『みすず』4月号 | 古本屋へGO!

古本屋へGO!

古本屋でのちょっと得した話や本をさがしまわったときのエピソードなどを中心に書きます。他にはフリーペーパーやPR誌の紹介など,本や雑誌に関わるささやかな日常を書いていきたいと思っています。

外岡秀俊氏の連載「傍観者からの手紙」,今回は東京国立博物館でも展示されていた「清明上河図」をめぐる話でした。私も見ましたが,外岡氏の紹介されていたエピソードが面白かったので,関連書を探して読んでみたいです。


保坂和志氏の新連載「試行錯誤に漂う」が始まりました。第1回のサブタイトルは,「弦に指がこすれる音」。

カザルスがバッハの「無伴奏チェロ組曲」を演奏しているときに聞こえる,指が動いて弦をこする音がSPレコードでは音楽をリアルなものにしているということから来ているようです。

その演奏の向こうには,先人達の試行錯誤があるのだと保坂氏は考えておられます。無限に続く試行錯誤の中の一瞬が人々にとっては名演となるのだが,それを一つの完成形としてしまうことは,既成概念にとらわれてしまうことにつながるということでしょうか。

辻由美氏の「縁組した言葉で作家になること ~フランソワ・チェンに訊く」は,フランス語で執筆する中国人作家へのインタビューと考察をもとにした文章でした。

自分の母語でなく,後から習得した第二言語で表現するということは,たやすいことではないのでしょうが,新たに得られたものも大きいようです。フランソワ・チェン『ティエンイの物語』,3人の人間の物語なのに,出会いの場面以外は,いつも誰か1人がいないというのも面白い設定だと思います。興味がわいてきました。


森まゆみ氏の「怒濤のすもう不案内日記」は,もしかして最終回?と思える内容でした。

1年間務めた大相撲「ガバナンスの整備に関する独立委員会」が役目を終えて解散となったところからのスタートです。ところが,八百長問題についての新事実発覚というスキャンダル勃発。

しかし,1年間見聞きした相撲界は,世間から見るほど派手なものではなく,地味なもの。力士達に同情の余地もあるようです。相撲界もマスコミも反省する部分は大いにあるのでは。森さん,1年間おつかれさまでした。


今月の新刊で注目した本,『貧乏人の経済学』『収奪の星』『ピダハン』『通訳翻訳訓練』は以前に紹介したと思いますので,コメントは省略いたします。