省力化、省人化、少人化について
トヨタ内で使われている言葉について解説致します。 似通った言葉ですが、使い分けをしています。省力化とは? 例えば、10人で生産しているラインがあります。 そのラインの仕事の能率向上を図り、計算上0.9人分の仕事量を減らせました。 10人で生産している仕事を、9.1人で出来るようになったのです。 能率=10/9.1 となり、9.9%の能率向上が出来たのです。 ここでお気付きと思いますが、0.9人分の仕事を減らしたところで、会社の収益向上には貢献しておりません。 収益向上に結び付けるには、1.0人単位の人数で効果を出さなければなりません。 確実に人を抜く改善をすることを、“省人化”と言います。 少人化と区別して言うため、「目つきのしょうじんか」と言ったりします。 一方、少人化は「目なしのしょうにんか」と言います。 省人化とは、少ない人数で生産が可能になるように改善することです。 一番改善できるポイントとして目を付けるのは、「物を移動させる(運ぶ)」行為です。 物を持って移動させなくても、斜めになったコンベアーでゴロゴロと流せば、重力で勝手に移動していきます。 近くに移動させる場合は、このような方法で改善します。 遠くに物を運ぶ行為を改善する場合は、自動搬送機を導入したりします。 ロボットで、プログラミングした場所まで運ばせるのです。 床に貼った磁石をたどりながら移動する台車は、それ程高くない値段で導入が出来ます。 トヨタの7つのムダのうち「運搬」になります。 運搬(移動)そのものを無くすことですが、人が介在しないロボットに任せることも「省人化」になるのです。 次に、目なしの少人化です。 これは、生産量に応じた人数で生産することです。 トヨタは、Just in Time方式で、必要なモノを必要な時必要な量だけ生産しています。 必要な量というのは、日々変化します。 一日1,500台必要な時もあるし、500台に落ち込む日もあるのです。 そういった受注量の変化に応じた人数で生産することが、効率的と言えます。 1,000人で生産する日があったり、900人で生産する日もあるのです。 そのようにフレキシブルに人数を調整することを「少人化」と言います。 と、ここで疑問が生じると思います。 「100人を辞めさせるの?」と思う方も居ると思います。 違います。別の仕事をしてもらうのです。 工場の中は、生産に直接たずさわる仕事以外に、沢山の仕事があります。 そういった仕事をしてもらったり、他部署の応援に行ってもらったりします。 ここで必要な事は、「異なる複数の仕事ができる」ことです。 複数の仕事ができる人を、「多能工」と呼びます。 3つほど、出来れば上出来です。 勿論、その為の訓練もします。 では、おさらいします。 日々の省力化を図るために改善を積み重ね、人単位で仕事を減らしていくことを省人化と呼び、生産量に合わせた人数で生産できる仕組みをつくることを少人化と言います。 そのやり方ですが、作業を観察することは勿論なのですが、その観察結果を一旦紙面に落として、可視化します。 仕事と言うのは、可視化することによって、弱点などが見つけ易くなります。 頭の中だけでグルグル考えるのは、時間のムダが多いと思います。 改善が進まない部署や会社は、この可視化が出来ていません。 可視化のやり方については、ここでは説明しません。 とりあえず、可視化をする努力をしてみて下さい。 人を減らすという言葉を嫌う方が居ます。 会社を辞めてもらうということではありません。 少ない人数で仕事をする改善をあちこちで実施すれば、仕事量は減ります。 新入社員を入れずに定年退職をされる方が居られれば、自然に人数は減ります。 仕事を専門化させないことです。 もう一つ、誤解しないようにしなければならないのは、人数を減らすと質が落ちるという考えをしないで下さい。 仕事の質は、絶対に落としてはなりません。 質を落とさずに効率化を図らなければなりません。 知恵を出して下さい。 安直に、「質が落ちる」と思わないで下さい。 少子化の進む日本では、労働人口が減ります。 今までと同じ考え方をして、全体に10人でこの仕事をするんだとか、人が辞めたから補充するという安易な考えでは、成立しなくなります。 我々は、もっと賢くならなければなりません。 仕事を可視化し、「ここはロボットで出来ないか?」や、「これは自動計算できない?」、「この仕事、必要としている人居る?」などの、一つ一つの仕事を見つめ直して下さい。 そういった議論をするためにも、仕事を紙面に落とす可視化は必要です。 仕事をもっと簡単に、楽になる方法を考えましょう。