レッド・ツェッペリン2014年&15年リマスター盤レビューの前に……
そもそも、レッド・ツェッペリンを知らないって方に簡単なご紹介です。
※詳しい紹介はコアなファンのみなさまへお任せします。
1970年代に3大ハード・ロック・バンドの一つなんて呼ばれた英国のロック・バンドだね。
悪魔的な雰囲気のブラック・サバス。
クラシック的な様式美をもつディープ・パープル。
ブルース的な泥臭さを持つレッド・ツェッペリン……ですね。
このブルースってのが何気に厄介で、日本で言えば演歌みたいなものかな?
若者には理解しにくい音楽のひとつなんだね。
年をとると演歌の良さが理解できた……みたいな、そんなジャンルだったりするんだよ。
なので、初めてレッド・ツェッペリンを聴く場合、リマスターうんぬんの前に「何コレ?まったく良さが分からないんだけど?マジウケる~」ってなっちゃう可能性があります……。
メンバーは、
ジミー・ペイジ(ギター)バンドのリーダー兼プロデューサー
ロバート・プラント(ボーカル)
ジョン・ポール・ジョーンズ(ベース)
ジョン・ボーナム(ドラムス)
3大ハード・ロック・バンド!
ハードロックの元祖みたいなバンドですね。
でも、僕がZEPPを聴きだした頃には、ZEPPをハード・ロックって呼ぶなんてぜんぜん分かってない!
そんな風に言われてました……。
ZEPPの音楽は、ハード・ロックなんてジャンルに捕われない音楽らしいね。
そもそも、聴き始めたころは、どこがいいのか理解不能でした。
90年代のギタリストのようなド派手で分かりやすい速弾きは無いし、楽曲にポップさやキャッチーさが無い……。唄は上手いのか下手なのか意味不明な甲高い声だし、曲の途中で変調したり、ダラダラと10分近く続く曲はあるし……。
それでも聴いてたのは……
レッド・ツェッペリンを聴いてる俺って、ロックのことを分かってるだろ!
そんな中二病的な発想です……面目ない。
ZEPPを真面目に聴きだしたのも、2006年頃に購入した1994年リマスターBOXからかもしれないね。
1994リマスターは、ジミー・ペイジ自らが手がけたリマスターだけあって、かなり高音質なサウンドでした。
※注)高音質ってのは、あくまで70年代の作品としては高音質って意味で、今風のサウンドになってるわけではありません。どんなに高音質でも70年代の音楽なのです。
2015年(2014年~15年)リマスター盤を今まで購入しなかったのも、1994リマスターの音質に不満が無かったからなんだね。そもそもBOXセットは高価だったし……。
ついでに言うと、2015年リマスターは1994リマスターから劇的な音の変化が無いって話も聴いてましたもので。
アマゾン・レビューにあるように、最高の音に生まれ変わったなんて、業者のヤラセ・レビューじゃないの?
って言いたくなるくらいの少しのリマスター効果です。
普通に聴いたら違いなんて分かりません。
聴く人のオーディオ環境が、スピーカーが、ヘッドホンが、アナログ盤が……
いやいや、そんなの関係ないですから。
高価なオーディオ機器と高価なスピーカー、高価なヘッドホンで聴かなきゃ違いが分からないリマスターなんてリマスターの意味が無いですから。
だったら、2015年リマスター盤はダメダメなの?
ん~、それがね……僕は気に入ってるんです、2015年リマスター盤。
ただし、聴く人によっては、1994年リマスターの方が高音質に聴こえるかもしれませんね。
1994年リマスターと2015年リマスターの違い。
先ず、1stアルバム「LED ZEPPELIN」は音が明確に違います。
左右のチャンネルが入れ替わってますね。
これは、今回の2015年リマスターがオリジナルと同じだそうです。
なにゆえ、1994年盤は左右を入れ替えたのでしょう?
左右の入れ替わり以外にも、明らかに音がクリアになってるのが分かります。
ただし、2nd以降は「どこが変わった?」ってレベルの違いですね。
※曲によっては違いが明確なものもありますが。
ハッキリ言うと、どこが変わったか分からないけど、変わってるってリマスターです。
……え? ハッキリしてない???
ん~、説明が難しいのですが、2015年盤を聴いてて、「あれ?この曲にこんなフレーズや音が入ってた?」って思って1994年盤を聴いてみると……「ああ、やっぱり入ってるな」って、そんな感じ。
実はここが重要なポイントなんです!
