そもそも、デスメタルって何なのさ?
【注意】これは…、メタルを知らないオジさんのひとり言なので、真正メタラーの皆さんは「ふふん」と鼻で笑いながら読んでくださいね。
まるっと1周年です。
僕がデスメタルという音楽を聴き始めて1年が経ちました。
昨年の夏、あまりの暑さにアタマをヤられた僕は、今まで決して手を出すことがなかった禁断の音楽ジャンル……、デスメタルに手を出してしまったのです。
とは言っても、最初に聴いたのはアーチ・エネミーというスウェーデンのメロディック・デスメタルでした。
超絶美女ヴォーカル、アリッサ・ホワイト=グラズを擁するバンドです。美人がデス・ヴォイスで唄ってます。
ウィル・トゥ・パワー
2,333円
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その後、本格的に・・・
カンニバル・コープスやクリプトプシーにハマり、前回も書いたのですが、デスメタルの終着点、メシュガーに辿り着いたのです。
1年前、僕はデスメタルという音楽を誤解していました。
デスメタルというのは、下水道のような汚い声でゴボゴボと低音で唄うメタルのことだと思っていたのです。
当たらずとも遠からずではありますが……。
クリプトプシーの初代ヴォーカリスト、ロード・ワームです。
下水道低音ゴボゴボ・・・そんな歌唱法です。
歌詞字幕付きの動画で観ても、何を唄ってるのかまったく聴き取れません。ちなみにロード・ワームは英語の教師だそうです……。
この低音ゴボゴボのインパクトが強すぎて、他の楽器の演奏のスゴさに気がつかなかったのです。
特に、ドラムスのテクニックは超絶的です。
※特にクリプトプシーは神ドラマーが叩いています。
ブラスト・ビートと呼ばれる高速連打です。
デスメタルを聴いて、初めてその存在を知りました。
いや、実際には、僕が愛聴している2000年代の復活スラッシュメタルもブラスト・ビートを多用しています。ラム・オブ・ゴッドのような一流グルーブメタルもブラスト・ビートを普通に使ってます。
ただ、それがブラスト・ビートだってことを知らなかったのです。
この、超高速でマシンガンのように連打するドラムスがブラスト・ビートです。実はこれ、かなりヤバイです。
何がヤバいかと言うと、このブラスト・ビートに耳が慣れてしまうと、他のジャンルのドラムスがスカスカの低速ビートに聴こえるのです。
そう言えばつい最近、クリプトプシーの来日記念盤として、「ザ・ブック・オブ・サファリング」が1枚のCDとして発売されましたね。
ザ・ブック・オブ・サファリング
2,660円
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元々は、2枚のミニ・アルバムです。現在、パート1の「ザ・ブック・オブ・サファリング:Tome1」が入手困難な状態だったので、この来日記念盤の発売は嬉しいですね。
話を戻します。
実は、デスメタルを聴いたことで、今まで気がつかなかった新たな発見をすることが多くなったのです。
僕は元々、ハードロックやメタルという音楽が大好きなのです。
ただ、それ以上にガレージ・ロックやブルースやオルタナティブって音楽が好きなのです。僕がメタラーを名乗らないのはそのためだったりします。メタラーじゃないけどメタルを聴いている「はぐれメタル」なのです。
デスメタルでブラスト・ビートを知った後、それ以前に聴いてたメタル・バンドを聴くと、意外とブラスト・ビートが使われていることに気がつきました。新たな発見です。それまでまったく意識していなかった、ドラムスの演奏に耳を傾けるようになったのです。
デスメタルの主役は、ボーカルとドラムスだって言われます。
今までギターの音ばかり意識して聴いてた僕が、今はドラムスの音を意識して聴いてるのです。
音楽の聴き方の幅が広がったのです。
まあ、こんな音楽を1年も聴いてれば、普通の音楽が全て素敵に聴こえるって気もするけど……。
そして今、僕を虜にしているのが……
Djentと呼ばれるサウンドです。ジェントと読みます。
英語辞典には載っていません。造語です。
メシュガーのギタリストフレドリック・トーデンダルが造った言葉です。
実は、このジェントと呼ばれるサウンド……
メシュガーを聴き始めた当初はまったく理解できませんでした。
Koloss
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この曲を聴いて、これが「ジェント」だよって言われても、何が何やらさっぱりって感じです。スキンヘッドのオッサンが叫んでるだけじゃんって、そんな曲です……。
