上海で乗り継ぎ、10時間かけてインドに到着。
ドルをルピーに両替しようと歩くと色々なところから「こっちに来い」と怪しげなおじさんが手招く・・・。
(ぬお~インド人!)
空港ロビーで一夜を過ごし、僕は長渕の唄の舞台、ガンジス河があるベナレスへ。
空港を出るやいなや客引きのタクシードライバーがスクラムを組んで待ち構えている。
(旅行本で読んではいたが、ついに来たな・・・)
小心者の僕はそこへ向かうまでしばらく躊躇しましたが「エイッ!もうどうにでもなれ」と突き進むと案の定、何人ものインド人に囲まれました。
あるインド人に半ば半強制的にタクシーへ連行(?)され、とにかくガンジス河の畔まで行ってくれと頼みました。
早速乗り場でタクシー代を払い、乗ると胡散臭いドライバーの親父がしきりにニヤニヤしながら話しかけてきました。
「ユー アー マイ ゲスト! アイ キャン ヘルプ ユー」
「アー ユー ハルピ?」
「ユー アー ベスト マン!」
「アイ キャン ヘルプ ユー!」・・・。
「オーケーオーケー」と苦笑いしながら答えていると途中、ガソリンスタンドがあり、その親父は降りてどこかへ消えてしまったのです・・・。
(あっやられた!逃げられた!)
ウェルカム トゥー インディア!
もう仕方がないので一人で歩いて行こうと拙い英語でガソリンスタンドのスタッフに道を伺うと、ここからあと25キロほどあるというではないか・・・。
ジ・エンド。
仕方がなく車の中でボーっとしていると40分程経ってドライバーが戻ってきました。
「アー ユー ハルピ?」
・・・。
ぶん殴ってやりたかった。
ガンジスまで向かう道中は一人旅が初めての僕にとって本当に「カオス」でした。
牛の群れは横切るわ、野犬は至るところにいるわ、原付ノーヘルの三人乗りはいるわ、反対車線関係ないわ、まるで映画の中にいるかのような感覚でした・・・。
タクシーとリクシャを乗り継ぎ、やっとのことでガンジス河に着きました。
もう日も暮れかかっており、とにかく住む宿を探してドミトリーへ。
安いだけあって部屋はとてもきれいだとはいえません。
(なんでこんなところに来てしまったのだろう・・・。)
旅の疲れもあってか、呆然としていました。
ご飯を食べて一人屋上で月を眺め、一日目にも関わらず、すでに日本が恋しい。
「お母ちゃん・・・」と思わなかったことが、せめてもの救いでした。
部屋に戻ると音楽を奏でる者、本を読んでいる者、怪しげな煙をいぶかしている者、色んな人がいました。
その中で僕は偶然、2人の日本人に呼びかけられました。
広島から来た26歳と28歳の日焼けした男性。名前はハバラさんとニタンダさん。
色々なことを話していると、なんとこのお二方、その春から小学校と中学校の先生になるというではありませんか。
聞くと先生にはなりたかったけど大学を卒業してすぐになりたくはなかったと。
色んな経験を積んだ後になりたく、日本中を旅したり、自転車でアフリカを縦断したりしたって。
そして昨年、通信教育を死ぬ程頑張って夢を叶えたと・・・。
僕が先生になるかどうか迷っていることを打ち明けると、「人生焦っとるよ。まだ二十一歳やろ?これから何でも出来るやん!」だって・・・。
自分がやってきたことに自信を持ってこれたから今があるって。
26歳と28歳。
魂があるからめちゃくちゃ若く見えました。
21歳の当時の僕にとって「あかんわ!あり得ない!」と思っていた新任教師が目の前にいました。
それも2人も・・・。
見た目は別に格好いいとは言えない人達でしたが、僕にはめちゃくちゃ格好よく見えました。
この夜の後、二、三日一緒に行動を共にしました。