【小説】オーバーロード 漆黒の戦士 | ぐれむりんの気ままなブログ

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勝手気ままな★備忘録★レビュー

丸山くがねさんの作品

オーバーロード再読です。

今回は、書籍版の第2巻、

漆黒の戦士です。

 

第1章 二人の冒険者

第2章 旅路

第3章 森の賢王

第4章 死を切り裂く双剣

 

今回は、新しく始めた「聴く読書」での再読です。

これはオーディオブックやオーディブルのような本格的な「聴く読書」ではなく、単に、Kindle本をiOSの音声読み上げ機能で聴いているだけと言う、そういうモノなのですが……。

 

この「聴く読書」の利点(?)は、飛ばし読みが出来ないということでしょうか?

僕のような(僕だけかも?)、普段あまり読書をしないライト読者は、小説を読む際に、小難しい内容や説明的な内容を飛ばして読んでしてしまうという癖があり、その為、細かな設定や伏線を読み逃してしまうコトがあったりします。

 

それともう一つ、耳で「聴く読書」は、文章を見なくても良いので、スマホ読書のしすぎで目が疲れた時に、音だけで読書(聴書)が出来ると言うことです。

ただ、これはあまりお勧めはしません。

僕はこの「聴書」をした時は(基本的に疲れた時なので)、ホトンドの場合、途中で寝落ちしちゃってます……。

 

ちなみに、iOSの読み上げ機能は、画像が2枚続くと自動的に停止するという機能(不具合?)が有る為、寝落ちしても「章」が終わるたびに自動停止してくれます。※オーバーロードは各章の間に画像が二枚(イラストと扉)入っています。

 

あと、これは電子書籍(Kindleだけかも?)の便利機能のひとつだと思いますが、音声朗読時にその「章」を読み終わるまでの平均的な時間が表示されるので、その時間に合わせて停止タイマーのセットもできます。ついでに、Kindleの書籍情報を表示すると、ページ数(紙媒体のページ数)と、読み終えるまでの平均的な時間なども確認が出来ます。

 

「漆黒の戦士」は、ページ数366ページ、読み終えるまでの平均時間は5時間26分と表示されています。

 

……まあ、それは置いといて。

 

この「漆黒の戦士」は、僕の個人的な感想ですが、オーバーロードの序盤のクライマックスで、この作品の人気を決定付けた1冊だと思っています。事実、僕はこの「漆黒の戦士」を読んで、オーバーロードという作品にハマりました。

 

こんなことを書くと……

は?

アニオタ、ウザぃ

と思う、サラリーマン&オフィスレディ&パリピの皆様がいるかもしれませんが、実は僕自身、会社のオタク同僚にオーバーロードを紹介された時は、「は? オバロってラノベでしょ? アニオタ、ウザぃ」と思ったサラリーマンのひとりです。

 

そんな僕が、「こいつぁ、面白ぇやっ!」って、思わず江戸っ子口調になってしまった最初の1冊がこの「漆黒の戦士」です。

ちなみに僕は、オーバーロードのアニメは観たことが無い為、今回の「漆黒の戦士」がアニメでどのように描かれているかは知りません。

 

【注意】この先ネタバレ全開です。

 

第1巻「不死者の王」で、オンライン・ゲームの中から出られなくなり、ゲーム設定のまま異世界に飛ばされた鈴木悟……。

 

第2巻「漆黒の戦士」からは、ギルドの本拠地「ナザリック地下大墳墓」周辺の調査へと乗り出します。

この周辺調査は、第6巻「王国の漢たち(下)」まで続きます。

その最初のエピソードが「漆黒の戦士」です。

 

実は、オーバーロード(書籍・アニメ・マンガ)の元になったWeb小説投稿サイト「小説家になろう(なろう小説)」に投稿されたWeb版オーバーロードには、この「漆黒の戦士」は登場しません。

…登場しませんが、ストーリー自体はWeb版をベースに展開していきます。

 

