日本語文法 | 東京大学村上文緒愛好会

東京大学村上文緒愛好会

一つ一つの言葉にこめられた作者の思いがわかったとき、古典は本当に面白いと思った。古典を楽しみたい。その思いが古い言葉の意味を求めるきっかけにもなった。

日本語を教える文法ではどうなっているか
『国語1』(光村2008)では、「は」と「が」の違いはまったく説明されていない。むろん、説明しなくても問題はない。中学一年生は、もうすでに十年あまり日本語を話してきており、文法を身につけているので、「は」と「が」の使い分けはできる。
しかし、日本語をまったく知らない外国人には、このようなことは通用しない。彼らは「は」と「が」をどのように使い分けていいのかわからない。

山田さん"は"どなたですか?
山田さん"が"どなたですか?

上の文は問題ないが、左の文はおかしい。外国人にこれを説明せねばならないが、学校文法は、日本語を学ぼうとしている外国人には役に立たない。そこで、学校文法とら別に日本語文法(もしくは日本語教育文法)というものが必要になってくる。次に、日本語文法では、「は」や「が」をどのように説明しているかを簡単に見てみよう。
『はじめての人のための-日本語の教え方ハンドブック』(田中2006)では、次のような説明がなされている。

通常、「は」は主語を示すとされます。主語とは文法用語で現実には発話内の主体、または発話主体を意味します。(中略) 主語、主体という認識は複雑で、文の構造にどう反映されるかは従来からの文法研究の最大の関心でもあるわけですが、ここでは「主語 (Subject)をあらわす」とひとまず説明してかまいません。
なお、「主語」については実質的、実用的な意味においてこれを排除する廃止論の考えがあります。確かに「雨がふります」の主語は?「東京は人が多いです」の主語は?といった議論は教育的には有効とはいえません。

なんでもかんでも「主語」とするなということであろう。また、『日本語教育ハンドブック』(日本語教育 1990)では次のように説明がされている。

指導上の留意点
(1) 類述文は、普通には「AはBです」という文型で、文系中心の教科書では、第一課か出て来る。指導者は、「Aは」の部分を、安易にSubjectだなどと説明するのではなく、「これは?」「あなたは?」などの形で、「Aは」が課題であり、問題で取りあげたものの提示であることを理解させるようにする必要があろう。

主語ではなく、題述文すなわち主語-解説で理解させねばならない、と明確に書いてある。
いま紹介した二つの本は、日本語教師が使うもの、すなわち、教える側の本である。では、教わる側が読む本も一つ紹介しよう。日本の大学で勉強したり会社で働いたりするためには日本語が話せないと困る。その日本語の能力を検査するのが日本語能力試験である。日本語能力試験用の本では、「は」と「が」をどのように説明しているのだろうか。『日本語能力試験文法編3級』(松本2003)では次のように説明されている。

「は」?「が」?
「は」の文:
大切なことは「は」の後にある。
「が」の文:
大切なことは「が」の前にある。
1.「あの人はだれですか。」
 「あの人は田中さんです。」
2.「田中さんはどの人ですか。」
 「田中さんはあの人です。」
= 「あの人が田中さんです。」
3.今日だれが来ますか。=今日来る人はだれですか。
(どちらの文でも、大切なことは「だれ」)」

私はこれまで、このような「は」と「が」に関する説明を聞いたことはなかった。

山田さん"が"どなたですか?

では、大切なことは、「どなた」である。したがって、この大切な「どなた」は「が」の前になければならない。したがって、上の文で「が」を使うならば、

どなたが山田さんですか?

と直すことになる。これは不自然ではない。外国人にはこのような説明をしているのか、と納得した。
『ガールフレンド (仮) 真夏の音楽祭 』
2015年8月15日 (土)
会場:舞浜アンフィシアター
開場17:00/開演18:00
PS Vita『ガールフレンド(仮)きみと過ごす夏休み』発売日:11月19日


復興庁 福島復興局

東京大学第66回駒場祭 2015年11月21日-23日 【公式マスコット】 かえるのこまっけろ


東大生ブログランキング


東京大学村上文緒愛好会 (u_tokyo_fumio) 

ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村