松本文夫氏の連載「思考の模型」,今回のテーマは「最小限住居」。居住空間をコンパクトにし,生活動線を合理化した家だそうです。
コンパクト化に関しては得意な日本,建築家 増沢洵氏がかつて試作した自宅の例が紹介されていました。模型しか現存していないというのが残念ですが,延べ面積15坪と小さいのに吹き抜けがあったりと内部のデザインが工夫されているのだとか。
小さくてもおしゃれで生活しやすいなんて,ある意味では理想の家かもしれませんね。
苅宿俊文氏の「『ワークショップ』で学ぶこと,体験すること」は,氏が編集に関わったシリーズ『ワークショップと学び』の刊行意図を説明する内容でした。
「ワークショップ」というと確かに「研修会」「講習会」とどう違うの?という印象ですが,学校教育のように型にはまりがちのものでなく,個人がそこで新しい何かを学ぶ場ということらしいです。
氏は,いわゆる「勉強」ではない,「まなびほぐし」という言葉を使い,鶴見俊輔氏の例えを紹介しています。それは,型紙通りに編んだセーターをほぐして元の毛糸にもどし,今度は自分の体に合わせて編み直すことなのだそうです。
学校教育の型に慣れすぎてしまった「学び」を自分のスタイルに変えていく,うまくいけば楽しい発見がありそうです。
国文学者 奥田勲氏のエッセイ「『古語大鑑』第一巻と私」は,専門家として同辞典を使ってみての感想を忌憚なく述べた内容でした。参考になった部分あり,物足りなかった部分ありというところでしょうか。
それにしても,辞書の編纂はやはり大事業ですね。刊行までこぎつけてもすぐに第二版に向けて動き出すというのは,三浦しをんさんの『舟を編む』でも描かれていたところです。
同辞書は全四巻のうち一巻がようやく出たばかり。今後の進化に期待です。
今月の新刊で注目したのは次の本です。
東大EMP・横山禎徳 編『課題設定の思考力』
※課題設定が正しくなされなければ,あとにくる方法や実践もうまくいかないので大切なことと思います。
御園生涼子『映画と国民国家 ~1930年代松竹メロドラマ映画』
※メロドラマの奥底に密かに流れている資本主義思想や政治イデオロギーとはどんなものでしょうか。
吉田伸行『伝統都市・江戸』
※江戸町人のくらしの実態とはどのようなものだったのでしょう。
後藤澄江『ケア労働の配分と協働 ~高齢者介護と育児の福祉社会学』
※老いた親を介護する子の方も高齢化して…という現状の打開策があるとよいのですが。