ウィキペディアを読んでみても、何が何やらさっぱりです。
今ではメタルのサブ・ジャンルとして扱われるまでになった、ジェントというサウンドですが、ジャンルになってしまうと、もう完全に意味不明になっちゃう気がします。
誰かが書いてました。
ジェントというのは、ヘッドバンギングできない複雑なリズムと、7弦または8弦のカスタム・ギターで低音を鳴らす音楽だ……だそうです。
元々は、フレドリック・トーデンダルが重低音を鳴らす為にカスタマイズして作った8弦ギターと普通のギター※普通のギターは6弦の音を差別化するために造った造語だって、読んだ気がします。
自分が鳴らすギターの重低音が、「ジェント~、ジェント~」って聴こえるから、その音をそのまま「Djent」って呼んだようです。
僕はこの音を聴きとれるまでに3ヶ月かかりました。
3か月間、メシュガーばかり聴き続けるという、まるで少林寺の修行僧のような聴き方をして、やっと聴き取れるようになりました。
だって僕、ギターと言えばスラッシュメタルのザクザク刻むギターか、ジョニー・ウィンターの超ド派手なブルース・ギターか、ジョンスペのジャンク・ギターか、サーストン・ムーアのノイズ・ギターか……
そういう、主人公はギターですってサウンドしか聴いてこなかったから。
主役的に音を鳴らすギターではなく、ドラムスやベースと同じように、重低音でリズムを鳴らし続けるギター・サウンドにピンとこなかったのです。もう一度、上に貼った「Demiurge」のPVを、今度はギターの弾き方に注意しながら観て下さい。
ビローンってなったギターの弦を「ジェント~」って鳴らしながら弾いてるのが、なんとなく分かると思います。
ヴァイオレント・スリープ・オヴ・リーズン
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この、どこでどう拳を振り上げればいいのかタイミングが掴めない複雑怪奇なリズムとボーカルの咆哮の後ろで「ジェント~、ジェント~」って鳴っているギターのサウンド、これがジェントだったのです。
ジェントが複雑なリズムなのではなく、ジェントを鳴らし始めた張本人バンドが、たまたま、メタル界屈指の複雑怪奇リズムのバンドだっただけですね。
実はこの「ジェント」ってサウンドも、デスメタルを知る以前に聴いていたバンドが演奏していたことに、最近気がつきました。
おっぱいメタルで有名なブッチャー・ベイビーズです。
ゴリアテ
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巨乳美女のふたりが、おっぱい揺らして暴れまくるバンドです。
ブッチャー・ベイビーズの1stアルバム「ゴリアテ」を聴いていて、まるっとそのままメシュガーなイントロの曲がありました。
まあ、ブッチャー・ベイビーズはミクスチャーというか、色んなメタル・ジャンルをごった煮のようにしたキワモノ系バンドではあるのですが。
当然ですが、ブラスト・ビートも普通に使ってます。
1990年代、ニルヴァーナの登場で不遇の時代へと突入して衰退していったへヴィ・メタルという音楽……、とは、まるで別の場所で生まれたのがデスメタルだそうです。
表舞台で産業化されたメタルとは違い、アンダーグラウンドでただただ過激なサウンドを鳴らしていた音楽だそうです。
悪魔的なメイクやSM的なコスチュームに身を包んでいるイメージを持たれがちなデスメタルですが、実は、デスメタルってラフでシンプルな服装のバンドが多いみたいです。
デスメタルの老舗バンド、カンニバル・コープスはこんな格好だし
クリプトプシーもこんな感じだし
メシュガーは……ちょっと怖い
でも、まあ、それはただの顔芸ですから。
どうやら悪魔的なイメージは、デスメタルって言葉のせいみたい。
それと……
爆発的人気(?)で、松山ケンイチさん主演で実写映画化もされた漫画、「デトロイト・メタル・シティ」の影響かな?
この漫画の中で、デスメタルは思いっきり間違った解釈で登場してきますから……。
と、言うことで
デスメタルを聴いたことで、今まで聴いていた音楽の中にも、実はデスメタルに影響を受けたサウンドが多かったことに気がついた、2019年の夏なのです。
今年もまだまだ残暑が続きます。
みなさんも、ガリガリくんを食べながら「デスメタルを聴いてみた」って、そんなアナーキーな感じで、この後の残暑をしのいでみてはいかがでしょう?
……え?
デスメタルなんて聴くと逆に暑苦しくなるから、タピオカ・ティーを飲みながら米津玄師を聴きます……ですって?
まあ、それも、ひとつの手ではありますね……。