敬老の日の決勝となった
青森共同通信社杯を制したのは
実に9年ぶりのビッグ制覇となる
静岡の深谷知広。
同県の渡邊雄太の仕掛けに乗って
ホームカマシの新山を捕らえ
後続の追い込みを寄せ付けず1着
この優勝で賞金2,600万を加算して
グランプリ圏内に上昇した深谷、
6年ぶりのグランプリはまだ確定とは
いきませんが、ランキング上位にいる
ワッキーと松浦が欠場中でこの後の
ビッグレースへの参加も微妙な状態
十分チャンスあり、の状態でしょう。
深谷が最後にビッグレースを制したのは
まだ2日制だった2014年の
松戸サマーナイトレース。
2011年にデビューから史上最速で
高松宮杯を制してタイトルホルダーとなり
その年から4年連続でGPに出場
朴訥そうな童顔の風貌で
「競輪の歴史を変える怪童」
とファンやマスコミから期待を集め
金子師匠・ヤマコウ・レフト浅井と
自身の先行によって中部ラインに
3人のグランプリウィナーを誕生させ
「深谷時代」の到来だと思われた
時期もありましたが………
その2014年を最後にタイトルからは
遠ざかり、落車の怪我に苦しむ時期もあり
東京オリンピックの代表を目指し
ナショナルチーム入りを果たすも
五輪出場は叶わず補欠で競技を引退
「環境を変えたい」と移籍した静岡でも
川崎全日本選抜で郡司に地元特別優勝を
獲らせてラインに貢献するも
ナショナルのチームメイトの脇本や新田が
タイトルを獲得していく中で
ビッグレースの優勝やグランプリからは
遠ざかる日々が続き……
そんな苦しい日々を少しずつ変えたのは
やはりラインの仲間による献身
今年の大宮記念で郡司のアシストで優勝
そして松戸記念でも川越の死に駆けで
優勝を果たし
「年下の練習仲間が増えたことで
責任感も出て、今は自分も彼らに
引き上げてもらっています。」
そして決勝で連携した雄太には
「いつも一緒に練習をして
普段の強さを知っていたから、
その中で力を発揮できれば
互いにチャンスがあると思ったし
うまく走ってくれました。」
今後の目標を聞かれて
「最近は番手回りが増えているけど
最初の頃よりは余裕を持てて
走れています。
この先は南関のラインとして
強くなるためにも
位置の選択をしていきたい。
ここが最終目標では無いし
もっとテクニックと力を
付けていかないと。」
タイトルホルダーが所属地区を
変えるのは、家庭の事情などを除けば
めったにない決断だったと思いますし
中部を出て南関に移籍するときに
大きな葛藤があったんでしょうが……
雄太が笑いながら
「いやぁ〜、重かったですよ」
と語る、南関の仲間たちからの
胴上げで見せていた笑顔が
その葛藤を吹き飛ばしてくれたことと
思っております。
おめでとう!深谷!
…………深谷の軸で買ったのに
2・3着が抜け目だった筆者は
いいトコなく終わりましたが…
そして………なんで胴上げに
南関の大将・郡司はいないの?
