今回は、影響力と一貫力です。

 影響力…正しい判断、正しい行動を常にとり、周りに対して正しい影響を与えることが出来る。

 仕事をする上で、決められた仕事を決められた通りにそつなくこなすことは大事ですが、何も改善しないまま同じ事を繰り返していては、衰退が始まってきます。
 仕事の改善をして、より効率的に、より質を高めることを目指さなければならないのですが、動機付けが無ければ何も始まりません。

 ここで重要なのは、リーダーの存在です。 その場に、どのようなリーダーが居るかで仕事の質も量も変わってくるのです。
 リーダーが与える影響力が、仕事の原動力にもなります。
 リーダーでなくとも、良い影響力を与えられる人は居ます。
 そのような人が中心となって、いつの間にかリーダーとなります。

 ここで一人の人物を例にあげて、いかにリーダーの影響力が大切かということを述べたいと思います。

 その人は、吉田松陰です。

 松陰は、叔父より松下村塾を引き継ぎ、幕末の有名な志士達を生み出したことで有名であるが、そこで教えたのはわずか2年半でした。
 たった2年半で、あれだけ多くの志士を生み出した松陰の影響力というものは凄まじいと思います。
 松陰の考えは、「いかに生きるかという志さえ立たせることが出来れば、人生そのものが学問に変わり、あとは生徒が勝手に学んでくれる。」というものでした。

 何を教えるかというのではなく、何故学問をするのか、どういう人生を送るべきかを教えたのです。

 話は変わりますが、TEDで講演されたサイモン・シネックさんが言われたゴールデンサークル理論の、Why, How, Whatの考え方も同じです。
 意思決定を行う際、最終的に重要になる感情や直感的感覚に訴えかけるためには、「何を」ではなく「なぜ」がポイントになるという考えです。
 「なぜ」それをしようと思ったのか? どういう世界を創り出そうという理想を描いていたのか?
 その理想の世界を創り出そうとするために、どのように(HOW)考えたのか?
 そして、その結果、「何」をしたのか?(造り出したのか)

 松陰にとって学問とは「何」にあたり、塾生たちに教えたのは学問だけでなく、生き方、志である「なぜ」を教えたのです。
 根っ子である「なぜ」を教えることにより、どのように人生を歩めば良いかを自ずから見つけ出し、勝手に学び出すというものです。
 そのような、良い思想を持ったリーダーの影響力というものが、大変重要なのです。

 そのようなリーダーが居ないか探すのではなく、自分でそのようになるように努力して欲しいというのが、ここで言う必要な力です。

 「影響力のあるリーダーになりなさい。」

 部下に、仕事以外に教えていたことです。 


 次に、一貫力。

 一貫力…仕事に対して強い信念を持ち、その場限りの判断、言動をせず、同じ想いを貫き通す。

 “朝令暮改”を実践している上司が居ます。
 思い付きの指示を部下にするため、部下は一日中振り回されます。
 そういった上司は、部下に指示をするのが仕事だと思っています。
 ですので、次から次に、あれをしろ、これをしろと指示をします。

 ある企業の話しですが、有名なレストランチェーン店のことです。
 そのチェーン店は、お客様の評判が悪く、売り上げがどんどん下がっていました。
 経営コンサルタントが入り、そのお店の状態を7日間観察しました。
 すると、ある事に気付いたのです。
 店長が一日中、部下に指示を出しているのです。
 「店の前を掃除しなさい。」「トイレの掃除は済んだのか?」「壁の絵が曲がっている。」「床を拭きなさい。」などなど。
 店員は、店長の言うことを聞くのに必死でした。
 お客様が注文のベルを押しても、誰も気づかない事もあったのです。
 厨房の中も混乱しており、間違った注文が通ったりしていました。
 すべては、店長が指示し過ぎているのが問題でした。

 コンサルタントは、店長に一日一回、午後2時だけ指示ができるようなルールを作りました。
 店長は、朝から指示することをメモに書いていました。
 どんどんメモに書き入れていると、「やっぱり、これはしなくてもいいか。」「これは、俺がやろう。」という考え直すことも多く、結局2時に指示することは1つか2つしか残りませんでした。

 思い付きでどんどん仕事をしていれば、思い描いていた最終の地点に到着できないこともあるのです。

 この「一貫力」というのは、最終地点に向かうための手段が一貫していることであり、目標も無いまま同じ事を言うことではありません。
 頑固一徹に同じ事を言うのではなく、一貫して最終地点に向かう行動が大事なのです。

 仕事以外に、人生においても言えるかも知れません。
 良く言われている「自分軸」ですが、これも勘違いしている人が多いです。 「軸がぶれない」などと良く言いますが、軸というものを勘違いしている人がなんと多いことか。
 「会社で、自分の意見が通らない。軸を通すことが出来ない。どうしても上司の軸に合わせてしまいます。 軸をぶれないようにするには、どうしたらいいですか?」などの相談を受けることがあります。
 軸というのが、自分の我儘だというように勘違いしているのです。

 吉田松陰が教えていたのは、我儘を通すことではなく、「生き様」「志」を自分で掴めと教えていたのです。
 自分軸とは、生き様だと思います。 根っ子にある志だと思います。

 「自分の思い通りにならない。自分軸を見失った。」という人が旅に出て自分探しをします。 結果、何も見つかりません。

 人生は上手く行かないことが多いのですが、それで生き様が変わることは無いのです。
 一貫した生き様があればいいと思うのです。

 仕事にしても、人生においても、そのような一貫した思想があれば、良いリーダーシップも発揮できると思うのです。