アメリカのデスメタル・バンド
カンニバル・コープスをご紹介。
今回は1992年に発売された3rdアルバムです。
TOMB OF THE MUTILATED
僕が購入したのは、2005年に発売されたデジタル・リマスター(国内)盤です。旧盤には「殺鬼」って邦題が付いてますね。
「鬼」シリーズの邦題が続いてますが、アルバム・ジャケットを見てお分かりの通り、鬼滅の刃とは一切関係がありません。
良い子のみんなは絶対に手にしちゃダメですよ。
カンニバル・コープスのアルバム・ジャケットは、海外では何気に問題視されているようで、国によっては検閲バージョンという、まったく別のジャケットに差し替えて発売されることがあるようです。
ネット通販サイトなどを見ると、同名の作品でジャケット違いがあるのはそのためですね。
このバンド、アルバム・ジャケットだけではなく、歌詞の内容もかなりエグイそうです。※カンニバル・コープスの作品は全て歌詞がヤバイそうでうが。殺人、レイプ、死姦etc…、もし英語の歌詞の内容が理解できると聴くに堪えない楽曲の数々なのでしょう……。
肝心のサウンドは……
初期の傑作と言われるくらいクオリティが高い、というか、このアルバムでカンニバル・コープスのデスメタル・サウンドが完成したと言っても良い内容になっていると思います。
前作まであった、スラッシュ・メタル的なザクザク刻むギター・リフは影を潜め、ウネウネとうねるような演奏になってます。
ボーカルは更に低音デスボイスに変わり、もはや何を唄っているのか聴き取り不能※英単語も聴き取れないレベルです。
そして、デスメタル特有のドラムスのブラスト・ビートです。
これらが一体となった音の塊が襲ってくる。
これぞデスメタルっ!
ただし、2000年以降の「音」とはちょっと聴こえ方が違います。
この時代のデスメタルは「オールド・スクール」って呼ばれてます。
これは、後に登場する「テクニカル・デスメタル」や「ブルータル・デスメタル」のような、デスメタルを更に過激に発展させた新しいスタイルに対し、「古い」スタイルの音って意味で使われるそうです。
当然、カンニバル・コープスも、音楽性は変わらなくてもサウンドは過激な「音」へと変わっていってるので、最近の「音」と比べると、どうしても物足りない感があるのは否めません。
でも、それを差し引いても、スゴイ作品です。
……と、胸を張って紹介したいとこなのですが、正直、この作品の良さを理解するのには、かなり時間がかかりました。
それは「内容が」とか「演奏が」とかではなく、単純に、上に書いた「音」の違いによるものです。僕のように「新しい作品でファンになり、過去の作品を遡って聴く」という百科事典聴きをするリスナー特有の現象です。
初聴き時は、「こんなショボイ音のどこがデスメタルなのか?」と首を傾げてしまいました。これは、この作品に限らず、僕的には1998年発売の「ギャラリー・オブ・スーサイド」あたりまで同じ感覚です。
そもそも、カンニバル・コープスの作品は、他の90年代バンドの作品に比べて音質が悪く感じます。これが意図的なのかどうかは分かりません。※個人の意見です。
90年代のバンドの中には、演奏の迫力を出す為、敢えて音を粗くするバンドもいましたので。
もしかすると、カンニバル・コープスもそういう音創りをしてたのかも?
いや、単に、B級音楽ジャンルの為お金が無く、高額な機材やスタジオを使えなかっただけかもしれません。
でも、何度も繰り返し聴き、耳に馴染んでくると、音の粗さは気にならなくなってきます。
前回も書きましたが、iTunesのプレイリストに初期作品だけを集めて聴き続けるという拷問聴きを実施した頃から、音のショボさを感じなくなり、作品の良さが分かった……という、修行僧のような聴き方をしたおかげだと思います。
デスメタルという音楽は、ある意味、悟りの境地の先にある音楽なのかもしれません。※本気にしちゃダメですよ。
収録曲は以下の通りです。
1、HAMMER SMASHED FACE
2、I CUM BLOOD
3、ADDICTED TO VAGINAL SKIN
4、SPLIT WIDE OPEN
5、NECROPEDOPHILE
6、THE CRYPTIC STENCH
7、ENTTRAILES RIPPED FROM A VIRGIN'S CUNT
8、POST MORTAL EJACULATION
9、BEYOND THE CEMETERY
2005年リマスター盤には、ボーナス・トラックとして「I CUM BLOOD」のライブ音源と映像(エンハンスト)が収録されてます。
本当は、各楽曲の感想を書こうと思ったのですが、前回それを試みたトコロ、「複雑な展開で一気に突き進むスピード感のある楽曲」くらいしか書くことがないことに気がついたので今回は割愛です。
まあ、それでも、カンニバル・コープスを聴き始めた当初の感想が「全曲同じに聴こえるけど全曲カッコいい」だったことを考えると、曲が聴き分けられるようになってる分、僕も成長(?)してるってことなのでしょうか……。
もし、興味のある方は聴いてみてください。
1stアルバム(1990)
2ndアルバム(1991)
3rdアルバム(1992)