あの頃は良かった……
と、古き良き時代を懐かしみながら溜息を吐く昭和世代オジサンの嘆きのような感想しか持たなかった作品。
僕が、The Birthdayのデビュー・アルバムを聴いて最初に感じた率直な感想はコレでした。
Rollers Romantics
2006年発売のデビュー・アルバムです。
初回限定盤は特殊ブックレット仕様です。
デビュー・シングル「sutupid」、2ndシングル「KIKI The Pixy」収録。
あの頃は良かった……
と、言うのはもちろん、ボーカルのチバユウスケさん、ドラムスのクハラカズユキさんが在籍していたバンド、ミッシェル・ガン・エレファントのコトを指しています。
The Birthdayにミッシェル・ガン・エレファントのサウンドを求めると肩透かしを喰らいます……。
実際、僕は肩透かしを喰らい、その結果、(初期の)The Birthdayは聴く価値が無いと思ったもの……。ファンの皆さま、ゴメンナサイ。
【注意】ここから先は熱心なファンの超・個人的意見になるので、意見の相違がある場合は……、鼻で笑って受け流してやって下さい。
初聴きの時の感想は……
ミッシェルに比べてミドル・テンポやバラードが多くて退屈。攻撃的な曲が無く優等生オヤジロック的な雰囲気になった。聴く価値無し。
今の感想は……
初期のThe Birthdayの中では一番カッコイイと思うアルバム。
この頃のチバさんの声が全盛期でゾクゾクする。
現在(2011年以降)のThe Birthdayに比べるとメロディ(歌メロ)がシッカリしている反面、ギターの音が弱い。
何度も繰り返して聴いてるうちに良さが分かる。
そんな僕の意見に友人は真っ向から反対意見を叩きつけてきます。
「何度も聴いているうちに良さが分かるのではなく、ただ単に耳が慣れただけ。例えばCMで何度も耳にするメロディ(曲)がいつのまにか名曲に感じるのと同じ」だって……。
まあ、確かに。
例えば、初期のThe Birthdayは「歌メロ重視」の楽曲が多いと感じますが、それはミスチルやスピッツやドリカムのような曲が有るという意味じゃないのです。あくまで、The Birthdayの中で「歌メロ」がシッカリしているって話なのです。
そりゃあ、友人に反対意見を叩きつけられるはずです。
ギター・サウンドについては、色々な意見があると思います。
ファンの中には、初期のイマイさんの感覚派のギターが好きって人も多いと思います。
僕個人の感想は、フジケン加入後のギター・サウンドの方が好き。
※イマイさんは叩き上げのギタリストで、フジケンはスタジオ・ミュージシャン出身の優等生ギタリストと言われてます。
フジケン加入後のギター・サウンドは、左右(チバ&フジケン)のギターが掛け合いで一つのリフになっているのに対し、初期のギター・サウンドは左右(チバ&イマイ)が独立したリフを鳴らすことが多かったように感じます。どちらが好きかは、正に好みの問題になっちゃいます。
「これぞ、デビュー・アルバム!」とは真逆の作品です。
って言うか、デビュー・アルバムの時点でバンドの方向性は完全に確立されている気がします。
これは、チバさんがミッシェル解散後に結成したバンド「ROSSO」での活動が大きいと思う……、って言うか、既に「ROSSO」の時点でチバさんの音楽性は確立されていて、正直、知らない人が聴けば「ROSSO」の作品と「The Birthday」の作品は同じバンドの作品だって思うんじゃないでしょうか?
って言うか、イマイさんは元々ROSSOのギタリストだし……。
そもそも、チバさんのキャリアで言えば、The Birthdayを結成したのは活動15年目くらいの話だもの。
ベテラン・ロック・ミュージシャンが結成した新バンドってのが正しい認識になるのでしょう。
浅井健一さんの影響……
初期のThe Birthday(ROSSO含む)に対する批判的な意見の中に、チバユウスケの浅井健一化現象というものがあります。
浅井健一さんは、ミッシェル・ガン・エレファントと同時期に活動したロック・バンド「ブランキー・ジェット・シティ」のボーカル&ギタリストです。
チバさんがROSSO※ソロ・プロジェクト時代を結成したのは、浅井健一さんに影響を受けたせいだと言われています。
そもそも、ミッシェル・ガン・エレファントが解散した原因のひとつが、チバさんが浅井健一さんに影響を受け過ぎて、アベフトシさんとの音楽的確執が大きくなったから……、なんて都市伝説(?)もあります。
正直、僕にはチバユウスケの浅井健一化についてピンと来る部分がありません。「浅井健一さんとチバさんは全然別物じゃない?」と思っています。ただ、甥っ子が言うには「どっちも同じ」だそうです。
浅井健一さんもチバさんも、普段両者とも聴かない甥っ子には、二人の音楽は同じに聴こえるそうです。
僕的に思い当たる点としては、チバさんの書く歌詞の変化くらいでしょうか?
