みすず書房のPR誌です。
小沢信男さんの巻頭連載エッセイ「賛々語々」,今回のテーマは,マスク。冬の季語であるはずが,春にも夏にもという今年の状態ですが,マスクに関わる俳句8作品を紹介。
今のマスク騒動とは関係なく詠まれた昔のものもありますが,どれも当時の世相を反映しているようです。今年の句かと勘違いしてしまいそうな内容のものも。
繁内理恵さんの不定期連載「戦争と児童文学」が今回紹介していたのは,三木卓『ほろびた国の旅』。著者自身の満州での少年時代の経験が大きく反映された作品のようです。
他民族への差別意識が国家によって作り出されたものだということ,小さな弱きもの達がそれに翻弄されてしまうということを描いているのだとか。作者が自分の考えを述べている『詩の言葉・詩の時代』も併せて読みたくなりました。
松本俊彦さんの連載「依存症,かえられるもの/かえられないもの」は,有名人の薬物事件を例に,声高に薬物危険だけを訴えることがかえって危険ということを指摘していて興味深く読みました。前の戦争児童文学もそうですが,国のかけ声とそれを増幅するマスコミ,洗脳される国民,構図が似通っていて怖いです。
新刊で注目したのは,次の本です。
長田弘『誰も知らなかった』
※5年前に亡くなった詩人の未完の作品を含む詩集。コロナ禍を知らなかった詩人が訴えかけてくるものとは。
フランチェスカ・ビアゼットン『美しい痕跡 〜手書きへの讃歌』
※著名カリグラファーが語る,手書き文字の魅力。日本の書道に通じるところもあるのか気になります。
土田 昇『刃物たるべく 〜職人の昭和』
※昭和から受け継ぎたい職人の技術,たくさんあるはず。技術に込められた魂の部分だけでも守りたいものです。
ポール・タフ『ハーレム・チルドレンズ・ゾーンの挑戦 〜貧乏人は教育で抜け出せるのか?』
※教育困難地域での学力向上策という意味でも,学力で社会階層の上を目指せるのかという意味でも興味深い書です。