ナイル「ジ・アンダーワールド・アウェイツ・アス・オール」 | ぐれむりんの気ままなブログ

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勝手気ままな★備忘録★レビュー

アメリカの

テクニカル・ブルータル・デスメタル・バンド

NILEの約5年振りの新作

The Anderworld Awaits As All

を購入したのです。

通算10作目のオリジナル・アルバムです。

 

アルバム・タイトルを直訳すると、

地下世界は我々を待っているとなりますね。

 

このバンド、上に貼ったPVを観て頂くと分かるのですが※バンド名からもお分かりの通り古代エジプトに影響を受けたちょっと変わったスタイルのデスメタル・バンドです。

 

と、言っても……演ってる音楽は、世界一過激な音楽と言われるデスメタルをさらにテクニカルに凶暴に発展させたテクニカル・ブルータル・デスメタルです。

 

……いや、そんなジャンルは無いかもしれませんが、ウィキペディアにも「ナイルは……テクニカル・デスメタル・バンドである。ブルータル・デスメタルに分類されることもある」と書かれてあるので、まあ、両方の要素を併せ持つ……って言うか、そもそも僕自身「テクニカル」と「ブルータル」の違いがイマイチよく分かっていない隠れデスメタラーなので、便宜上、テクニカル・ブルータル・デスメタルってことで紹介をさせて頂きます。

 

僕がデスメタルを聴き始めた6年前……

アーチエネミーカンニバル・コープスクリプトプシーメシュガーに続いて聴いたバンドです。

 

有名なメタル・レビュー・ブログ「あさってからでもいいかな…」で紹介されているのを見て聴いてみました。

 

ただ……

聴き始めた当時はイマイチ良さが分からなかったバンドです。

 

何て言うんだろう……

当時の僕は、とにかく「過激な音楽」を聴きたくてデスメタルを聴いていたこともあり、ナイルの奏でる民族音楽的な部分がイマイチ好きになれなかった……そんな感じでした。

 

例えば、クルマの運転中にナイルを流すと、イントロに民族音楽的な演奏が入ってて「……ああ、もうッ! さっさと爆音演奏始めろよっ!」ってすぐに曲をスキップしちゃったり……。

 

あの頃の僕はブラック企業勤めでストレスが限界値まで達していた事もあり、ストレス解消のために「過激な音楽」を求めていた(ような気がする)ので、ナイルのような緩急のあるデスメタルは「ちょっと違うな……」って思ったのかもしれません。

 

実際はむちゃくちゃ過激なサウンドなんだけど……ね。

 

今回の新作「ジ・アンダーワールド~」は、レコード会社を移籍しての第1弾ということもあるのか、前作までの民族音楽的な要素(特にシンフォニックな要素)が薄れ、ストレートなテクデス・サウンドになっているように感じました。※あくまでナイル歴4~5年のニワカ・ファンの感想です。

 

確か、ギター&ボーカルのカール・サンダースが「今作は楽曲の出来も過激さも過去一」みたいな紹介をしていた気がしますが、まさにその通りです。

 

激・カッコイイッ!

そんなアルバムです。

 

逆に、今までの壮大な雰囲気のナイルが好きな方には、ストレート過ぎてイマイチに感じるかもしれませんが……と言っても、個人的には「イントロに民族音楽パートが無い」だけで、それ以外は今までと変わらない気がしています。

やはり、往年のファンの方が聴くと今までと違う印象だったりするのでしょうか?

 

ちなみに、今回の新作。

CDを買うなら断然、国内盤がお勧めです。

※今時CDは買わないでしょって鼻で笑われそうですが……。

 

今は円安の影響で、洋楽の「国内盤」と「輸入盤」の価格が逆転しているのはもちろんですが※今は輸入盤の方が高額になっています日本盤にはカール・サンダースによる各曲の長文解説ライナー(日本語翻訳)が付いています。

 

各楽曲のモチーフになった古代の神話や碑文、エピソードなどなど、むちゃくちゃ詳しく解説されています。

 

正直、解説が詳し過ぎてCDライナーの文字がギュッと詰まってて小さいので、年配のデスメタラーの方々は読むのに苦労する…って言うか僕は苦労しています。まさか、こんなトコロで自分の年齢を感じることになるとは……。デスメタル、恐るべし。

 

それと、これは余談ですが、ナイルのアルバム・タイトルは「英語」より「日本語直訳」の方が分かりやすいのが面白いですね。

 

例えば、各アルバム・タイトルです。

 

Amongst the Catacombs of Nephren-Ka (1998)
Black Seeds of Vengeance (2000)
In Their Darkened Shrines (2002)
Annihilation of the Wicked (2005)
Ithyphallic (2007)
Those Whom the Gods Detest (2009)
At the Gate of Sethu (2012)
What Should Not Be Unearthed (2015)
Vile Nilotic Rites (2019)
The Underworld Awaits Us All (2024)

 

これ、日本語に訳すと……

 

ネフレン・カのカタコンベ(地下墓地)の中で

復讐の黒い種

暗い神殿の中で

邪悪なる者の滅亡

勃起した陰茎※古代ギリシャ語だそうです。

神々が忌み嫌う者たち

セトゥ―の門にて

発掘すべきでないもの

邪悪なナイル川の儀式

地下世界は我々を待っている

 

…となるそうです。

 

あくまで、英語のwikiを日本語に翻訳して……なので、実際には他の意味(諺や隠語など)が有ったりするかもしれません。

 

う~む、それにしても。

約5年振りの新作で、レコード会社の移籍などがあったにも関わらず、ここまで激・カッコイイ新作を届けてくれるとは、流石はナイルって感じです。

 

相変わらず音質もクリアで、それでいて破壊力バツグン。

 

ナイルのアルバムは、1stと2ndは他のアルバムに比べて若干「音」がくぐもった感じがありますが、3rd以降は安定したクリアで高音質なアルバムが続いています。

 

コレ、個人的にはかなり重要です。

 

例えば、2022年に発売されたアーチエネミーの5年振りの新作「デシーヴァーズ」は、楽曲自体は良かったのですが、サウンドがそれまでとはガラッと変わって「音の分離の悪い」くぐもったような音になっていました。

良く言えば、デスメタル的な厚みのある迫力のサウンドなのですが、それまでのクリアなアーチエネミーの音質が好きだった僕には、それだけで聴く気が萎えた……って感じでした。

※今は普通に聴いていますけど。

 

やっぱり、僕にとってのアーチエネミーの「音」は、この分離の良いカチッとしたギター・サウンドだもの……。

 

その点、ナイルは、

↑2024年の新作の「音」も、

↑9年前の2005年の作品も、根本的な「音」に変化が無いのがファンには嬉しい限りです。

 

演奏も複雑テクニカルで、まさに、肉体の限界に挑むアスリート的な音楽って言われるのが分かります。

 

……あ、いや、実際には演ってるコトが複雑テクニカル過ぎて、何をどう演奏してるのかはまったく分からないのですが。

 

その分、聴くたびに「新しい発見」や「気付き」があるのがテクニカル・デスメタルの面白いところなのです。

 

興味のある方は、是非、聴いてみて下さいね。