先に帰っちゃったんですかね。
レースのポイントは
①中団狙い前提の近畿の前受け
②打鐘過ぎで流した佐々木豪
③ここしかないところで
仕掛けた雄太の献身
④ホームカマシの新山
⑤バックで嘉永を止めてから
絶妙の追込みをかけた深谷
決勝のレース前恒例の
当ブログ専属解説員(無報酬)
灰人さんとの検討会
灰人さん
「単騎の嘉永と新山が人気で
ふたりとも確かに力はあるし
嘉永は絶好調ではあるけど
軸にするのは清水だな。」
筆者
「近畿は先行する選択肢はないから
駆けるラインの後ろにつけて
中団獲りして、二段掛けに乗って
3角〜直線での追い込み狙い。
で、先行するのは佐々木豪の方。」
筆者
「雄太も展開次第じゃ駆ける
選択肢があるんじゃないの?」
灰人さん
「前に清水に記念を獲らせる
死に駆けをしたっていっても
しょせんココでは自力じゃ格下で
記念優勝なし、ビッグ初優出
ココで清水の前で駆けておけば
次は自分の番だって主張できるし
雄太はそれなりに格があるから
深谷も性格上無理に駆けろとは
言わないだろうからなぁ…。」
筆者
「でもなぁ……佐々木豪は
四国のキタツルな予感がするし
作戦会議の通りに走らないって
言われてんだよなぁ……。」
灰人さん
状況に応じたとっさの判断が
必要なレースは厳しいかもだけど
初手は清水がコントロールして
①近畿が後ろ攻めなら初手で中団とって
赤板で三谷に前団を抑えさせてから
打鐘でカマシ気味に発進
②近畿が前受けなら初手は後ろ攻めで
そん時は中団にいる雄太にフタして
しばらく焦らしてから打鐘で先頭に出る
①②どっちの場合でも
一気に踏み上げてホームでメイチに
加速すれば、単騎ガマシしかない
新山は仕掛けられないし
嘉永は捲るには中団が欲しいけど
三谷と南がそんなにすんなりとは
瀬戸内ラインの後ろは獲らせない。
清水は佐々木豪に、①②の
2パターンだけ教えりゃ良いんだし
さすがに少々バカでも大丈夫だろ。」
筆者
「単騎の二人は?」
灰人さん
「位置が獲れない新山は雄太や三谷に
入れてもらえないから最後方
地元で見せ場だけは作りたいから
ホームあたりで単騎で仕掛けるけど
今日はホームで強い向かい風があって
ペースが上がってたら簡単に出切れない。
出切ってもバック過ぎだろうから
清水が佐々木豪を捨てて切り替えれば
ゴール前では楽勝で食える。
嘉永はヨコができるだけに面倒くさいけど
捌きで脚を使えば最後に踏めなくなるし
二段掛けで中団にいる凶悪な近畿二人を
乗り越えるのは大変だろうぜ。」
筆者
「なるほど……能書きには一応納得。
その時の買い目は?」
灰人さん
「清水の後ろに近畿が入れば
準決でしぶとかった三谷の捲り追込みや
容赦なくインをしゃくる南も連までアリ
清水=隅田南三谷ー流しだろうな。
嘉永は頑張ってるし強くなってるけど
優勝するのはココじゃないだろ」
筆者
「う〜ん……雄太が駆ける展開も
あると思うんだけどなぁ……。
練習仲間だし深谷は脚はできてるし…」
灰人さん
死に駆けするってのは
やっぱり簡単には行かないし
ヨコのできない深谷の後ろを
三谷竜や嘉永がとったら容赦なく
インに入って飛ばすだろうからなぁ。
ココで清水が優勝すりゃGP確定で
リハビリ中の松浦も喜ぶだろ。
なんなら松山記念の準決や決勝で
佐々木豪がと一緒の番組になったら
清水がお返ししてくれるんじゃない?」
サテライトの輪友の皆様も
能書きでは完全に灰人さんに
論破されていまして………
で、打鐘まではほぼ灰人さんの
上記の②パターンと一緒で
雄太をジリジリ押さえてから
ダッシュで先頭に出る佐々木豪
隅田が踏み遅れながらも追走して
瀬戸内ー近畿の順番
「よし、そっから踏み込んでホームで
メイチに加速すれば出来上がり!」
……と叫んだ灰人さんでしたが
「て…てめぇ、なんで後ろ向いて
流してやがるんだ、このバカッ!」
ペースダウンして後ろをチラチラと
見ている佐々木豪に対して、雄太が
絶妙のタイミングで仕掛けて出切り
ホームでは新山が単騎ガマシで
一気に静岡両者の前に立ち先行
深谷は油断なく新山との距離を確認し
バックで捲ってきた嘉永を牽制
深谷ー嘉永が本線だった筆者は
「深谷、そのまま捲るか