「Rollers Romantics」に収録された「白い蛇と灯台~後編~」にそれを強く感じます。※前編は1stシングル「sutupid」収録されています。
歌詞にストーリー性が強くなった気がします。
ミッシェル時代のチバさんの歌詞は、単語を繋ぎ合わせたような意味不明な歌詞が多かったもの……。
暗がりでセビレしびれたいなら、イナズマを呼んできて欲しいと言え
じめる うなだれ つまさきで、ひとめ見たならあとはトぶだけ
(バードマンより)
Aメロの歌詞がコレって、いったい何について歌ってるのか意味不明すぎますよね。でも、これがメロディに乗ると最高のロックになっちゃうのです。
ブランキー時代の浅井さんの歌詞は、映画のワン・シーンを観ているような世界観が有ると言われてました。
(後付だと言う人もいますが)解散ライブで、ブランキー・ジェット・シティが演奏していた楽曲は、架空の都市ジェット・シティで暮らす人々のことを唄ったものだってネタバラシもありました。
ブランキー・ジェット・シティ、ミッシェル・ガン・エレファント、ナンバー・ガールの3バンドが90年代の邦楽の歌詞の有り方を変えたと言われていました。
映画のワン・シーンのような歌詞のブランキー。
意味不明な歌詞の羅列のミッシェル。
何を唄ってるか聴き取れないナンバガ。
※ナンバー・ガールはレコーディングで音をロー・ファイにすることで歌詞を聴きとりにくくしています。最初は不良品CDか?と耳を疑いました。それくらい音が悪いです。椎名林檎さんがリスペクトしていたバンドですね。
時代を変えた3バンドのひとつ、ミッシェルのチバさんが浅井健一さんに憧れて、浅井健一さんの真似をして、浅井健一化してしまった?
確かに、ファンからすれば納得できないコト……。
なのでしょうが、最初に書きましたが、僕は初期のThe Birthdayを聴く価値が無いと思ってほとんど聴いてません。
※そもそも僕は、アベフトシさんのギター演奏のカッコ良さに痺れてミッシェルを聴いていたひとりなので……。
2011年からThe Birthdayを本気で聴き始め、後追いで過去の作品を聴いた僕からすれば、「浅井健一化したチバさん」=「The Birthday」なのだと思います。
そして、それはそれでカッコいい。
何より、The Birthday結成時に確立されていた根本的な音楽性が、今もそのまま続いているというのが嬉しい限りだもの。
それにしても、不思議なものです。
15年前は「聴く価値が無い」と思っていた作品なのに、15年後の今は、ヘビロテで聴いてる作品の一つになっているなんて……。
ちなみに、「Rollers Romantics」の収録曲は全12曲ですが、シングル・カップリングでアルバム未収録の楽曲が4曲あります。
しかも、アルバム未収録楽曲が全てカッコいい……。
初期のThe Birthdayはとにかく多作なバンドです。
※イマイアキノブさん在籍時を初期と呼んでます。
活動歴4年でアルバム4枚。
ミニ・アルバム1枚。
シングル9枚。
これだけなら普通だけど、単発シングルやシングル・カップリングでアルバム未収録の楽曲が26曲もあるのです。
活動歴15年を過ぎたミュージシャン(チバさん)が結成したバンドとしては異例の楽曲数じゃない?
しかも、アルバム未収録楽曲にカッコいい曲が目白押し。
そういう部分も含め、僕の中で今、日本で最もカッコいいバンドのひとつと言っても過言ではない※かもしれないThe Birthdayのデビュー・アルバム「Rollers Romantics」はオススメの1枚だったりするのです。
ただしご注意ください。
このブログは、あくまで熱心なファンの盲信的レビューです。
聴いた結果……
どこがオススメの1枚なんじゃい!
ってなっても一切の責任は負えません……。