一般質問 セーフティネット・生活保護~その3 | 地方政治の未来を創る 秦野市議会議員  古木勝久

一般質問 セーフティネット・生活保護~その3

セーフティネットは人のためならず


 

出典:「秦野市 令和2年度 主要な施策の成果報告書」

 

こんにちは 朝から陽射しが降り注いでいます。今日は議会配布日和です。


一般論ですが、地方自治体の広報紙などでは、世の中の景気に関係なく、自治体自身の財政状況について、あまり「堅調とか順調とか」いう表現はしません。

 

経済は堅調であっても、今後も本市の財政状況は先行き不透明であり、一層、少子高齢化が進みつつ、社会保障に要する扶助費増加傾向にあり、依然として行政運営は厳しい状況が続いています」

 

大変失礼ながら、この表現が首長さんは好きかどうか知りませんが、過去において、このような慣用句が繰り返し使用されていたのではないでしょうか。


市民の方から寄せられた意見と疑問と並行して、社会保障に占める生活保護費が増大して、行政運営にどのように影響を与えていたのかを見てみたいと思います。


☆本市の場合、生活保護費は国から3/4、実は一般財源にも地方交付税が含まれます


令和2年度の生活保護費の決算額、34億6千61万9千681円の財源は国から25億7千7万6千556円、県から1億9百58万9千538円、その他とは受給者からの還付金が7千5百70万6千173円です。


つまり本市の生活保護費のうち一般財源は20%7億5百24万7千414円ですが、この他、一般財源には国からの地方交付税が措置されています。(現在、財政課に案分計算を依頼中)


☆あまり知られていない生活保護費の経済効果
 

地方交付税を受けている自治体の場合、生活保護の利用者の増減には、財政負担にあまり影響しないのではないかという現実が見えてきます。

 

逆に生活保護費はむしろ、国から3/4のお金を頂いて、丸々、地域の消費に回って、地域経済にプラスになって、結果的には一般財源に回るという考え方ができます。

 

従来、多くの地方自治体では、生活保護の経済効果や財政分析が議論されてこなかったのではないかと推測できます。そもそも、そういう思考が必要なかったと思います。


☆まとめ
秦野市の令和2年度決算では、生活保護費の実際の本市の負担分は、総額(約34億6千万円)の20%以下であることがご理解いただけたのではないでしょうか。

 

更に地方交付税措置額で減額されるとなると推計値では20%未満~10%以上になります。

 

一方、本市の持ち出し(自己負担)が少ないとは言いませんが、国の法定受託事務として位置づけられています。生活保護予算は、市外に資本が流出しやすいゼネコンの大型のハコモノ行政(初期コスト、メンテナンス費用や建て替え等)や、IT系の業務委託(初期コスト、更新コスト費用)などとは明らかに違います。また経済効果の質量も異なっています。

 

「福祉は経済なり」です。今後は旧態依然の生活保護に対する「水際作戦」や小口貸付による借金漬け政策から脱却すべきです。

 

循環型の地域経済の波及効果を視野に入れた、力量感のある行政運営と行政職員の財政分析に基づいた仕法が求められているのではないかと思います。(おわり)


☆仕法とは

「報徳思想は経済~仕法を学ぶ、究極の簿記学」
https://ameblo.jp/fullpowerkfofp/entry-12143436612.html