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読了した本を積み上げ、どこまで行けるか挑戦中。

田口ランディ著『縁切り神社』読了。

12の作品から成る短編集。

表題作の『縁切り神社』は京都の安井金比羅宮が舞台だけど、私はどこか北のほうの町が舞台の『夜桜』が一番好きだったので、カテゴリーは「その他」に分類。



田口ランディさんの作品を拝読するのは初めてだったけれど……私はこの作品、すごく好き。

でも、アラサー女性が主人公の小説が多いので、

自分のことが好きじゃないのに自分の身が一番可愛くて、色々なことから目を逸らしすぎて自分の本音すらわかんなくなってきたアラサー女性が読むと……色々、刺されます(笑)

意識したくないことを意識させられて、痛かった。

縁切り神社 (幻冬舎文庫)/幻冬舎

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「方言コスプレ」の時代――ニセ関西弁から龍馬語まで/岩波書店
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田中ゆかり著『「方言コスプレ」の時代』読了。


朝日新聞の読書欄で紹介されているのを見てから、ずっと読みたかった本。




タイトルにある「方言コスプレ」とは、話し手が生まれ育った土地の方言ではない他の地方の「ヴァーチャル方言」(正確さではなくその土地「らしさ」を重要視した方言)を、その場の空気や演出しようとするキャラクターによって着脱すること。


ツッコミをするときに、関西出身ではない人が「なんでやねん」と関西弁を使うのが解りやすい例。


この著書では、方言が「恥ずかしい」とされていた時代から、現代のように「おもちゃ」として扱われるようになるまでの価値の遷移や、


数多ある方言の中でも特に有名な大阪方言や九州方言などの「方言ステレオタイプ」がどのように形成されてきたか、


またその「方言ステレオタイプ」の流通にメディアがどのように影響を与えてきたか、


そして、「方言コスプレ」を行なう地域間の格差とそこから見えてくる問題などが、丁寧に解説されている。





私は幕末ファンなので、「組織におさまりきれない個性を持った」歴史人物が、成長とともに「新しいヒーロー像を確立するひとつの方策」として「方言キャラ」が与えられるという考察が特に面白かった。


確かに、西南戦争で新政府に対抗した西郷さんは「薩摩弁キャラ」だけど、新政府で活躍した大久保利通には、同じ鹿児島出身でも薩摩弁のイメージないもん。




私はあまり「方言コスプレ」はしないけれど、「方言萌え」にはとても共感する。


自分が関西圏に住んでいたせいもあってか関西弁(と一言で言っても、大阪と京都と神戸ではまた違うけど)が一番好きで、関西弁を喋る人には男女問わず親近感が湧く。


それに、「萌え」以外の感情も、方言のほうが揺さぶられる気がする。


たとえば私の大好きな中島みゆきさんの「ファイト!」は、標準語の部分より方言の部分の歌詞のほうがジーンとくる。



だから「方言コスプレ」にポジティブな感情を持ってこの著書を読み進めていたけれど……問題もあるのだなぁ、と。



私はその他の地方の方言も標準語に比べて好きだけど、「どこの方言が好きか」と言われてまず思い浮かぶのはやっぱりイメージの強い博多弁や広島弁だ。


著者が警鐘を鳴らしているように、「方言コスプレ」が進行し、イメージが強くて着脱のしやすい方言だけが生き残り、その他の方言が衰退していくのは……悲しい事態だと思う。

晴明鬼伝 (角川ホラー文庫)/角川書店
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五代ゆう著『晴明鬼伝』読了。


時は醍醐天皇の御世。


鳴滝という女が率いる一座が、安寧を破壊し、国家を転覆させようと暗躍していた。


この鳴滝と、陰陽寮主・賀茂忠行には忌まわしい因縁があり……という伝記モノ。


浄蔵は出てくるし、平将門・藤原純友は出てくるし、清涼殿の落雷などの実際の事件も組み込まれたなんとも豪華な長編小説。




一番言いたいのは、タイトルが『晴明鬼伝』なのに、安倍晴明はまったく姿を見せないということ(笑)!


最後まで読んでようやく、納得できたような……できないような……という感じ。



この世の全ての物事には光と影の二つの側面があると思う。


その考え方に則ると、この小説が描いているのは、陰陽師の影の部分。


忠行さまの息子の保憲さまもこの小説にたくさん出てくるのだけれど、夢枕先生の『陰陽師』シリーズに出てくるような飄々としていてかっこいい保憲さまに傾倒している人は、読まないほうが良いと思う。



それにしても、この本、今まで読んだどの本よりも誤字・脱字が多くてびっくりした(笑)!


「これは見逃さないだろ~」って脱字があったりして。


たまたま読んだのが、初版だったからかもしれないけれど。

来年のカレンダーをいただきました!



夜さんがいっぱい~かわゆす(*>ω<*)


そして、坂村真民さんのポストカードもいただきました。



今は気楽な(「深刻な」の対義語って「気楽な」で良いのかな?)闘病生活をしているのですが……

まさに、このポストカードとおんなじ心境です。

ありがとうございました(''ε゚人)*.+゜

Android携帯からの投稿
AMEBIC (集英社文庫 か 44-3)/集英社
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463冊目、金原ひとみ著『AMEBIC』読了。


摂食障害の女性作家が主人公の短編小説。


主人公は自己嫌悪の念や飲酒、薬によってしばしば錯乱状態に陥り、その際に「錯文」を残すという習性がある。


その錯文のなかで「分裂感覚」を訴える自分を主人公は意識しないように試みるが、関係を持った編集者の「彼」と、その「婚約者」を巡り、錯乱は加速していき……というようなお話。




かなり生々しい内容であるにも関わらず、即効性というよりは遅効性の毒という感じ。


錯乱状態の時の分裂感覚の描写とか、編集者の彼への純粋なのに歪な感情とか、後から思い出してじわじわ来た。


私はこの金原ひとみさんのことがまだよく解らないのだけれど、直木賞でもなく三島賞でもなく、芥川賞を受賞された理由というのはなんとな~く解る気がした。