猫の高血圧:優先すべき疾患 ①の続きです。

おつかれちゃん。

明日の診察でチロブロック増量を提案してT4を今より下げる方向性について、それなりに根拠があるのでもう少し詳しく書きます。



まず、甲状腺機能亢進症になると甲状腺ホルモンが過剰分泌されるので代謝が高まって機能が亢進し、腎臓では下記が増えます。

・腎臓の血流
・糸球体濾過量(GFR)


*糸球体濾過量(GFR):腎糸球体でどれだけ血液を濾過して尿を作れるかの指標。

腎血流が増えることで糸球体内圧も高まると、結果的に過剰ろ過の状態になるので血液検査で数値が低く出て腎臓病がマスクされてしまいます。

数値は低くても腎臓に負荷がかかった状態なのでダメージは蓄積されています。
あくまでも数値は指標であり、低さを優先するものではないと思ってます。



《具体的なオロゴンの数値と状態》


・血圧:収縮期血圧144/拡張期血圧99
・T4:5.5(基準値を少し超え)
・BUN:36.6(基準値を超えてるが食後の数値)
・クレアチニン:1.89(基準値内)
・SDMA:12(基準値内)
・フルクトサミン:307(一応は良好)

・歯槽膿漏→抜歯後もクチに違和感があり。
・食欲はあるのに食事を途中で止めてしまう。
・体重が1~2ヶ月で100gづつ減少している。
・たまに軟便と稀に嘔吐。
・インスリンはトレシーバを1回1.0単位、1日2回打つ。


甲状腺機能亢進症で腎臓がマスクされているとはいえ、数値的にみて腎臓病はかなり初期か、そもそも腎臓病なのか疑わしいレベル。

拡張期血圧が高いという事は、末梢血管のダメージや自律神経障害などが原因である場合が多いので、これは高血糖が影響している可能性もある。

体重減少は高血糖からの糖代謝能力低下と口の違和感が影響しているかもしれないので、やはり血糖値はもう少し低めで安定させたい。

甲状腺機能亢進症では血糖値が不安定になる傾向があるので、血糖値を安定させるには甲状腺機能亢進症を抑え込まないとダメ。

甲状腺ホルモンが多い=T4高値=肝臓で糖を作り出す「糖新生」が促進され、インスリン抵抗性が起こり、インスリンが効きにくくなる。=血糖値が乱れる。


上記の理由から、オロゴンの場合は腎保護優先ではなく血糖コントロールを優先した方がいいと思うので、必然的にT4を下げて基準値中央値を目指す。

高血糖からの血管ダメージや尿糖による腎糸球体ダメージは少しでも避けたいところですし、甲状腺機能亢進症からの最終的な心疾患リスクも回避したい。

単純に血圧をもう少し下げたいだけならアムロジンにARBやACEを併用する方法もありますが、それだと下がりすぎてしまう可能性もあるので怖い。

って感じです。



あと、テルミサルタンは副作用でクレアチニンが大きく上昇する場合があり、オロゴンは副作用が出るので使えません。

なので“アムロジン”で対応しますが、ただ1つ気になるというか懸念材料があるとすれば、猫の高血圧治療で使うCa拮抗薬が“アムロジン”一択という現状。

過去記事にも書きましたが、アムロジンなどのカルシウム拮抗薬には“L型”“T型”“N型”の3種類の“型”あり、アムロジンは“L型”です。

“L型”は輸入細動脈からの血流は増えますが輸出細動脈は拡張しないので糸球体に入る血液量だけが増えて出る量は増えず、糸球体内圧が高くなってしまいます。

テルミサルタンとアムロジンについて詳しくは下記リンク先の過去記事に書いていますので、ご興味があればどうぞ。

 

 

 

他になんか見落としてる事あるかな?
考え方間違ってないよね?

主治医と主治医以外の先生に診てもらいましたが、お二人ともT4は現状維持の指示を出しましたので、明日はちょっと我を通してみようかと思ってます。

でわでわ!