嘉永を行かせて追走してくれっ!」
と願いましたが……深谷の牽制を
乗り越えられず、肥後のプリンスは終了。
そのまま深谷は雄太をうまく使いながら
4角で一気に踏み込んで新山を捕らえ
清水は佐々木豪を捨てて仕掛けようと
しましたが…下がった嘉永が邪魔になって
内から強引にしゃくって前に出た隅田の
煽りをもらってあわや落車事故寸前
結局、新山を捕らえた深谷が1着
新山が2着に残って、3着は
ちょっと危ない捌きから直線伸びた隅田。
深谷の勝因は……なんといっても
雄太との信頼関係でしょうね。
打鐘で後方に置かれたときには
もう二人揃って終了かと思いましたが
前が流した一瞬のスキを逃さずに
絶妙のタイミングで仕掛けた雄太
そして2角の下りで嘉永が仕掛けたときに
深谷が焦って雄太を捨てて自力発進したら
追走する嘉永や清水に追い込まれた
可能性もあったんですが
きっちりと後続を牽制してから
余裕を持って追い込んだ深谷も立派。
逆に……清水の敗因は、佐々木豪に
自由にやらせちゃったことでしょうねぇ。
準決で凄い捲りを決めてましたし
シリーズを通じて好調だったんですが
GⅡの決勝で任せたラインの先頭が
あんな打鐘で流してチラチラ後ろを見る
色気を出したナメくさった競走したら
灰人さんじゃなくても怒鳴りたくなるわ。
清水だけじゃなくて三谷竜と南も、
佐々木豪が「そういうこと」と思って
展開を作りに行ったのに、ねぇ。
深谷が1着、清水が9着だったのは
内をシャクった隅田の危険な捌きも
もちろん原因ではありましたが
やっぱりお互いが先頭を任せた、
競輪IQの高い競走をした雄太と
四国のキタツルの差なんでしょうねぇ。
新山は……最初からどんな展開でも
内に詰まったりして終わりたくないんで
ホームで仕掛けようと思っていたはず
気持ちは感じる競走でしたが
普段はラインを活かす競走をしている分
単騎では厳しかったのかも。
そして嘉永は、ホームで新山のカマシを
追いかけようとしたときに清水に一発
食らわされてクチが開いて、深谷にも
2角で完全に合わされてしまって終了
あそこで乗り越えられていれば
優勝だったかもしれませんが
準決のあの凄い捲り脚を見たら
そりゃ警戒されますよね。
二次予選・準決を苦しい展開でも
単騎で勝ち上がった姿を見て
ずいぶん力がついたなぁと思いましたが
あとは展開が味方したり、
決勝で同地区の頼れるラインができれば
悲願のビッグを獲るチャンスは
これから何度もあると思いますんで…
「その日」が来るのを待ってます。
灰人さん
「しかしなぁ……準決で犬伏に
ツッパリ先行で後続を縺れさせようって
作戦考えたのは清水みたいだし
決勝でもあんなバカに好きにさせたのも
清水が佐々木豪に厳しく作戦に従うように
言わなかったからだよな………
駆けないんなら別線でやるぞって
ちょっと脅してもいいのに
意外と清水も賢くないのかもなぁ。
競輪IQがダントツの松浦がいれば
佐々木豪にもラインの大切さを説いて
きっちり俺の考えた通りの作戦を実行して
清水が優勝してたのになぁ……。」
「せやな。」
今回はお互いに3着抜け目ばかりで
いいトコなく終わった開催でした。
いやマジで、近年稀に見る見せ場がなく
ただただライフの減る開催でした。
しばらくはマジメに過ごします。
さて、この後は松阪記念、蒲生氏郷杯
ええじゃないかの豊橋記念ちぎり賞と
続いて……おそらく最後の代替開催
熊本記念in久留米
SS5名に熊本の若者たちが挑戦する
サボりがなければ超・豪華なメンバー
九州の記念なんで準決・決勝は打ちます。
10月の前半には初開催のガールズGⅠ
オールガールズクラシックがあるのですが
平日のナイター3日間の開催では
ブログを更新する暇が無さそう
当ブログ・ガールズ特別顧問の
ベッカム似さんの神予想を期待されてる
皆様には申し訳ないのですが
忙しいのでご容赦ください。
そして10月の後半には
今年ラス2の特別開催となる寛仁親王牌
賞金での争いも激しい感じですし
今年のこれまでの流れからすると
ケンヤ・眞杉に次ぐニューフェイスが
タイトルホルダーの座を手にするかも…?
皆様おつかれ様でした。
次の更新は……たぶん熊本記念の準決です。