今まで意識していなかった音が聴こえるようになってるんだよ。
■ここからは僕の独断と偏見です。
1994年リマスターはギターとボーカルの高音が強調されたリマスター。
2015年リマスターはギターとボーカルの高音が少し抑えられ、ベースとドラムスの音が際立ったリマスター。
何気なく聴いた時は、1994年盤の方が音の抜けがよく(乾いた硬い音)高音質に聴こえるけど、各楽器の音に意識を向けると、2015年盤の方が聴きやすい。
これは、ギターとボーカルの高音がわずかに抑えられたため(柔らかい温かい音)、今まで意識していなかった他の楽器の音に意識が行くようになったってことね。
何気なく、無意識に曲を聴いてると、主旋律の目立つ音に意識がいっちゃうからね。
2015年リマスター盤は、そういう微妙なバランスをブラッシュ・アップしたリマスターだね。
※このブラッシュ・アップが曲者で、目立つ音はあまり変えずに、脇役的な音にウェイトを置いてるため、一聴しただけだと違いが分からないってことね。
ただしこの、微妙なリマスター効果は、実はかなり大きな効果だったりするんだね。
2009年のビートルズ・リマスター企画。
この時のコンセプトは、オリジナル・マスター・テープの再現だったんだね。
特に、モノラル・リマスターを聴いた時に感じた驚きと、今回のZEPPのリマスターは似てるんだよ。
どちらも、
大音量で聴いても各楽器の音が聴きやすいってこと。
例えば、通勤時のカーステレオの場合。
1994年盤は一定の音量を超えると、ギターやシンバルの高音が耳障りに聴こえる……。
※言いかえると硬質で粗々しい迫力のある音。
対して2015年盤は、どこまででも大音量にできそうなくらい耳障りな音が無い。
それでいて、音が大きくなるにつれて、各楽器の音が聴きやすくなる。
これはビートルズも同じでした。
大音量で長時間聴いてても疲れない音。
アナログ・レコードに近い音だそうです。
これは好みが分かれます。
今回のZEPPのリマスターは、DQN車でズンズン・シャカシャカ爆音を鳴らすのが好きな人には向かないリマスターなんです。
どちらかと言うとヲタク気質でイヤホンしてどっぷりZEPP世界に没頭する人向き……。
……って、もっと他の言い方は無かったのか???
さてさて、これも肝心なこと。
今回の2015年リマスター盤は買いか?って問題。
実は今回の目玉企画のひとつ、コンパニオンCD(未発表音源集)があまりにも微妙な内容すぎるってこと。
まあ、デラックス・エディション2枚組が3000円って微妙な良心価格ではあるけど……。
未発表音源に興味がある方は、ガッカリする可能性が大きいのを前提に、オマケで最新リマスターが付いて来るって割り切るなら買いですね。
未発表音源に興味が無い場合。
1994年リマスター盤をすでに持ってる方で、
スマホやiPodなどで、圧縮音源を聴く人は買い替える必要は無いです。そのレベルの違いです。
これからZEPPを聴いてみようと思ってる方には、僕的には2015年リマスターがお勧めだね。
ただし、音圧(音量)は1994年リマスターより低いです。
最近の音楽に比べたら、かなり音が小さく感じるかも?
間違っても1994年盤と2015年盤を混在して購入しないで下さい。
それぞれ、各アルバムの音量が均一に揃ってます。
混在させると、音の大きさに差が出ちゃいます。
その上で2015年リマスター盤をおすすめするのは、各楽曲の繋がりが調整されてるからなんです。
例えば、1994年盤では前の曲の終わりの一部が出だしにかぶってた「コミュニケーション・ブレイクダウン」、2015年盤ではキッチリと調整され、分離されてます。
これは全9作品共に同様ね。
※なのになぜか「ランブル・オン」だけは前の曲の一部が微妙に残ってるんです……調整忘れか?
今の時代、スマホやiPodで音楽を聴く際には、この曲間の分離は何気に重要だって思うんだよ。
全9作品の音量が揃っていて、各楽曲の分離もキッチリ調整あれているのは2015年リマスター盤のみです、今のところ。
※1994年盤も全9作品、音量は揃ってます。
ただし、ここで注意です。
9作目の「CODA(最終楽章)」は必ずデラックス・エディション3枚組を買いましょう。
1994年盤で「CODA」にボーナス追加された4曲、2015年盤ではデラックス・エディションのコンパニオンCDにしか収録されてません。
安価な1枚組スタンダード・エディションを買っちゃうと、4曲聴けなくなっちゃいます。