に、それは急に訪れた。
高知からの道のりを車で帰ってきた私は疲れのせいか、そのまま眠りについた。
あくる日目が覚めて、シャワーを浴びようとおもむろに風呂場へ向かった。
季節は冬。東京は今年一番の寒さに見舞われていた。
『今日はなかなか寒いなー』
そんな独り言を漏らしながら、ジャージを脱ぎ捨てタオルと替えの下着を手に取り風呂場へと向かった。
ちなみにこのジャージは北海道でアパレル業を営む知人にセットアップでもらったお気に入りの部屋着だ。
ちなみにここで手に取った下着は、以前交際していた彼女からもらったドナルドダックをあしらった、可愛いデザインの下着だ。
ちなみにここで手に取ったタオルは、広島のテレビ局からもらった新しいバスタオルだ。
いつもと同じように服を脱ぎ捨て、いつもと同じように風呂場の扉に手をかける。
いつもと違うのは、この風呂場を使うのが10日ぶりだということ。
私はしばらくの間、家を空けていたのだ。
何故家を空けていたのかと言うと、仕事の為出張をしていたからだ。
ちなみに私の仕事は一応ミュージシャンだ。
ここであえて一応という言葉を用いたのには理由がある。
それは月給がわずか10万円しかなく、大学生のアルバイトぐらいの収入しかないからだ。
33歳の男の収入としては、とても頼りなく、一言で言ってしまえば低所得者だ。
そんな私だが、ありがたいことに東京以外の仕事も貰えるようになってきた。
ちなみに仕事というのは、ライブである。
ミュージシャンの仕事と言っても色々なものがあるが、今回の出張は県外でのライブ。
しかしライブ=仕事という観念はない。
仕事というか、どちらかと言えば好きな事を好きなようにさせてもらっているだけだから、それは仕事という言葉で片付けられないものになっているのだ。
曖昧な表現で申し訳なく思う。
ちなみに今回の出張では、広島、高知、高松、松山へ行った。
移動手段は車でだ。
何故そんな遠くまで車を使って行くのか?とよく問われる時があるが、答えは至極単純である。
機材があるからだ。
私は仲間と共にミュージシャンをやっている。
つまり楽団だ。
楽団という表現は少し古い気もするが、今風に言うなればバンドだ。
三人の仲間と共にバンドを生業として生活している。
三人の仲間というのが、ここでは名前は控えさせてもらう。
しかしそれだとこの文が読みにくくなってしまうので、あだ名をつけたいと思う。
一人はギター担当『ロン毛』だ。
彼は私の地元である高知県で知り合った。
当時はそんなにロン毛では無かったが、今では自他共に認めるロン毛である。
付き合いはもう15年近くになる。
一人はドラム担当の『左利き』だ。
彼も私の地元である高知県で知り合った。
当時はそんなに左利きでは無かったが、今では自他共に認める左利きである。
付き合いはもう17年近くになる。
一人はベース担当の『ホラーマン』だ。
彼は上京してから出会った。
当時はそんなにホラーマンでは無かったが、今では人体模型より少しガイコツだ。
付き合いはもう7年近くになる。
私は恥ずかしながら歌い手、つまりボーカルを担当している。
しかし彼は各々が楽器を奏でることを生業としているため、機材が必要なのである。
そんな機材を乗せる車が機材車だ。
この機材車というのも曲者なのである。
元々私は車屋でサラリーマンとして働いていた。
そのサラリーマン時代に壊れたレンタカーを安く買い上げたものが今の機材車であり、走行距離は22万kmを超えており、お世辞にもきれいな車とは言い難い。
いわゆるポンコツである。
ベースはガイコツである。
そんなポンコツであるが、なかなかどうして機材を乗せて目的地へ行かなければならないため、やむなく乗り続けている。
新しい車を買うのが一番だが、なんだかんだ思い入れのある車であるため乗り続けている。
そんな仲間と共に私はミュージシャン、つまり楽団、つまりバンドを生業としており、そんな彼らギタードラムベース担当、つまりロン毛左利きホラーマンと共に広島、高知、高松、松山へ、ポンコツ、つまり機材車に乗り出張していたのだ。
話が逸れてしまったので元に戻そう。
