旅行記がオフシーズンのため、もう1編ブログネタで記事を書こうと思います。災害関連の記事ばかりで申し訳ありませんm(_ _)m

 

 自然災害への備えですか~。非常食や飲料水の備え、避難経路の確認など「物理的な備え」が思い浮かびますが、やはり一番の備えは「いざというときにすぐ逃げられるようにしておくこと」なのかな~と思います。私は大学卒業から5年間は障害者支援施設(成人施設)に勤め、今は放課後等デイサービスで発達障害を持つ児童生徒の支援をしていますが、障害特性上、「非常事態」ということを認識することが難しい方や、行動の切り替えが難しい方を見てきたためでした。避難したくても自力で避難できない方が大勢いらっしゃるのです。障害児者の支援に携わって10年以上が経つ私でも、実際に大きな災害が起きたときに、障害のある方に対して適切な支援ができる自信は全くありません。

 

 「双葉・石巻 13年目の現実」第13話の記事で書いたのですが、すでに定年退職した私の父はかつて、神奈川県内の某企業に勤めていたのですが、東日本大震災が起きたとき、社員は大きな揺れにただオロオロするばかりで、会社の避難訓練でやってきたことは何もできなかったという話を聞きました。「避難訓練でやってきたことが実際の災害では全く役に立たなかった」というのは良い意味で衝撃を受けました。

 

 さらに父は上記のできごとを踏まえてなのか、「初期消火に失敗したらすぐに逃げなさい。建物には保険がかかっているから」と部下に教えてきたそうです。改めて、そういうことを言える父はものすごくかっこいいなと思います。

 


 結局、大きな災害が起きたときはまず「自分の身を守る」「すぐ逃げる」ということになるのでしょう。しかし、障害児者の支援に携わっていて思うことは、「『逃げる』というのは簡単なようで、すごく難しい」ということです。今やっている勉強や遊びを即座に中断して身を守り、逃げるというのは時として非常に辛い選択ですが、このハードルを乗り越えなければ命は助からないのです。

 

 「今やっている勉強や遊びを~」と書いていて思い出したのは、元プロボクサーの竹原慎二さんが書いたブログ記事「リタイアする勇気」です。

 竹原さんは膀胱がんを経験しており、がんが発覚してから数週間のスケジュールはこなしたものの、その後は治療を最優先し、全てキャンセルしたそうです。その後、「登山だって途中アクシデントや体調不良が起きてしまった時は下山する勇気を持てというだろう。順調に登ってきた山、頂上が見えかけてきた山を途中で降りることは時として無理して登り続けるより辛い決断だ。だがそれでも命より優先すべきことではないと僕は思う」と書いていました。リタイアは時として大変辛い決断ですが、命よりも大切なものはありません。災害時の避難でも同じことが言えると思い、取り上げました。

 

 

 ここからは「双葉・石巻 13年目の現実」第13話で書いたことと被りますが、私が勤める事業所に通う生徒達に伝えたいことは、「危なくなる前に私達(スタッフ)も逃げるから、みんなも一緒に逃げて欲しい」ということです。

 

 児童生徒の命を守り、無事に親御さんのもとに帰すのが放課後等デイサービスのスタッフの責務ですし、そのために必要なことはします。しかし、それはスタッフの「命」があることが大前提です。放課後等デイサービスのスタッフだけでなく、市区町村の職員や消防団、警察官など救助者や支援者も、危機が迫れば「逃げる」からです。

 

 東日本大震災や西日本豪雨、そして2024年の能登半島地震など、沢山の災害を見てきましたが、「逃げることをためらわない」世の中になって欲しいと強く思います。そして、逃げたことを誰も責めない世の中になって欲しいと願わずにはいられません。



自然災害への備え

 

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