できるだけ、歯を削りたくない!
これは、多くの人の共通した願いです。
子どもの頃から、虫歯にならないように毎日毎日
歯磨きをして大事にしてきたご自身の歯!
そんな大事な歯を削りたくない!
そういう患者さんのお気持ちは、歯科医ならば誰もがわかっていることです。
しかし、保険治療で行える歯科医の仕事といえば、
歯を守ることよりもどちらかといえば、
毎日、毎日
歯を削って削って削って削り続ける仕事・・
そういうことを歯学部時代から毎日行っていれば、
歯を削ることに対してだんだんと感性が鈍ってしまう。。。
これ、歯科医ならばたいていそうです。
私たち歯科医師は自分たちのことを歯医者ではなく
ハカイシャ(破壊者)だと自虐的に例えたりしますが
歯を削るという行為は、確かに破壊行為に似ています(自虐)。
虫歯のことを専門用語でカリエスと言いますが、
カリエスとは癌という意味も持っています。
つまり、一度なったら治らないし、再発しやすい・・・・
癌も虫歯も自然治癒はしないといわれ、
外科的切除は当然の流れ・・・・・という考えしかなかったのです。
ところが、
最近は、癌でさえも温存する時代・・・
温熱療法や放射線療法、化学療法、免疫療法・・・・さらには民間療法まで混在し、
外科で広範囲に取り除くことに対する評価は年々低くなってきています。
外科で徹底的に取り除くほうが寿命を短くしてしまったり、
手術後の後遺症が大きく生活の質の低下を招くため、
手術は可能な限り低侵襲で行い、患者さん自身の癌になりやすい生活習慣を変えてもらい、
術後に迎える長期間の健康を新たに獲得してもらおうとする治療法を選択する人が年々増えてきています。
歯科でも同じような流れがあります。
マイクロスコープなどを使用して虫歯か、
虫歯と疑われるところを徹底的に取り除いてしまう治療法もありますが、
その対極には歯髄温存療法が存在し、
意外とこれがいいのです。
つまり、虫歯の治療をする際に歯科麻酔などは行わずに、
歯の神経にダメージを一切与えないで、
自然治癒力を温存しておいた上で、
虫歯を再石灰化してくれる薬をペタリと塗り付けて、
しばらくの期間(半年程度)放置して経過を確認し、
象牙質をそのお薬で持続的に殺菌しつつ、
虫歯の部位を再石灰化させ、
象牙質の虫歯を自然治癒させてしまう方法です。
(エナメル質は象牙質まで進行したひどい虫歯の場合、再石灰化させてもきれいなエナメル質に回復できませんから、審美的にも清掃性を保つためにも除去して人工物で修復するケースが多いです。)
つまり、これが、ドックベストセメントや3mix法という手法です。
もちろんこういう持続的な殺菌効果をうたった薬剤を使う治療法は保険が適用できません。
厚生省の認可もおりません。
治療法について、患者さん自らがよく勉強して選択する必要があります。
http://ameblo.jp/funahashishika/theme-10057441883.html
当医院では、1歯5千円でしています(当医院で行っているのは、ドックベストセメント法です。
シーリングに優れていることと、硬化後そのもの自体が硬いからです)
神経を残す、歯を残すためには
よい選択肢だと思います。
当医院では、この治療法は大変評判がよく、また、治療成績も非常に良いので、
大きな虫歯がある方にはお勧めしています。
(この治療法を行っている歯科医院はまだまだ少ないため、四国からも希望患者さんが来られたりしています)
他方、この治療法を選択せずに従来の徹底的に虫歯を取り除く保険治療を好まれる方もおられます。
歯のことにあまり興味を持たれていない方は、
保険治療を選択されることが多いのでそうなりますよね。
当医院では、
そういう方にもできるだけ麻酔は行わないようにして神経の保護を考えた治療を行うことを心がけています。
つまり、MI(低侵襲な治療法)です。
知覚が残っているということは、その組織は死んでいないわけですから、
痛い=死んでいない組織ということです。
麻酔をすればその痛みのサインがなくなってしまいますからね。。
しかし、痛みの感受性はヒトによってかなり違いますから、
絶対に麻酔をしてほしいという方もおられます。
麻酔は、象牙細管内液の流れを歯髄方向へと変えてしまいますから、
実は歯の神経にとってけっこう大きなダメージになるんですけど、
痛みも身体にとって大きなダメージですから、
どっこいどっこいという感じでしょうか・・・・
カリエスデテクターという虫歯が染まる液を使って、
出来るだけ発熱や振動のひどい器械を使う時間を短くし、神経に近い部位は鋭匙などを用いて
圧がかからないように慎重に除去した後、
特殊な消毒を行って、
神経を守ってくれるお薬もつけておきますが、
こういう保険適用で許される範囲の治療は、
持続的な殺菌とか、ミネラルのチャージ力がドックスベストセメント法よりもどうしても劣りますから、
後々、痛みが出て抜髄ということもあったりします(T_T)(T_T)(T_T)
もちろん、ドックスベストセメントでも後々痛みが出て抜髄という事もあります。
深くなった虫歯治療とはまあ、そんなものです。
あなたのお父さんやお母さん、おじいちゃんやおばあちゃんのお口の中の治療痕こそが、
日本の保険治療の賜物です。
当時からほとんど変わっていない材料とシステムを使えば、
ものすごく進化し続けている現在の歯科治療を無視したお口になっちゃって当然ですよね。
悪くはないけど、よくもない・・・・
使える材料と治療法が保険治療では狭く厳密に限定されてしまいますから、
日本全国どこに行っても、全く同じレベルの治療が受けられる幸せというものもありますが、
残念ながらそれがベストではないかもしれません
・・・・・・
虫歯の治療・・・・・あなたならば何を選びますか?