家を空けて10日間。
いつもと変わりない部屋だが今日はやけに冷える。
東京にも寒波が押し寄せ、気温は10度を大きく下回っていた。
そんな中、風呂場の扉に手をかけた私はもちろん全裸である。
しかしここで気付いたのである。
『そうだ、ボディーソープが切れてたはず』
出張前にボディーソープを切らしていたのを思い出したのだ。
ボディーソープが無ければ体を洗うことができない。
石鹸派か、ボディーソープ派かに分かれるかと思うが、私はもっぱらボディーソープ派だ。
何故ボディーソープ派かと言うと、石鹸が石鹸を置くあの謎のプラスチックにくっつく様が嫌いだからだ。
あの様を見ているだけで苛立ちが募る性格なのだ。
だから私はもっぱらボディーソープ派なのである。
ボディーソープが無ければシャワーを浴びることが出来ない。
私は脱いだジャージを拾い、そしてまた着たのだ。
もちろん最寄りのコンビニエンスストアにボディーソープを買いに行くためだ。
最寄りのコンビニエンスストアとは一応名前は伏せさせてもらう。
しかし名前を伏せるとこの文が読みづらくなってしまうため、仮に7と11という名前に置き換えよう。
7と11までは歩いて2分。
今日は寒波のせいで寒い。
いつもより足早に最寄りの7と11へ向かった。
今から風呂に入ろうとしていた私には苦行以外の何者でもない。
しかしボディーソープが無ければ風呂に入れない。
いつもより足早に向かったちめ90秒ほどで7と11に着いた。
真っ先に生活用品コーナーに向かいボディーソープの詰め替え用を手に取った。
そしてレジスターへ向かい200円を支払い颯爽と店を出た。
これでようやく風呂に入れる。
ここまで長かった。
私は意気揚々と自宅へ帰り始めた。
足取りは明らかにさっきとは違い軽やかだ。
そして帰宅した私は、再びジャージを脱ぎ捨て風呂場の扉に手をかけた。
そして空っぽのボディーソープの入れ物に、新しい命を吹き込んだ。
つまり、ボディーソープの空の容器に、詰め替え用のボディーソープを注ぎ込んだのだ。
この作業を恥ずかしながら全裸で終える。
もうシャワーを浴びる準備は万端である。
私はシャワー派である。
湯船に浸かるのも好きなのだが、自宅ではもっぱらシャワー派だ。
出張先ではホテルに泊まっていたため、シャワーだったり、湯船に浸かったり、その時々気の赴くままに風呂に入っているが、自宅ではもっぱらシャワーだ。
いよいよだ。
ここまで長かった。
本当に長かった。
私は今までの人生を少し振り返りながら、ガスのスイッチを押した。
『・・・』
反応が無い。
いつもならそのまま湯が出る設定になるはずなのだが、全く反応が無いのだ。
幾度も、幾度も、私は人差し指でスイッチを押した。
スイッチなどを押す時に、私はよく人差し指を用いて押す。
親指派、人差し指派に分かれると思うが私はもっぱら人差し指派だ。
幾度押せど、ガスのスイッチが入る事はなかった。

私は遂に気付いた。
ここまで長かった。
本当に長かった。
私の家のガスは、止まっていたのだ。
その理由は至極単純である。
私は家のガス代金を、支払っていなかったのだ。
しかしどうしても風呂に入りたい。シャワーを浴びたい。
仲間との車での出張から帰ってきたばかりだ。
ボディーソープもわざわざ買いに行った。
私に残された選択肢は一つしかなかった。
ガスは出ないが、水は出る。
あとはもうほとんど記憶に残っていない。
とにかく無我夢中で。
とにかく無我夢中に。
とにかく洗った。
とにかく流した。

気がつくと私は息を荒げながらタオルで体を拭いていた。
風呂に入る前より少し体が震えていた。
震える体をタオルで暖めながら私はこう呟いた。
『ガス代払いに行こう』



そして私は今、鼻歌まじりにこの記事を書いている。
何故そんなに上機嫌なのかというと、今風呂場の湯船には温水が張られている途中だから。
最高のスパイスのおかげで今日は最高の風呂に入れそうだ。










長文駄文読んでくれてありがとうございました。

まとめると、



遠征から帰って
ガス止まってたよ。


二行でよかったのに。
すまんすまん。