ちなみに、「漆黒の戦士」に登場する漆黒の戦士は、第1巻で鈴木悟こと「モモンガ」がナザリックを抜け出す為に変装した全身鎧の戦士「ダーク・ウォリアー様」と同じ格好です。※だと思います。

 

第1巻では、結局、デミウルゴスに見つかり作戦は失敗しますが、あれは、この「漆黒の戦士」の伏線だったのかもしれませんね。

 

ザックリとストーリー紹介

ゲームの世界が現実となり、更に異世界へと飛ばされたという現状を受け止めた鈴木悟ことモモンガ…、改め、アインズ・ウール・ゴウンは、周辺国家の状況を確認する為、自ら全身鎧の漆黒の戦士、冒険者モモンに変装して、リ・エスティーゼ王国の城塞都市エ・ランテルへ潜入します。引き連れるお供は、戦闘メイドのひとり、ナーベラル・ガンマことナーベ

ナーベは、道行く男の殆どが振り返るほどの絶世の美女です。

2人の目的は、先ずは冒険者としての知名度を上げ、この世界の強者と知り合いになり、この世界のことや、自身と同じユグドラシルのプレーヤー※この世界に飛ばされたかもしれないゲーマー&仲間の情報を得るコトです。

 

…と、オーバーロードを知らない方は、書籍のタイトル「漆黒の戦士」や上に貼った画像から、真面目なダーク・ファンタジー冒険物語を想像するかもしれませんが、実際の内容は、ダーク・ファンタジー風ドタバタ・コメディです。

 

アインズこと鈴木悟が置かれた状況は……、ロール・プレイング・ゲームの使用キャラを最強レベル100までレベル・アップさせた状態で、ゲームの世界に入った感じ。

 

ゲーム内で、最強レベルのキャラと普通の村人の強さに歴然の差があるように、主人公は無敵状態の強さを誇っています。

 

ただし問題は、鈴木悟のゲーム・キャラがアンデッド死の支配者の最高レベル「オーバーロード」と言う職業だったこと……。

引き連れる仲間も全員、化け物ばかりです。

鈴木悟にとっては「ただのゲーム・キャラ」だけど、この世界の人間にとっては生き物の敵と恐れられ、忌み嫌われるアンデッド……。

アインズが「漆黒の戦士」に変装しているのはその為ですね。

 

オーバーロードは、その後に流行る異世界転生モノの先駆けとなった作品だと、会社のオタク同僚が熱く語っていました。

「異世界転生って、死んで生まれ変わったら無敵のイケメンになってて女にモテモテって、ヲタクの願望丸出し小説……」

そんな風に思っていた僕は、この作品を読んで「なろう小説」に対する考え方が180度変わりました……。

美人女子同僚は「ヲタクって皆、死んで異世界に行きたがるげど、現実で頑張る気ないの?」ってクリティカルな攻撃を放ってました……。

 

エ・ランテルで冒険者の登録を行い宿屋へ向かったモモンとナーベは、そこで早速、厄介事に巻き込まれます。

宿の酒場にいた他の冒険者に絡まれ(新人冒険者の通過儀礼)てしまいます。…が、そこは我らがモモン様。あっと言う間に絡んできた冒険者を一掃。その拍子に、その場にいた女冒険者ブリタの持っていたポーション瓶を割ってしまいます。モモンは弁償として、自分の持っていたポーションをブリタに渡します。

 

翌日、モモンに貰ったポーションを鑑定するため、有名な薬師リイジー・バレアレの元を訪ねたブリタは、そのポーションが、この世界では精製できない「神の血」と呼ばれる幻のポーションだったことを知らされます……。

 

一方、冒険者組合で「冒険の依頼」を探すモモン&ナーベは、そこで知り合った冒険者チーム・漆黒の剣に誘われ、周辺のモンスター退治を一緒に行うことになるのですが……その矢先にモモンを指名する依頼が舞い込んできます。

依頼人は、リイジーの孫、ンフィーレア・バレアレ

依頼内容は、カルネ村(第1巻でアインズが助けた村)周辺のトブの大森林で稀少な薬草を採取する際の護衛・警護。

 

