前回のお話の続きです。
前回のお話
この方法の欠点は腸を使わないために腸の粘膜が萎縮してしまい、
その機能が落ちてしまうのです。
この状況は例えるなら、無重力の空間から地球に帰還したとき宇宙飛行士が、
支えなしには歩けなくなっている状態になることをご存じでしょうか?
筋肉は適度な運動を続けていないとみるみる弱っていくのです。
人間の体はこのようにさぼり癖がつきやすいようです。
なので医療現場では腸がつかえるなら可能な限り消化管に栄養剤を注入したほうが良いからと、
鼻から長いカテーテルを入れて先端を胃に置く方法や、*①胃ろうを作って直接胃に栄養剤を注入する方法を
経管栄養(経腸栄養)と言います。
血管に栄養剤を点滴する方法に比べると、体にとっては「口から飲食している状態に近い」。
「食べ物を*②咀嚼し*③嚥下する」という工程を省いているだけだからです。
*胃ろう①:体表と胃内腔(胃の空洞部分)をつなぐトンネル。主に内視鏡で人工的に造設する。栄養ルートのひとつであり、自力で栄養が摂れなくなった患者に胃ろうを用いて経腸栄養を行う。
*咀嚼②:噛み切りとすり潰しで食塊を小さくするとともに唾液(saliva)と混ぜる運動
*嚥下③:食べ物を口から胃に送り込む一連の動作のこと
このように、人間は口から飲み食いすることなく長い期間を起きられるようになりました。
すごい医学の進歩ですね!
ちなみに前半の話で宇宙飛行士の事を話しました。
この時歩けなかったことがきっかけで、現在の有人ロケットは可能な限り宇宙空間で筋肉トレーニングをし、筋力が衰えないようにしているのです。
私たちが生活している地球の重力は筋肉を鍛えるのに重要な役割をしているんですね。
きっと無重力だったら骨格もない身体に進化していたかもしれませんね!