…でも実際の目的は、「神の血」を持つモモンに近づき、神の血もしくはその情報を入手すること……。

 

一方、エ・ランテルの集合墓地に怪しい集団が。

邪悪なテロリスト集団ズーラ・ノーン、そのリーダーであるカジットと、スレイン法国の暗殺部隊・漆黒聖典の裏切り者で、英雄の領域の強さを持つ性格破綻者クレマンティーヌが密会しています。

何やら、ンフィーレアの持つ特殊能力を使って、闇の儀式を行うとか物騒な話が……。

 

実は、ここまでの登場人物。

Web版には、ほとんど登場しません。

 

そもそも、Web版には「漆黒の戦士」が登場しません。

Web版は、ナーベラルが変装した冒険者モモンが、冒険者として情報収集するお話です。

リイジーの孫はフェイという孫娘でした。

冒険者チーム・漆黒の剣は、ほんのチョイ役での登場です。

クレマンティーヌも登場しません。

Web版のクレマンティーヌは物語後半にチョイ役で登場します。

 

この「漆黒の戦士」は、書籍版オーバーロードの第6巻まで、かなり重要なキャラクターとして登場します。

 

ンフィーレアの依頼を、漆黒の剣との合同依頼として引き受けたモモン&ナーベ一行は、ンフィーレアを護衛しながらカルネ村へ向かいます。

その道中、現れたモンスターを圧倒的な強さで倒すモモンとナーベ。

その姿に、漆黒の剣の面々は驚愕します。

 

ちなみに…、ナザリック地下大墳墓の面々は全員モンスターのため、人間を下等生物と嫌っています……。

ナーベは自分に言い寄る(ナーベは美女設定)漆黒の剣のルクルットを、ことあるごとに「下等生物」と呼びモモンをヒヤヒヤさせてました。

 

カルネ村へ到着したンフィーレアは村の異変に動揺します。

カルネ村に何かあったのか?

そんな一行を取り囲むゴブリン戦士の集団。

※第1巻で、アインズがエンリに渡したゴブリン将軍の角笛から召喚されたゴブリン戦士たちです。

ンフィーレアは、幼なじみで密かに恋心を抱くエンリの無事に胸を撫で下ろします。そして、村が帝国の騎士団に襲撃されたこと、それを救ってくれた謎の魔法詠唱者アインズ・ウール・ゴウンの存在を聞かされます。さらに、アインズが持っていた「赤いポーション」の存在をエンリから聞いたンフィーレアは、「アインズ=モモン」だという事実に気が付きます。

 

ンフィーレアは、モモンに自分の目的を告白……。

一方モモンは、「顔つなぎは営業マンの常識」だと一笑します。

 

そして、トブの大森林での薬草採取の途中、伝説の魔物・森の賢王の存在を知ったモモンは、森の賢王(巨大ハムスター)を倒し、自分の部下にします。森の賢王=ハムスケと命名……。

※Web版はンフィーレアがいないため、薬草採取の依頼はなく、当然、ハムスケも登場しません。

 

依頼を終え、エ・ランテルへ戻った一行は……

ンフィーレアの家に薬草を届けに向かう漆黒の剣の面々。

一方、森の賢王の登録の為に冒険者組合に向かうモモン。

そこでモモンはリイジーに遭遇。

一緒に家に向かうことにします。

 

でも……

家の中には……

無残な姿で殺された漆黒の剣の面々(しかもゾンビになっている)、むごたらしく撲殺されたニニャ(漆黒の剣のメンバー)、そして壁にはンフィーレア誘拐を告げる血文字……。

 

その頃、街の集合墓地では、アンデットの大軍が発生して大パニック。

 

そこへ現れる漆黒の戦士と美姫ナーベ、オマケのハムスケ。

立ちはだかるアンデッドの群れをバッタバタと倒して進む姿を見た衛兵は、モモンを「漆黒の英雄」と呼び羨望の眼差しを向け……。

 

そして、墓地の奥で闇の儀式を行うズーラ・ノーンの元に辿り着いたモモンとナーベ。

モモンは元・漆黒聖典のクレマンティーヌ、ナーベはズーラ・ノーンのカジットと対峙……。

※Web版では、冒険者昇格試験で墓地の巡回を行っていたモモン(ナーベ)がズーラ・ノーンと遭遇し、カジットを相手に戦います。戦いの内容は、書籍版のナーベ対カジットとほぼ同内容です。

 

元・漆黒聖典で、英雄の領域の強さを持つクレマンティーヌは、モモンの強さを見て「でも、あたしには勝てないよ」と宣言。

更に、魔法詠唱者のナーベは絶対にカジットには勝てないと警告。

 

そして始まる両者の戦い……。

 

その結果は……。

 

……まあ、書籍は10年前に刊行されているし、アニメも漫画もすでに放送されているので、結末まで書かせていただきますが。

 

【注意】

未視聴&未読の方はご注意くださいね。

 

クレマンティーヌに剣での戦いを挑んだモモンは、クレマンティーヌの無駄の無い戦い方や「武技」の数々を見て、「良い勉強になる」と告げ、モモンの兜(の隙間)に剣を突き立てたクレマンティーヌの身体を両手で抱きかかえるように拘束……。

 

そしてネタバラシ。

モモンの武装を解いて、アンデッドの姿を見せるアインズ。

「魔法詠唱者と剣で戦っていた感想は?」

 

そして、クレマンティーヌを両腕に抱えたまま、サバ折り処刑を開始。

クレマンティーヌは徐々に身体が締め付けられる恐怖を味わい、その後、背骨を折られ、内蔵を吐きだし、絶命……。

※ただし、その後、書籍版・最新刊「半森妖精の神人」の中で、クレマンティーヌが魔法で蘇生した(らしい)という証言がありますね。

Web版では、アインズの強大な魔法を見たクレマンティーヌは「あんな化け物とは戦えない」と漆黒聖典を辞めて逃げ出しちゃいます。

 

一方、ナーベは……

カジットが召喚した二匹の「骨の竜」との戦い。

魔法に対する絶対耐性を持つと言われる「骨の竜」には、ナーベの魔法は通用しない……。

そこへ聴こえるアインズの声。

「ナーベラル・ガンマよ、ナザリックが威を示せ」

その言葉を聞き、冒険者ナーベの姿を解除し、戦闘メイド・ナーベラル・ガンマとして対峙するナーベ。

「骨の竜」は魔法に絶対耐性を持っているが、それは第六位階まで。

それ以上の魔法を行使できる私には無意味。

※後に詳しい説明が登場する(したと思う)のですが、この世界では、人間が辿り着ける最高の魔法は第六位階とされており、それ以上は神話の中で語られる魔法なのだそうです。

人間を下等生物と呼ぶナーベラルは、アッサリとカジットを倒しちゃいます……。

 

ってことで。

オーバーロード「漆黒の戦士」は、冒険者モモン&ナーベが大活躍するドタバタ・コメディ冒険活劇という印象が強い作品です。

 

特に、元々は普通のサラリーマン・鈴木悟が、人間を下等生物と呼ぶ部下のナーベに困惑したり、一般常識を考えないナーベの行動に振り回されたり、幻の魔獣が巨大ハムスターというオチにガッカリしたり、悪の組織(ズーラ・ノーン)と戦ったり、極悪非道なクレマンティーヌと戦ったり、アインズ=モモンが正義のヒーロー的に描かれているコミカルな英雄譚になってますが……、実は、しっかりと悪の側面も描かれていたりするんですね。

 

それは、巻が進む毎に顕著になっていき、第7巻「大墳墓の侵入者」や第9巻「破軍の魔法詠唱者」の無慈悲で残虐な本性が描かれた際は、オバロ読者に賛否両論を巻き起こすことになるのですが……。

 

ただ、今回の「漆黒の戦士」は、小・中学生でも楽しめる英雄譚の側面が強い内容なので、夏休みの読書にはオススメの作品かもしれませんね。

 

現在、Kindleストアでは第1~3巻が定価の半額で販売されているので、この機会に読んでみてはいかがでしょうか?